Backrooms: Escape Together

Backrooms: Escape Together

開発: Triiodide Studios発売: Triiodide Studios¥1,200

PlayNext レビュー

黄ばんだ蛍光灯、終わりの見えない廊下、湿った絨毯の匂いがしてきそうな壁——「バックルーム」という概念を知っているなら、このゲームを起動した瞬間に背筋が凍る感覚を理解できるはずだ。インターネットのクリーピーパスタとして生まれたこの都市伝説を、Unreal Engine 5のフォトリアルなグラフィックで体験させてくれるのが『Backrooms: Escape Together』である。「現実の裏側に滑り落ちてしまった場所」という概念そのものを、ゲームという形式で最大限に活かした作品だ。 ゲームプレイの基本構造はシンプルで、手続き的に生成された10のレベルを探索しながら脱出口を探す。しかしそのシンプルさが逆に恐ろしい。マップは毎回異なる形状で生成されるため、「前回ここに出口があった」という安心感が一切ない。広大な廊下を歩き続けると、似たような部屋が延々と続く感覚に陥る。これはゲームのバグではなく、バックルームの本質的な特性だ——どこまで行っても同じ場所に見えるという不安感を、プロシージャル生成が見事に再現している。操作感は標準的なFPS移動で違和感はないが、走り続けると息切れするスタミナシステムが緊張感を高める。エンティティ(この世界に棲む存在)に追われているとき、スタミナが尽きる瞬間の絶望感は格別だ。 協力プレイに対応しており、最大6人で探索できる点が本作の大きな差別化要素だ。仲間と一緒に通話しながらプレイすると、静寂の中で誰かが「……今何か聞こえた?」とつぶやく場面が自然に生まれる。ホラーゲームにおける恐怖の共有体験として、これ以上の舞台はそうない。一方でソロプレイは孤独感が何倍にも増幅され、全方向から迫ってくる不安の質が根本から変わる。同じゲームでありながら、プレイ人数によって体験が大きく異なるのは評価できる設計だ。パズル要素もあり、単純な探索だけでなく頭を使う場面も存在するため、純粋な移動ゲームには終わらない。 ビジュアル面では、UE5の実力を遺憾なく発揮している。蛍光灯のフリッカーリング、水染みが浮かぶ天井タイル、微妙に傾いた額縁——細部へのこだわりが「本当にこんな場所があるかもしれない」という錯覚を生む。特に印象的なのは光の表現で、暗がりの中に一本だけ光が差し込む廊下の奥に何かが見えた気がする……という演出は、過剰なジャンプスケアに頼らない上質な恐怖を提供する。サウンドデザインも優秀で、遠くで鳴り続ける低周波のハム音、自分の足音だけが響く空間、そして突如として聞こえる引っ掻き音。ヘッドフォンでのプレイを強く推奨する。 世界観の設計は「The Backrooms」というネットミームに忠実でありながら、ゲーム独自の解釈も加わっている。各レベルには固有の雰囲気があり、古いオフィスビルを思わせる空間もあれば、プールエリアやパーティールームを模した場所もある。それぞれに異なるエンティティが棲んでおり、攻略法も変わってくる。明確なストーリーラインは存在せず、断片的な情報から世界の真相を読み解くスタイルだ。「なぜ自分はここにいるのか」「この場所はいつから存在するのか」という問いへの答えは、あえて提示されない。その空白こそが想像力を刺激し、コミュニティでの考察を促している。 似たジャンルのゲームと比較すると、『Phasmophobia』が幽霊調査という明確な目的と役割分担を持つのに対し、本作は「ただ逃げる」という原始的な恐怖に特化している。『Lethal Company』のような企業ミッション型のホラーとも異なり、ゲームメカニクス的な達成感よりも純粋な雰囲気と恐怖体験を重視している。アーリーアクセスという点では『The Exit 8』のような短時間クリアゲームとも方向性が違い、より長時間の探索と繰り返しプレイを前提とした設計だ。 プレイ時間の目安は、1レベルのクリアに30分〜2時間程度と幅がある。これは手続き生成による運要素と、エンティティとの遭遇回数に大きく依存するためだ。10レベル全制覇を目指すなら最低でも10〜15時間は必要で、難易度や経路の違いによる周回要素もある。アーリーアクセスのため定期的に新コンテンツが追加されており、現時点では「遊びきった」と感じるには物足りないかもしれないが、継続的なアップデートへの期待込みで評価できる。 注意点として、アーリーアクセスゆえの荒削りな部分は存在する。手続き生成の性質上、稀に進行不能になる地形が生成されることがある。また、英語メインの開発チームのため、日本語ローカライズの品質にはムラがある。恐怖表現がジャンプスケアに一部依存している点は、その手法を苦手とするプレイヤーには辛いかもしれない。また、フレームレートはハイエンドPCでないと不安定になる場面もある。 「不気味な場所の雰囲気に浸りながら友人と騒ぎたい」人、バックルームというインターネット文化に愛着がある人、そして過剰な演出なしにじわじわと恐怖が高まるゲームを求めている人には強くおすすめできる。1,200円という価格帯はフレンドと割り切って楽しむのに丁度いい。反対に、明確な目標やストーリーの達成感を求めるプレイヤー、強いジャンプスケアが生理的に無理な人、PC性能が低めな環境のプレイヤーには合わない部分も多い。「雰囲気ゲー」という言葉を肯定的な意味で受け取れるかどうかが、このゲームと相性を決める最大の分岐点だ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 17時間

友達と二人でプレイしました。 正直面白すぎて発狂しました。 ぜひマルチでやってください。発狂しますよ(笑)

👍プレイ時間: 6時間

セールになっていたので購入。早速友達と3人でプレイしてみましたが、様々な敵やマップにみんなでわちゃわちゃ、考察しながらできてとても楽しかったです。世界観やシステムが私の好みでよかったです。ドリームコアなどのジャンルがお好きな方は絶対ハマると思います!どうやらマップ(レベル)もまだまだあり、今後も追加されていくようなので正規リリースが待ちきれないです!

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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