
インフィニティニキ
Infinity Nikki
開発: Infold Games発売: Infold Games無料
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
着せ替えゲームが、こんなにも「旅」になるとは思っていなかった。インフィニティニキは、ニキシリーズ第5作にあたる作品で、従来の着せ替えに特化したゲームプレイを、広大なオープンワールド探索と融合させた意欲的なタイトルだ。主人公のニキと相棒の猫モモは、マーベル大陸という幻想的な世界に降り立ち、それぞれ独自の文化と自然環境を持つ国々を旅する。山岳地帯、砂漠の王国、霧に包まれた森林地帯——その景色のひとつひとつがUnreal Engine 5で描き出され、単なるドレスアップゲームの枠を大きく超えた没入体験を生み出している。
本作の核心は、「コーデが世界と交差する」という体験にある。ただ衣装を集めて眺めるのではなく、特定の服を着ることで扉が開き、風に乗れるようになり、水中を泳げるようになる。コーデそのものが探索のカギになる設計は、この作品を他のオープンワールドゲームとも着せ替えゲームとも違う場所に位置づけている。
## コーデ収集と素材管理の手応え
インフィニティニキの中心的な営みは、コーデの収集と制作にある。フィールドを歩けば素材が落ちており、住民から依頼をこなすと設計図が手に入る。ミシンを使ってパーツを縫い合わせ、少しずつ衣装を揃えていく流れは、クラフト系ゲームに近い満足感がある。
ガチャによる入手も存在するが、クラフトでも十分に衣装を集められる点はポジティブだ。ただし、スコア評価が高い衣装ほどガチャに集中している傾向があるのは否めない。課金を一切しない場合でもゲーム本編を十分に楽しめるが、期間限定イベントの衣装を狙うとガチャ圧力を感じる局面はある。この点は無料プレイの落とし穴として把握しておくべきだろう。
衣装にはそれぞれ属性や能力値が設定されており、単に「かわいいから着る」だけではなく、どの衣装を組み合わせるかに戦略的な視点が加わる。ワードローブの整理と素材管理が地味に重要で、ここに意外な手応えが宿っている。
## 世界への没入感
マーベル大陸は、単なるゲームのステージではなく、「そこに人々が生活している」と感じさせる作りになっている。水車が回る農村、空に浮かぶ神殿都市、砂嵐が吹き荒れる遺跡地帯——それぞれの地域が独自のルールと文化を持ち、住民との会話で少しずつその背景が見えてくる。
移動には滑空、水泳、崖のぼりが使え、原神に近い感触で世界を駆け回れる。ただしアクション要素は原神ほど尖っておらず、「探索そのものを楽しむ」ことに重心が置かれている。高台から飛び降り、衣装の能力で風に乗りながら次の目的地を目指す——その体験がこのゲームでもっとも気持ちいい瞬間だ。
環境音の作り込みも丁寧で、草原を走る風の音、洞窟の中で反響する水音が世界を生きたものにしている。UE5のグラフィックと相まって、ただ画面を眺めているだけでも不思議と時間が溶ける。
## 探索アクションの核心
高所から飛び降りて上昇気流に乗り、島から島へと渡る——インフィニティニキの探索アクションは、横断する喜びに満ちている。衣装の能力が探索と直結しているため、新しいコーデを手に入れるたびに「あそこに行けるかもしれない」という期待が生まれる。行けなかった場所が後から開ける設計は、メトロイドヴァニアに通じるカタルシスがある。
ジャンプの感触は軽快で、段差を乗り越える動作もストレスが少ない。ただし複雑な地形でのカメラ操作がやや難しい場面があり、崖際の細かい足場を渡る際にもたつくことはある。アクション精度を求めるゲームではないので大きな問題ではないが、コントローラーよりもマウス操作の方が細かいコントロールに向いている印象だ。
似たオープンワールド探索ゲームとして原神やウィッチャー3を思い浮かべるとすると、インフィニティニキはその中間——探索密度は原神に近いが、難易度は大幅に低く設定されている。アクションが苦手な人でも安心して世界を歩き回れる。
## スタイリングバトルの手触り
戦闘に相当するのが「スタイリングバトル」だ。敵となる存在と対峙したとき、武器で攻撃するのではなく、特定のテーマに沿ったコーデを纏って挑む。審判が両者のスタイルを評価し、スコアの高い方が勝利する仕組みだ。
バトルの実態は、手持ちのコーデの中から条件に合うものを選ぶパズル的な要素が強い。「清楚系かつ自然属性のコーデ」という指定に対して、どの組み合わせが最高スコアを叩き出せるかを考える作業は、ファッション誌のコーディネート特集を攻略しているような感覚に近い。
アクションゲームとしての戦闘を期待すると肩透かしをくらうが、このゲームにおける「戦い」をファッションで語らせるという発想は、ジャンルを突き抜けた独特の面白さがある。ライバルを力で倒すのではなく、スタイルで圧倒するという哲学が、ゲーム全体の世界観と一貫している点は評価に値する。
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このゲームが刺さるのは、ファッションと探索の両方を愛せる人だ。どちらか一方だけに関心がある場合、片方がノイズに感じる瞬間が来る。ただし、UE5で描かれた美しい世界を自分の好きなコーデで歩き回るという体験は、他では代えがたい。無料で始められる間口の広さも相まって、まず触れてみる価値は十分にある。
スクリーンショット











