
Microsoft Flight Simulator 2024
開発: Asobo Studio発売: Xbox Game Studios¥9,700
PlayNext レビュー
空を飛ぶという行為は、人類が長い時間をかけて夢見てきたことだ。Microsoft Flight Simulator 2024は、その夢をデスクトップの上に再現しようとする、ある種の狂気じみたプロジェクトの到達点である。地球上のほぼすべての空域をリアルタイム気象データと衛星写真で再現し、プレイヤーは本物のパイロット訓練に使われる手順書を片手にコックピットへ座る。ゲームとしての「クリア」は存在しない。目的地に降り立った瞬間、次の出発地が生まれる——それがこの作品の根本的な構造だ。前作(Microsoft Flight Simulator 2020)から数えれば4年越しの進化だが、単純な続編というより、飛行シミュレーションという体験そのものの再定義に近い。キャリアモードの追加によって「パイロットとして生きる」という縦軸が生まれ、広大なサンドボックスに目的が与えられた。
## 空という名のサンドボックス
本作の中核にあるのは、「地球そのものをフィールドにする」という設計思想だ。Bing Mapsの衛星データとAI地形補正により、富士山の稜線も、アマゾン川流域の密林も、アイスランドの火山地帯も、実際の地形として再現されている。フライトプランを組んで羽田から福岡へ向かうだけで、眼下に広がる日本の地形の忠実さに息を呑む。
2024版で大きく変わったのは、航空機の多様性だ。民間旅客機や小型セスナにとどまらず、農業用散布機、消防ヘリ、グライダー、さらには気球まで操縦可能になった。それぞれに固有の操作特性があり、グライダーで上昇気流を捕まえる感覚は、ジェット機のスロットル管理とはまるで異なる技術体系を要求する。「飛ぶ」という一語の中に、これほど多様な体験が詰まっているとは、触れてみるまで想像しにくい。
キャリアモードでは、パイロットとしての技量を評価するミッションが用意されている。遊覧飛行のガイド、緊急医療物資の輸送、山岳地帯への着陸——シナリオは実際の飛行業務を模しており、単に飛ぶだけでなく「何のために飛ぶか」という文脈が生まれる。この縦軸の追加が、前作と比べて最も体験を変えた部分だと感じる。前作はどこまでも自由だった分、目的を自分で設定する必要があった。本作はその入口を整えた。
## 孤独なコックピットと、空の上の他者
フライトシミュレーターというジャンルはもともと、徹底的に孤独な体験だ。チェックリストを読み上げ、無線交信を処理し、計器と格闘しながら雲の中を飛ぶ——この過程に他者は必要ない。Microsoft Flight Simulator 2024のソロ体験はその伝統に忠実で、オートパイロットを切ってフルマニュアル操縦に挑めば、航空力学の複雑さと静かに向き合う数時間が待っている。VATSIM(ボランティアによるリアルタイムATC管理ネットワーク)と連携すれば、実際に人間の管制官から指示を受けながら飛ぶことも可能で、ソロとは異なる種類の緊張感がある。
マルチプレイヤーでは、他のプレイヤーの機体がリアルタイムで空域に現れる。羽田上空で偶然、別のプレイヤーが操縦する777とすれ違う体験は、不思議な感慨をもたらす。しかし率直に言えば、協力プレイや競争要素は希薄だ。同じ空を飛んでいるというだけで、深いインタラクションは生まれにくい。マルチの恩恵はむしろ「自分だけじゃない」という空気感に近く、ゲームプレイの質を根本から変えるものではない。
X-Plane 12との比較でいえば、本作はビジュアルと間口の広さで圧倒的に勝る。X-Planeはより硬派なフライトモデルと拡張性で航空オタクに支持されているが、初見の美しさと直感的なUI設計ではMicrosoft Flight Simulator 2024に分がある。DCS Worldのような軍用機特化のシミュレーターとはそもそも方向性が異なり、本作は民間航空の体験にフォーカスしている点で棲み分けは明確だ。
注意点として、このゲームは「すぐ楽しめる」という類の作品ではない。航空機の基本操作を覚えるだけで数時間かかり、計器飛行(IFR)を習得しようとすれば、現実のパイロット訓練に近い勉強量が必要になる。逆に言えば、学習への意欲と好奇心さえあれば、数百時間を費やしても底が見えない奥行きがある。「飛ぶこと」に純粋な魅力を感じる人間にとって、これ以上のフィールドは存在しない。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 380時間
飛行機がちだいすきまんにはおすすめ 俺のスペックでも十分綺麗だしフレームレート安定する 2020との違いはロードの速さ、雲の描画、夜景の鮮明さですかね。昼間の景色はそれほど変化はありません。
👍プレイ時間: 340時間
アップデートでロードが早くなり、CPUに関する処理が最適化され扱いやすくなりました。 MSFS2020よりお勧めです
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











