
ドールズフロントライン2:エクシリウム
GIRLS' FRONTLINE 2: EXILIUM
開発: SUNBORN Information Co., Ltd.発売: HAOPLAY Limited無料
PlayNext レビュー
ポストアポカリプスの廃墟に、整然とした「戦術」が宿る——それがこのゲームの第一印象だ。汚染物質「ELID」が世界を蝕んだ近未来、プレイヤーは「指揮官」として戦術人形(T-Dolls)の小隊を率い、廃墟と化した都市を舞台に戦いを繰り広げる。前作『ドールズフロントライン』から正統進化した本作は、キャラクター育成ガチャゲーとしての側面を保ちつつ、六角グリッドと遮蔽システムを組み合わせた本格的な戦術SLGとして生まれ変わった。基本無料で遊べるタイトルとしては、シナリオの密度と戦闘システムの作り込みがひとつ頭抜けている。
## 戦場の手触り——六角グリッドと遮蔽が生む緊張感
本作の戦闘は、六角形のグリッド上でターン制に進行する。ただし、似たようなフォーマットを持つ『ファイアーエムブレム』系や『XCOM』と決定的に異なるのが、遮蔽(カバー)と射線(ライン・オブ・サイト)の扱いだ。
壁や障害物の後ろに人形を配置すれば被弾を大幅に軽減できる。しかし遮蔽物は耐久値を持ち、敵の攻撃で破壊される。「ここは安全だ」と思って据え置いたアタッカーが、次のターンに遮蔽を剥がされて集中砲火を受ける——このサイクルが常に緊張感を維持させる。
各人形はCPU(行動ポイント)を消費して移動・攻撃・スキルを使う。1ターンに全員を動かすのではなく、手番を細かく管理する必要があるため、「強い人形を前に出して殴り続ける」という雑な戦法は通用しない。位置取り、スキルの発動タイミング、敵のAIパターンの読み合い——この三つが噛み合ったとき、盤面が気持ちよく崩れていく感覚がある。
## プレイ環境の目安
PCスペックは中程度で十分動作する。Steam 推奨環境はGTX 1060 / RX 5700相当のGPUとCore i7-8700K相当のCPUだが、設定を落とせばそれ以下のマシンでも問題なくプレイできる報告が多い。ただしメモリは16GB以上が安定動作の条件に近く、8GBでは長時間プレイ時に挙動が怪しくなるケースがある。
UIとテキストは日本語対応済みで、シナリオのローカライズ品質も高い。前作の翻訳が荒削りだったことを知るプレイヤーには朗報だろう。コントローラーにも対応しているが、細かい操作はマウスの方が快適なため、PC プレイではキーボード&マウスを推奨する。
スマートフォン版と同一アカウントで進行を共有できるクロスプレイ対応のため、外出先ではスマホ、自宅ではPCという使い分けも可能だ。
## 価格に見合う体験か——基本無料の構造を正直に評価する
基本無料とガチャ課金という構造上、「無課金でどこまで遊べるか」は必ず問われる。結論からいえば、メインシナリオを読み進めることを主目的とするなら、無課金でも十分に楽しめる設計になっている。配布で手に入る人形を適切に育成すれば、難易度ノーマルのコンテンツは概ねクリア可能だ。
問題になるのはランキング要素や高難易度コンテンツで上位を狙う場合だ。特定の人形の性能差が顕著で、ガチャ産の高レアリティ人形がいないと詰まる場面も存在する。この点で『アークナイツ』のような「戦略で補える設計」と比べると、やや人形スペックへの依存度が高い。
一方でシナリオのボリュームと作り込みは、基本無料タイトルとして相当な水準にある。前作『ドールズフロントライン』の世界線から続く複雑な政治劇と人形の倫理問題が絡み合う物語は、章を追うごとに密度が増す。ビジュアルノベルに近い読み物として見ても、単体の有料ゲームと比較して見劣りしない。
スタミナ制による1日のプレイ量の上限、素材集めのための周回要素——これらはソーシャルゲームに慣れたプレイヤーなら受け入れられるが、パッケージゲームを主戦場とするプレイヤーには「なぜ待たされるのか」と感じる部分だ。この構造を受け入れられるかどうかが、本作を長く楽しめるかの分水嶺になる。
## こういう人に向いている、こういう人には向かない
前作ファン、または世界観に興味を持つ人にはまず間違いなく刺さる。テキストを読み込む習慣があり、戦術パズルを解く楽しさを求めるプレイヤーにも相性がいい。『XCOM』のようなシビアさを持ちつつ、アニメ調ビジュアルと重厚なSFシナリオが融合した体験は、他ではなかなか得られない。
一方で、「ゲームは1本買い切りで遊びたい」「ガチャに時間も金も使いたくない」という人には構造的に合わない。また戦闘システムは最初の数時間で覚えることが多く、チュートリアルの情報量がやや多い。SLG初心者が最初に触れるタイトルとしては少しハードルが高い。
前作未プレイでも物語は理解できるよう設計されているが、前作の主要キャラクターへの愛着があれば物語の深みは格段に増す。腰を据えてシナリオを読み、盤面と向き合える時間を持てるなら、コストパフォーマンスの高い選択肢のひとつになる。
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