
Delta Force
開発: Team Jade発売: TiMi Studio Group無料
PlayNext レビュー
無料タクティカルシューターという言葉を聞いて、どこかで遊んだことがある既視感を想像するかもしれない。だがDelta Forceは、その先入観を丁寧に裏切っていく。Team Jadeが手がけたこの作品は、大規模な戦場を舞台にしたウォーフェアモードと、少人数で緊張感あふれる戦術的エクストラクション(撤退戦)という、性格のまったく異なる二つの体験を一本のゲームに詰め込んでいる。どちらが本番でどちらがおまけ、という位置づけではなく、両方が独立したゲームとして機能しているのが異質だ。「次に何をプレイすればいいかわからない」という状態に、このゲームはひとつの答えを持っている——それは「二種類の自分になれ」だ。
## 広大な戦場を読む楽しさ
ウォーフェアモードは最大32対32の大規模戦闘で、ヘリコプターや戦車、砲撃支援を組み合わせながら拠点を奪い合う。Battlefield 2042を連想する人は多いだろうし、実際に似た匂いがする。しかしDelta Forceの戦場には、地形を読む奥行きがより濃く設計されている。建物の二階から橋をカバーしながら煙幕を焚いて前線を押し上げる——そういうコンビネーションが、自然発生的に生まれる瞬間がある。マップの構造が、戦術的な「問いかけ」を絶えずプレイヤーに投げかけてくる感覚だ。スポーンする場所を選ぶたびに、今の戦況のどこに自分が必要かを考えさせられる。大きな戦場を探索することそのものが、戦略的な楽しさにつながっている。
## エクストラクションの緊張が作るループ
もう一方の柱であるエクストラクションモードは、Escape from TarkovやHunt: Showdownに近い構造を持つ。エリアに降り立ち、物資を漁り、PvEの敵を倒しながらPvPの脅威を警戒し、無事に撤退することで報酬を持ち帰る。このモードにはボスエネミーが存在しており、特定のエリアを支配する重武装の敵を倒すことで希少な装備が手に入る。ボスとの戦いはシンプルな撃ち合いではなく、位置取りと弾薬管理、そして他のプレイヤーへの警戒を同時にこなす判断の連続だ。倒した直後に別部隊に横取りされる展開が起きると、悔しさと笑いが混在した独特の感情が生まれる。「また挑戦するか」という衝動を生み出すゲームループの引力は強い。武器のカスタマイズが深く、持ち込む装備の選択が毎回のプランニングを生む。
## 無料で手に入る体験の濃度
基本プレイ無料という設計において、Delta Forceはかなり誠実な部類に入る。課金要素はスキンや外見カスタマイズが中心で、武器の性能や戦力そのものをマネーで買うような仕組みはない。十分な時間を投じれば、無課金でも装備を揃えてエクストラクションモードのミッドゲームまで快適に遊べる。ただし、エクストラクションモードは失敗時に装備を失うリスクがあるため、良い装備を揃えるほど「失いたくない」という心理的プレッシャーが増す。その設計は巧妙で、課金による補填の誘惑を自然に感じさせるように作られている。Apex LegendsやWarzoneと比べると、運営のマネタイズは穏やかだが、長期的に遊ぶつもりなら一定額の課金が快適さに寄与するのは事実だ。
## このゲームが向かない人へ
シューター経験のない人にとって、学習曲線は決して緩やかではない。エクストラクションモードは特に、初動の数時間で理不尽な死を繰り返す可能性が高い。サーバーは基本的に英語または中国語コミュニティが主体であり、日本語ロビーを安定して確保するのは難しい。また、ウォーフェアモードは大人数の混乱を楽しむ設計なので、CoD系の個人技で結果を出す感覚とは異なる。「チームが勝っても自分が活躍できなかった試合」に満足感を覚えられるかどうか、が向き不向きの分かれ目になる。ソロで黙々と成果を刻みたいプレイヤーには、エクストラクションモードの方が向いているだろう。
無料でこれだけの規模と深度を試せるのは、純粋に機会として価値がある。一本のゲームが二つの顔を持つ設計は、どちらかに飽きたときにもう一方が息抜きになるという予想外の利点もある。戦場の規模に圧倒される経験と、じりじりした撤退戦の緊張感を、インストール代ゼロで体感できる——まず触れてから判断すべき作品だ。
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