
Granblue Fantasy Versus: Rising
開発: Cygames, Inc.発売: Cygames, Inc.¥2,574
PlayNext レビュー
格闘ゲームには「入口の狭さ」という根深い問題がある。コマンド入力の壁、フレームデータの暗記、キャラクター相性の把握——気づけば対戦台の前で硬直したまま、相手の「波動拳」を10回食らって席を立つ、あの体験だ。『Granblue Fantasy Versus: Rising』(以下GBVSR)はその壁を真正面から壊しにかかった一作で、「格ゲーで挫折した人間をもう一度連れ戻す」という野心を、ゲームデザイン全体で体現している。グランブルーファンタジーというIPの知名度に寄りかかっているわけではない。格闘ゲームそのものの設計思想を組み替えることで、ジャンルへの新しい入口を作っている。
本作の最大の特徴は「スキルボタン」と呼ばれる簡略コマンドシステムだ。通常の格闘ゲームであれば「↓↘→+パンチ」のような入力が必要な必殺技を、このゲームでは専用ボタンを押すだけで出すことができる。正確に言えば、スキルボタン1つ(またはスキルボタン+方向入力)で複数の必殺技を使い分けられる設計になっており、コマンドを覚えなくても高度な技が出せる。これは単なる「お助け機能」ではなく、通常コマンドとスキルボタンを両立させた設計になっているため、慣れてきたプレイヤーは自然と正規コマンドへ移行することもできる。敷居を下げながら、上を目指す道筋も塞いでいない——この二重設計が本作の誠実さを示している。
バトルの手触りそのものは明確にスピードよりも読み合いを重視している。攻撃の発生が比較的遅く、判定も素直なため、「何が当たって何が負けたのか」が視覚的に理解しやすい。画面が高速すぎて何も分からないまま負ける、という格闘ゲーム初心者が感じやすい「理不尽さ」が少ない。さらに「オーバードライブ」と呼ばれる覚醒システムや、ガード時に反撃できる「スカーレットガード」の存在が、劣勢側に逆転の手段を与える。完全にやられっぱなしで終わらない仕組みが、プレイを続ける意欲に直結している。
## 似たゲームとの違い
同じく「初心者に優しい格闘ゲーム」として語られる作品に『DRAGON BALL FighterZ』や『ストリートファイター6』がある。FighterZはアシストを駆使した3vs3の爽快感が売りで、画面が常に賑やかな反面、連続技の習熟が楽しさの入口になるため、ある程度の練習投資を求める。ストリートファイター6はモダン操作という簡略システムを持つが、ゲーム全体の奥行きと競技性の高さゆえ、上達の曲線が急峻だ。
GBVSRはそれらと比べると、キャラクター数が比較的少なく(本作では20キャラ程度)、ゲームスピードも落ち着いている。「まず1キャラを触って格闘ゲームの構造を理解する」という入門体験に最も素直に最適化されている。反面、格闘ゲームのコア層が求めるフレーム単位の詰めや、膨大な選択肢の広さという点では、競技タイトルとしての深度はSF6や『鉄拳8』に譲る。同社の前作GBVSからの進化という文脈で言えば、対戦バランスの調整と新キャラクターの追加に加え、オンラインインフラが大幅に改善されており、野試合のマッチング精度が向上している。格闘ゲームのオンライン対戦品質はモチベーションに直結するため、この改善は実際のプレイ体験に大きく効いてくる。
## こういう人におすすめ
格闘ゲームに何度か手を出してはみたものの、コマンド入力の段階で脱落してきた人に、真っ先に勧めたい。「自分は格ゲーに向いていない」と思っている人の多くは、ゲームではなくUIに向いていなかっただけかもしれない。本作はその仮説を試す場所として適している。
グランブルーファンタジーのファンにとっては、ジータ、グラン、カタリナ、ランスロットといった馴染みのキャラクターを動かせる喜びがある。ストーリーモードも丁寧に作られており、原作のトーンを踏まえた演出が続くため、IPへの入口としても機能している。格闘ゲームとしてというよりも「好きなキャラを動かすアクション体験」として入るプレイヤーにも間口は広い。
一方で、競技格闘ゲームとして長期間やり込みたい人には正直なところ物足りなさが出るかもしれない。オンライン対戦人口の規模は大手IPタイトルには及ばず、上位層のマッチングが集まるまでに時間がかかることもある。キャラクター性能の個性が比較的均質なため、「俺だけの変態コンボを開発したい」という欲求には応えにくい部分もある。
価格が¥2,574と格闘ゲームとしては手頃に設定されているのも、試しに買うという判断のハードルを下げている。格闘ゲームは「合わなかったときの損失が大きい」というリスクへの躊躇が購入を妨げることが多いが、本作はその心理的障壁を金額面でも下げている。格闘ゲームの世界に足を踏み入れるための、丁寧に設計された玄関口だ。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 52時間
原作の知識は皆無です リリンクは200時間やりました 対人戦はやらなくてもフィギュア集めとかできます キャラゲーとしては100点満点です
出典: Steam ユーザーレビュー
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