11万5千件を超えるレビューのうち好評は61.6%、評価ラベルは「賛否両論」。カプコンが2024年3月21日に出したオープンワールドのアクションRPGで、開発も販売もカプコン自身という大作の座組みでこの数字は珍しい。ただ日本語レビューを読み下していくと、賛否の割れ方に妙な特徴がある。非推奨側が、短時間で投げ出した人だけで構成されていないのだ。123時間、457時間と遊び込んだうえで親指を下に向けた人がいる一方、5時間や13時間で見切った人も同じ側に並んでいる。しかも「良い」と書いている177時間のレビュアーが「DA、DDONと莫大な時間を捧げてきた覚者として、今作のズッコケが悔しくてたまりません。」と嘆いている。つまりこれは「つまらないから低評価」の一言で片づく作品ではない。序盤で合わないと分かって降りた人と、遊び切った上で何かに納得できなかった人が、同じ非推奨欄に同居している。
ポーンだけは、賛否のどちら側からも褒められている
意見が一致している数少ない箇所が、仲間 AI「ポーン」だ。Steam の説明文は本作を「1人プレイなのに“他の誰かと冒険する楽しさ”が味わえるゲーム体験」と説明していて、これはマーケティング文句というより実際にプレイヤーが評価している中心点らしい。177時間のレビュアーは「ポーンは色々なことができるようになり、戦闘以外でも道案内や通訳、そして雑談で活躍してくれます。」と書き、75時間のレビュアーは「最強のポーンを作り、見てるだけでおもしろい。」と記す。注目すべきは低評価側も同じことを言っている点で、123時間で非推奨に投じたレビュアーですら「ボーンシステムだけは本当に良いのにそれを活かせていないのが残念でならない。」と締めている(原文の表記ママ)。16時間のレビュアーは「加点方式なら70点、減点方式なら−100点のゲームです。」と採点したうえで、同じレビューの中で「最新のアプデ内容を踏まえた再評価では、加点方式70点、減点方式−90点。」と自ら数字を書き直している。減点分を少し戻してもなお加点側は動かず、その内訳を本人が「加点の70点は、ほぼポーンの点数です。」と明かしている。
戦闘そのものへの評価も総じて高い。177時間のレビュアーは「ドラゴンズドグマ最大の魅力である戦闘の自由度はやはり高く、特にボス戦は爽快で楽しいです。」と書く。褒められているものは、はっきりしている。
不満は「重い」と「不親切」の二系統に分かれる
低評価の中身は大きく二つだ。一つは技術的な負荷。5時間で離脱したレビュアーは「マジで最適化不足。演出を重視するあまりフレームレートを殺してくる」と書き、65時間のレビュアーは「パッチで遊びやすくなったと聞いて冒険に出たものの、時間経過(またはゲーム進行度?)とともに画面がジワジワ重くなる呪い(処理落ち)が発動。」と報告している。ストアの最低動作環境も GTX 1070 / RX 5500 XT クラスで「1080p/30fpsのゲームプレイが可能です。」という但し書き付きで、そもそも60fps が前提の設計ではない。ここは環境と期待値の問題で、可変フレームレートを許容できる人なら致命傷にならない一方、アクションの手触りを fps で測る人には最後まで刺さり続ける。
もう一つは設計の不親切さで、こちらは好みの問題ではなく方針の問題だ。229時間遊んだうえで推奨を付けたレビュアーですら「非常に細かく作られているけど、ゲームプレイに関しては不親切すぎる。」と書き、時限クエストとセーブデータが一つしかない仕様を挙げている。15時間で見切ったレビュアーの「セーブが手動なのか自動なのかはっきりしてほしい。」も同根だ。これは不具合ではなく、やり直しを想定しない一本道の旅を演出するための選択で、その意図に乗れるかどうかで評価が反転する。「間違えた選択を巻き戻したい」人には最後までストレスであり続ける。
職業選択にも罠がある。13時間で非推奨に投じたレビュアーは「アクションRPGと書いているのにアクション性が悪すぎる。」としたうえで「メイジのジョブを選ぶと走り回って逃げるしかなくなる。」と書いている。回避や防御の手段が職業ごとに大きく違うため、最初に選んだ職が合わないと、このゲームの戦闘の面白さに一度も触れないまま終わりうる。
「移動そのものが遊び」を受け入れられるか
賛否の分岐点を最も正確に言語化しているのは125時間のレビュアーだ。「ファンタジー世界が好きで、ある程度の縛り要素が好きな人には非常に刺さる作品だと思います。」と書き、続けて「爽快で快適なモンハン風アクションゲームを求めると落胆しやすく、SKyrimを世界観に浸りながらプレイされていたような方ならば刺さりやすいです。」と分けている。重量制限やファストトラベルの制限を不便と見るか、旅の緊張感を作る装置と見るか。158時間のレビュアーの「ゆっくりと、ポーンと自分の旅を行えるなら最高です。」という一文と、同じ人の「ストーリーを進めるのが命!の方にはお勧めできないかな…」という一文が、そのまま向き不向きの線になっている。
なお本作は発売当初から状態が変わっている。112時間のレビュアーは「発売当初はいろいろ問題作だったけど、アプデのおかげで今は良ゲーです。」と書き、続けて「カジュアルモードのバランスがかなりいいので今なら万人にお勧めできる。」と付け加えている(改行は詰めた)。81時間のレビュアーのように、家庭用機で発売直後に遊んだうえで追加コンテンツを機に Steam 版を買い直した人もいる。ストア上では拡張「ダークアリズン」が2026年10月9日配信予定として告知されていて、新エリア「滅びの王土」やダンジョン群「忘れられた試儀」の追加が予告されている。61.6%はレビュー全体の積算で、どの時期の票がどれだけ混ざっているかは公開されていない。ただ、112時間のレビュアーのように当時と今で評価が変わったと明言する人がいる以上、この数字をそのまま現在の状態の採点として読むのは早い。
ポーンを連れて歩くこと自体が目的になれるか
レビュー投稿者がこのゲームを遊んだ時間の中央値は約53.8時間で、投稿者層がライトではないことが読み取れる。Steam の同時接続は1,631人。基本は一人で遊ぶ作品なので同接の数がマッチングを妨げるわけではないが、229時間のレビュアーが「ポーンの評価のランキングも崩壊しており、ゲームバランスを崩壊させるくらいおいしいクエストを持ったポーンが上位を独占している。」と書いている通り、他のプレイヤー由来の要素が体験に影響する場面はある。
向くのは、目的地までの移動時間そのものを遊びとして受け取れる人。寄り道した洞窟で格上に出会って逃げ帰る、といった予定外の出来事を物語として楽しめるなら、これは他に代わりのない一本になる。仲間キャラクターを自分で作り込んで連れ歩くことに喜びを見出せる人も同様で、98時間のレビュアーが「古風なオープンワールドRPGだがグラフィックは超美麗。」と書いたこの「古風」を長所として読める人がまさにその層だ。同じレビュアーは「不便な点も含めて、いいゲームバランスだと言える。」とも書いていて、この一文に頷けるかどうかが最短の自己診断になる。
向かないのは三種類。快適さと手触りを最優先するアクションゲーム好き、選択をやり直しながら最適解を詰めたい人、そしてメインストーリーの牽引力を求める人。65時間のレビュアーが「現状良くも悪くも「みんなの評価通り」の内容です。」と書いた通りで、61.6%という数字は品質のばらつきではなく、設計思想が万人向けではないことの正直な反映だ。自分がどちら側かは、上に並んだ不満を読んだ時点でもう判断できているはずだ。












