
Crime Scene Cleaner
開発: President Studio発売: President Studio¥2,044
PlayNext レビュー
マフィアの下請け清掃業者として働く——この一文で「え、どういうこと?」と思った人こそ、このゲームの主なターゲットだ。Crime Scene Cleanerは、組織犯罪の「後片付け」という誰も主役に据えなかった役割をゲームの中心に置き、独特の緊張感と奇妙な満足感を同時に味わわせる一作である。血痕を拭き、証拠を隠滅し、警察が来る前に現場を完璧な状態に戻す。その繰り返しの中に、意外なほど深いゲームループが潜んでいる。
プレイヤーが操作するのは、マフィアに雇われた清掃業者。依頼主は「うちの仕事の痕跡を消せ」とだけ言い残して去っていく。残されるのは、血で汚れた部屋、転がる証拠品、そして制限時間の中でのプレッシャーだ。基本的な流れは、現場に到着→血痕や汚れをクリーニング用具で除去→証拠品を回収または隠蔽→警察の立ち入りや巡回をかいくぐりながら脱出、というもの。シンプルに見えるが、実際には「どこから手をつけるか」の判断が常に問われる。
操作の手触りは丁寧に作り込まれており、モップやスポンジで汚れを落とす動作に妙なリアリティがある。汚れのある箇所にカーソルを合わせ、繰り返し動作で少しずつ消していく感覚は、PowerWash Simulatorに近い「清掃ゲーム」の系譜を感じさせる。ただしこちらは警察が来るまでの時間制限があり、常に「どこを優先するか」という戦略的判断が求められる。完璧に清掃しなくてもステージクリアはできるが、評価スコアが下がり、報酬が減るという設計になっているため、几帳面なプレイヤーほどのめり込みやすい。
各ミッションの構造もよく考えられている。最初は単純な部屋一室の清掃から始まるが、後半になると複数フロア、複数の「被害箇所」、警備員の巡回パターンをかわす必要があるなど、パズル的な複雑さが増していく。証拠品の処理方法も一つではなく、完全に廃棄するか、隠すか、別の場所に移動させるかという選択肢がある場合もある。細部の設計は地味だが、積み重なることで「段取りを組む楽しさ」が生まれている。
ビジュアルは写実的すぎず、かといってカートゥーンでもない、ほどよくスタイライズされたリアル路線だ。犯罪現場らしい薄暗い室内、夜の街灯が差し込む窓、雑然とした家具——ありきたりではあるが、雰囲気の作り方が丁寧で、「これは現場だ」という没入感を維持してくれる。過度に残虐なグラフィックに頼らず、「後片付け」の視点から見た犯罪現場という演出が功を奏しており、胸焼けしない範囲でダークな世界観を表現している。
サウンドも世界観の構築に一役買っている。環境音の作り込みが丁寧で、清掃中に外から聞こえてくるサイレンの遠鳴り、足音が近づく緊張感、ひっそりとした室内で響く自分の作業音——これらが組み合わさって、一人で犯罪現場を片付ける孤独感と焦りをうまく演出する。BGMは控えめで邪魔にならず、プレイヤーを没入させる方向に徹している。
ストーリーは「マフィアの清掃人」というシチュエーション自体が語る部分が大きく、派手なドラマよりもミッションを通じて断片的に見えてくる組織の輪郭や依頼主との関係性が興味を引く。語り口はシリアスすぎず、どこかブラックユーモアを帯びた雰囲気があり、自分が今何をしているのかの不条理さと向き合いながら淡々と仕事をこなす主人公のキャラクターが、プレイヤーの自己投影を促す。
似たゲームとして真っ先に挙げたいのはPowerWash Simulatorだが、あちらが純粋なリラックス体験であるのに対し、Crime Scene Cleanerは「制限時間」「巡回警官」「証拠処理」という要素が加わることで、緊張とリラックスの間を行き来するユニークなテンション設計になっている。HousefliperやUnpacking的な「空間を整える気持ちよさ」も持ちながら、そこにステルスゲームの要素が乗っかるイメージだ。完全な比較対象がいないという意味で、ジャンルの隙間を突いた一作と言える。
プレイ時間は本編クリアだけなら10〜15時間程度を想定するが、各ミッションを高評価でコンプリートしようとすると倍以上かかる。Steam実績の取得を目指す場合や、特定のミッションで完璧な評価を狙い直すプレイスタイルに向いている設計だ。ストーリーモード的な一本道で、周回プレイよりはスコアアタックや実績回収でやり込む構造と考えるといい。
注意点として、清掃作業のルーティンが根本的に好きでない人には向かない。「汚れを丁寧に消す」という行為がゲームの大半を占めるため、そこに楽しさを見出せないとかなり単調に感じる。また、ステルス要素はあるもののガチガチに難しいわけではなく、純粋なステルスゲームを求めるプレイヤーには物足りないかもしれない。ゲームとしての難易度は全体的に優しめで、詰まる感覚よりは「ちゃんと終わらせたい」という完結欲が推進力になる設計だ。
PowerWash SimulatorやHouseflipperで「整理・清掃系ゲームが好きだ」と気づいた人、ちょっとダークな世界観でいつもとは違う「仕事ゲー」を楽しみたい人、コツコツと完璧なスコアを目指すプレイスタイルが好きな人には、強くおすすめできる。逆に、アクション性の高いゲームを求めている人や、マフィアが絡むというだけで本格的な犯罪ドラマを期待してしまう人には合わないかもしれない。あくまで主役は「清掃」であり、その地道な作業の中に独自の味を見出せるかどうかが評価の分岐点になる。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 14時間
犯行現場でPowerWash Simulatorやると面白いんじゃねという作品。 面白いんだなあ、これが。 犯罪の片棒を担いている気分と、奇麗になって気持ちがいいという相反する気分が同時に来て風邪ひいちゃいそう。
👍プレイ時間: 42時間
12ステージは大型アプデでナイトメアモードっていう形こそ同じだけど、やってること全然違うステージが12ステージ+さらにact2の大型アプデで6ステージ追加。 かなりのボリュームになったので、作業げーが好きな人にはおすすめ。
👍プレイ時間: 34時間
ストーリーもしっかりしていながらちゃんと現場をキレイにしてくれるカタルシスが得られる。 最高でした。
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











