
マーベル・ライバルズ
Marvel Rivals
開発: NetEase Games発売: NetEase Games無料
PlayNext レビュー
マーベルのキャラクターたちが本当に「戦っている」と感じさせるゲームは、案外少ない。スパイダーマンがウェブを使って空中を飛び回り、ハルクが地面を揺らしながら突進し、マグニートーが金属の破片を嵐のように操る——それぞれの能力が、見た目だけでなく操作感にまで染み込んでいる。マーベル・ライバルズが他の版権ヒーローゲームと一線を画すのは、キャラクターの「らしさ」を戦闘システムの核に置いているからだ。6対6のチームシューティングというフォーマット自体は珍しくない。だがここでは、誰を選ぶかという問いが、どう戦うかという問いと直結している。
## キャラクターの「らしさ」が武器になる設計
オーバーウォッチと並べて語られることが多いが、マーベル・ライバルズの操作体験はかなり異なる。オーバーウォッチがキャラクターごとに独立したゲームプレイをオムニバス的に提供するのに対し、こちらはアクションゲームに近い手触りがある。スパイダーマンはウェブを使った三次元機動が基本で、ジャンプとスウィングを組み合わせた立体的な戦い方が求められる。マグニートーは盾と投擲を組み合わせたリズムゲームに近い感覚で、単純に撃つだけでは機能しない。キャラクターごとの「動き方の文法」が存在するため、使い慣れた1体を極める楽しさと、新しい1体を覚える苦労が同時に存在する。
環境破壊もシステムとして機能している。壁を壊して視線を通したり、床を崩して敵を落としたりと、マップが試合の進行とともに変形していく。これはシューティングゲームとしては珍しい体験で、「建物の角に隠れていたはずが突然視界が開けた」という状況が自然に生まれる。戦略的に使いこなすというより、試合の空気が変わる感覚に近い。
## チームシナジーが生む、偶発的な連携の快感
マーベル・ライバルズには「チームアップ」と呼ばれる組み合わせボーナスが存在する。特定のキャラクター同士がチームにいると追加能力が解放される仕組みで、たとえばウルヴァリンとサイクロップスが揃うとX-MEN由来の連携技が使えるようになる。これがコミュニケーションの設計として巧妙に機能している。
事前に打ち合わせなくても、「あのキャラがいるならこっちにしよう」という判断がキャラクター選択画面で自然に生まれる。マーベルというIPに親しみがあればあるほど、「このふたりが組んだら面白そう」という直感が働く。フレンドと声で話しながらピックを調整するのが理想だが、野良でも絵文字やピンシステムで意思疎通は十分できる。完全なコミュニケーション不要設計ではないが、IPの文脈が補助輪として機能している点は他のゲームにはない特徴だ。
ボイスチャットを使わない、あるいは使えない環境では連携の精度は落ちる。ただし「連携が決まったときの爽快感」のためにゲームが設計されているため、たまに噛み合う瞬間の気持ちよさはかなり高い水準にある。
## ## ソロプレイとマルチプレイの体験差
一人で野良にインする体験と、フレンドと組んで入る体験は、正直かなり差がある。野良では味方の動きが読めないため、自分がどれだけ動いても試合結果に与える影響が限定的に感じられる場面が多い。特にヒーラーを担当しているときは、蘇生や回復がチームの勝敗を左右するにもかかわらず、貢献が「見えにくい」という問題がある。スコアボードに映えないロールは、野良では精神的に消耗しやすい。
一方でフレンドと2〜3人で組んだ場合、ゲームの表情が一変する。チームアップを意識したピックを事前に決め、試合中に状況を声で共有しながら動くと、個々のキャラクター性能を超えたチームとしての動きが生まれる。このゲームが本当に面白くなる状態はここにある。
ソロでも戦えないわけではない。スパイダーマンのような高機動キャラは個人技が試合に直結しやすく、腕前次第で野良でも試合を動かせる。ただし「誰と遊ぶか」で体験の質が大きく変わることは、このゲームに入る前に認識しておくべき点だ。
## 誰に向いていて、誰には向かないか
マーベルというIPへの親しみがあればあるほど、このゲームは楽しい。好きなキャラクターを操作する満足感が、うまくいかない試合の消耗を埋めてくれるからだ。逆にIPに思い入れがなく純粋にチームシューティングとして評価するなら、オーバーウォッチ2やVALORANTと比べてシステムの洗練度では一歩譲る部分もある。
無料で始められる点は大きな強みだが、スキンやバトルパスへの課金設計はしっかりしている。プレイ自体は課金なしで十分楽しめるが、見た目へのこだわりが強い人は長期的に財布との相談が必要になる。
定期的な新キャラクター追加とシーズン更新でゲーム自体が変化し続けているため、長く続けるほど馴染んでくるタイプのゲームでもある。最初の数時間でキャラクターを絞り込み、そこから掘り下げていく——そういう付き合い方が、このゲームとの正しい距離感だと思う。
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