
Chained Together
開発: Anegar Games発売: Anegar Games¥580
PlayNext レビュー
友人と遊ぶということが、これほど残酷で、これほど笑えて、これほど感動的になるとは思わなかった。「Chained Together」は文字通り、プレイヤーたちを鎖で繋いで地獄の底から天へと登らせるゲームだ。そのシンプルな前提が、協力プレイの喜びと地獄を同時に生み出す。
ゲームの基本構造は非常にシンプルだ。キャラクターは鎖で繋がれており、一人が落下すれば全員が引っ張られる。プラットフォームを登り、障害物を避け、ステージの頂上を目指す。ただそれだけ。しかしこの「ただそれだけ」が、想像を絶するカオスを生み出す。2〜4人で遊ぶと、各自の動きが他の全員に物理演算で伝わる。誰かが勢いよくジャンプすれば、鎖が張力を持って他のプレイヤーを引き上げ、あるいは引き倒す。意図せず仲間を奈落へと道連れにしてしまう瞬間は、罪悪感と笑いが入り混じった独特の感情を呼び起こす。
操作自体はシンプルで、走る・ジャンプ・グラップルフック(鎖を使った移動)が基本アクションだ。グラップルフックを壁や床に引っ掛けて勢いをつけて登る感覚は、慣れるまで独特のリズムがある。最初は「なぜこんなに滑るんだ」と感じるかもしれないが、物理演算に慣れてくると、鎖のテンションを利用して仲間を上に放り投げたり、お互いをカウンターウェイトとして使うといったテクニカルな動きができるようになる。ソロでプレイする際は鎖が自分自身の別パーツのように機能し、壁を這い上がるような独特のゲームプレイになる。
ビジュアルは低価格帯インディーらしく、ポリゴン数は少なめのカートゥーン調だが、ステージごとに明確なテーマがある。地獄の溶岩地帯から始まり、森、雪山、宇宙空間へと続く世界の変化は、登っているという感覚をしっかり演出している。特に後半ステージの色彩と規模感は、安価なゲームとは思えない達成感を与えてくれる。サウンドも同様に派手ではないが、ステージの雰囲気に合った音楽が緊張感を高め、落下時の効果音が絶妙に悔しさを煽る。
世界観としては、いわば「地獄から天国への脱出行」だ。深淵から始まり、様々な異世界を経由して頂点を目指す。ストーリーは説明的ではなく、環境自体がナラティブを語る。なぜ自分たちは鎖で繋がれているのか、頂上には何が待っているのか——プレイを進めながらその答えを見つけていく構造が、単純なアクションゲームに不思議な余韻を与えている。
「Getting Over It with Bennett Foddy」や「Only Up!」と比較されることが多いが、明確な違いがある。前者は一人で耐える孤独な苦行であり、後者はソロ向けの垂直プラットフォーマーだ。「Chained Together」の真価は複数人プレイにある。他人と連携しなければ進めない設計が、コミュニケーションを生み、感情を共有させる。「お前のせいで落ちた」という怒りと「なんとか登れた」という感動が同じ体験の中に同居するのは、このゲーム固有の体験だ。「A Way Out」や「It Takes Two」のように感情的な物語こそないが、純粋なゲームプレイによる感情の起伏という点では引けを取らない。
プレイ時間の目安はソロなら3〜5時間でエンディングに到達できるが、マルチプレイでは人数や仲間との息の合わせ方によって大きく変わる。落下して最初からやり直すたびに悔しさで時間を溶かすこともあれば、奇跡的な連携で一気に突破することもある。クリア後は最速クリアへの挑戦やタイムアタック、あるいは初めての相手とのマルチプレイが楽しめる。大きなエンドコンテンツはないが、「誰と遊ぶか」によって毎回異なる体験になるため、繰り返しプレイに自然と誘われる。
注意点も正直に伝えておきたい。物理演算ベースの落下ゲームなので、繰り返し同じ場所から落ちることへの耐性がないと精神的にきつくなる。特にソロプレイ時は、誰かと笑い合えない分、ただひたすら落下する時間が苦行に感じられることがある。また、グラップルフックの感度が独特で、自分の思い通りに動かせるようになるまでに慣れが必要だ。マルチプレイでは通話環境があるかどうかで体験が劇的に変わるため、テキストチャットだけでの協力は難易度が跳ね上がる。
こういう人にこのゲームは刺さる——友人と声を出して笑いながらゲームをしたい人、物理演算のカオスを楽しめる人、そして短時間で強烈な体験を求める人だ。¥580という価格は、友人と一夜過ごすエンタメとして考えれば破格に安い。逆に、ストレスフリーな達成感を求める人や、落下を繰り返す系のゲームが生理的に合わない人には向かない。ソロメインの人も、マルチプレイを前提に設計されているゲームをひとりで遊ぶ寂しさを感じるかもしれない。
鎖で繋がれた仲間と地獄から這い上がる体験は、言葉では伝わりにくい種類の楽しさだ。プレイした後に「あの瞬間やばかったな」と語り合える記憶が残る——それがこのゲームの本当の価値だと思う。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 4時間
ゲームがヘタなほど面白くなるパーティーゲーム。面白くなるようプレイ中に仲間の足引っ張ってるんだけど他3人も同じ事してる気がしてならない
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











