
デヴィエーション・ゲーム
Deviation Game
開発: Tomo Kihara発売: Tomo Kihara¥1,990
PlayNext レビュー
「AIには理解できない絵を描く」というコンセプトを初めて読んだとき、思わず手が止まった。人間の曖昧さ、ノイズ、文脈への依存——それを武器にするゲームなんて、今まで存在しなかった。デヴィエーション・ゲームは、AIと人間の知覚の違いそのものをゲームメカニクスに昇華させた、奇妙で鮮やかなパーティーゲームだ。1台のSteamゲームさえあれば2〜6人がスマホのブラウザから参加できる手軽さも相まって、「とりあえず今夜やってみようか」という軽さで始められる。しかしいざ遊び始めると、なぜかみんなが哲学的な問いに突入していく——「人間らしさって何だっけ?」という問いを、笑いながら問い続けるゲームがこれだ。
## 仲間と遊ぶ化学反応
このゲームの核は「共謀」にある。お題に対して、AIの画像認識をかいくぐりながら人間の仲間には正解が伝わる絵を描く——その矛盾した制約が、驚くほど豊かなコミュニケーションを生む。
たとえば「犬」というお題に対して、写実的な犬を描けばAIはすぐ正解する。だからプレイヤーはわざとデフォルメしたり、「犬っぽい何か」を暗示する記号的な絵を描く。鼻だけ、足跡だけ、「ワン」という文字を絵に溶け込ませる——そういうトリックを仲間と即興で考えながら共有していく過程が、このゲームの核心体験だ。成功したときの「あ、通った!」という瞬間の喜びと、「なんでそれで分かるんだよ」という笑いが同時に来る。
ジャックボックスシリーズの『Drawful』と比べると、あちらは「変な絵で笑いを取る」競争型のゲームだが、デヴィエーション・ゲームは全員が同じチームとして「AIをだます」共通の目標に向かう。この協力構造が、場の雰囲気を競争ではなく共創に変える。誰かの絵がAIに通ってしまったとき「あーもっと崩せばよかった」と言い合える空気——それが心地よい。
## ビジュアルとサウンドの仕上がり
早期アクセスの個人開発タイトルとして見れば、UIは必要十分に整っている。スマホのブラウザから参加できる仕組みは特によく作られており、アプリのインストール不要で全員がすぐゲームに入れる導線の設計は丁寧だ。『Jackbox Party Pack』シリーズが確立したスマホ参加方式を参考にしていることは明らかだが、日本語対応が最初からなされている点は国内ユーザーに素直にありがたい。
ビジュアル全体はシンプルで、グラフィックに驚かせてくれる要素はほとんどない。絵を描くキャンバスも最低限の機能で、凝ったブラシや演出はない。ただそれで十分でもある——このゲームでビジュアルの主役はプレイヤー自身が描く絵であり、UIはその舞台装置に徹している。サウンドも控えめで主張しない。BGMよりもボイスチャットの笑い声が支配するのが、このゲームの正しい聴覚体験だろう。
## コミュニティの成熟度
早期アクセスかつ小規模タイトルのため、オンライン上のコミュニティはまだ小さい。攻略情報や「AIをだます定番テクニック集」のようなコンテンツはほぼ存在しない。逆に言えば、自分たちで試行錯誤するフロンティア感がある。「これってAI通ると思う?」という会話自体がコンテンツになる。
一方で気になる点もある。AIの判定基準がどれだけ一貫しているか、プレイを重ねるほど疑問が生じやすい。「なぜこれが通った?」「この判定はおかしくないか?」という声が仲間内で上がり始めると、ゲームの楽しさが判定への不満に滑り込む場合がある。アップデートによる継続的な調整が求められるフェーズにあり、開発者の更新頻度がゲームの寿命を左右する。個人開発タイトルとして長期的なメンテナンスに期待しすぎないリアリティも、購入前に持っておきたい。
## こういう人は合わないかも
パーティーゲームとして機能するため、一人プレイの用途はゼロだ。「一人でも遊べる」という逃げ道がない。2〜6人が揃うこと、そしてその全員がある程度乗り気であることが前提になる。誰か一人でも「絵を描くのが恥ずかしい」と感じているとセッションのテンションが下がりやすく、その場合は『あつ森』のような間接的な表現ゲームの方が向いているかもしれない。
また「AIをだます」というコンセプトの新鮮さが最大の武器であるため、同じメンバーで何度も繰り返すと次第にコンセプトの目新しさが薄れる。初見の驚きや発見を重視するタイプのゲームなので、月に一度仲間が集まるときのスペシャルメニューとして使うのがベストな距離感だ。毎日遊ぶゲームというより、「今夜はこれで行こう」と取り出す特別な一本として位置づけるといい。
¥1,990という価格帯は、このジャンルの中では控えめだ。一度きりの笑いを買うにしても、コンセプトの着眼点に払う価値はある。AIと人間の知覚差を笑いに変えるという発想の鮮度は、このゲームにしかない体験だ。人が集まる機会があるなら、ぜひその夜の一選択肢に加えてほしい。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 4時間
一人購入したらみんなと遊べる点が良い、アイスブレイクの一つにしようと思いました。 AIの凄さを直感的に体験できました。
👍プレイ時間: 4時間
友人や家族と遊ぶのにぴったりでした。ゲームに慣れてない人たちとも簡単に盛り上がれてとてもGOOD。 かなりAIが強いので、人間側がいろんなアプローチを試すのだけど、プレイしている人間側の考え方のクセが知れるので、ぐっと仲良くなれるのがこのゲームの魅力だと思います。最近は、初対面の人がいる集まりとかに持っていくのが気に入ってます!
👍プレイ時間: 5時間
AIを欺いて人間だけで理解するように戦うという、まさしく人間vsAIのゲームとして楽しめました。 ホストとなる1名が持っていれば、ホストが画面共有、残りのプレイヤーはスマホで参加できるというのが斬新。 アニメや漫画のネタ知識、駄洒落、迷信のような、お題と関係のないものを表現されたときにAIには理解できないようで、仲間たちと欺けた歓喜に浸ることができる。 しかし、それもきっと時間の問題なのだろう、、、我々人類の敗北は近い。
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











