デヴィエーション・ゲーム
絵が上手い人が勝つとは限らない。人には伝わり、画像認識AIには伝わらない絵を描く。開発者が掲げるこの逆向きの「イミテーション・ゲーム」を、2〜6人の協力型パーティーゲームにしたのが『デヴィエーション・ゲーム』だ。Steamを持つ人が画面を出し、ほかの参加者はスマートフォンやタブレットのブラウザーから入る。ひとつの絵をめぐって、描き手の癖と仲間内の文脈が表に出てくる。
同じ絵を見ても、見えているものは違う
ラウンドごとに一人が秘密のお題を選び、AIには見抜かれず、同席者には伝わるように描く。絵ができると、人間側とAIがそれぞれ答える。ここで問われるのは画力より、何を省けば仲間には通じ、認識モデルには手がかりを渡さずに済むかだ。開発者はAIを創造性の代替ではなく、人間側の表現を試す相手として説明している。勝ち負けのための工夫が、いつの間にか「この人はこう描くのか」という観察にもなる。
人間側は全員が正解しなくても、少なくとも一人が当ててAIが外せば勝てる。逆に全員が外すとAI側に得点が入る。全員正解には追加点があり、描き手は仲間にだけ分かる表現をどこまで残すか考える。誰か一人にだけ伝わる絵を選ぶか、全員が理解しやすい手がかりを出すかで、同じお題でも描き方が変わる。単にAIをだますだけでなく、仲間との共通認識をどう使うかが勝敗に絡む。
Steamの肯定的なレビュアーは「友人や家族と遊ぶのにぴったりでした。ゲームに慣れてない人たちとも簡単に盛り上がれてとてもGOOD。かなりAIが強いので、人間側がいろんなアプローチを試すのだけど、プレイしている人間側の考え方のクセが知れるので、ぐっと仲良くなれるのがこのゲームの魅力だと思います。最近は、初対面の人がいる集まりとかに持っていくのが気に入ってます!」と書いている。全員が同じ答えを当てる競争とは違い、参加者同士の考え方を知る面白さまで生まれたという声だ。
AIの判定に納得できるか
この仕掛けの魅力は、AIの判断が人間側の作戦を裏切る瞬間にもある。ただし、意図的に分かりにくく描いたのにAIが当てると、笑いより判定への疑問が先に立つこともある。Steamの否定的なレビュアーは、AIが身内だけのネタを当ててしまう経験を挙げ、「そうしないと弱すぎるのかもしれないけどちょっと萎えるなあ・・・・」と感想を残している。これはその人のプレイでの感想で、AIが毎回同じ振る舞いをするという意味ではない。それでも、AIの強さそのものが勝敗の納得感を左右するゲームだとは分かる。
絵の扱いについても、開発者の説明には選択の余地がある。プレイヤーが描いた絵は、同意しない限り削除され、AIの学習に使わない設定だという。同意した場合に限り、画像認識の改善や開発チームの研究に利用するとしている。AIを題材にしたゲームとして、対戦の仕組みだけでなく、描いたものをどう扱うかも明示している。参加者がこの点を気にする集まりなら、遊ぶ前にゲーム内の選択を確認しておける。
遊ぶ前にそろえておくもの
参加者側は各自の端末からブラウザー参加できる一方、ホストの画面も必要になる。実際にSteamの否定的なレビュアーは「スマホ一台で出来ると思っていたのですが端末が二台なきゃいけませんでした」と書いている。Steamを持つ人のPCと参加者用のスマートフォンを最初に案内しておけば、遊び始めの行き違いは減らせる。
一人で絵を描いて楽しむタイプのゲームではない。場の全員が、思いついた変な表現を試して笑えるかが大切だ。身内ネタが通じる仲間なら、その知識は人間側の武器になる。初対面の人も混じる会では、答え合わせの理由を話し合う時間まで含めて遊べるかを考えたい。AIに必ず勝てるゲームを探している人より、AIに伝わらない表現を仲間と探すこと自体を面白がれる人に向いている。
早期アクセスとして見る
Steamの商品ページは早期アクセスとして掲載され、開発者はプレイヤーの端末とゲームをつなぐリアルタイム通信の検証が難しいと説明している。コアの遊びは完成している一方、カテゴリや言語、機能の追加と調整を予定しているという。遊ぶ場面を作るときは、ゲーム自体の判定だけでなく、ホストとスマートフォンの接続がその場でうまくいくかも準備に含めたい。安定したルールが完成している対戦ゲームを求める人は、更新履歴も確認しておくと期待を合わせやすい。












