What Remains of Edith Finch

What Remains of Edith Finch

開発: Giant Sparrow発売: Annapurna Interactive¥662

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

「家族の誰もが、奇妙な死に方をした」——この一文が、このゲームのすべてを言い表している。プレイヤーはエディス・フィンチとして、ワシントン州の孤島に建つ一族の屋敷へと戻り、祖先たちの部屋を一つひとつ開いていく。各部屋には錠がかかり、それを開いた先で待つのは、その人物が死んだ日の追体験だ。操作している自分自身が、物語の終着点を知りながらも止まれない——そのねじれた没入感こそが、『What Remains of Edith Finch』の核心である。ナラティブゲームというジャンルの中でも、「体験の密度」という点において、このタイトルは群を抜いている。 ## 命を追体験する仕掛けの設計 各家族のエピソードは、それぞれまったく異なるゲームプレイ形式で語られる。コミック調の演出でホラー映画のパロディを描いた「バーバラの章」、ブランコが宇宙まで届く「カルヴィンの章」、そして最も印象に残る「ルイスの章」——魚の頭を切り落とすベルトコンベアの単調作業と、頭の中に広がるファンタジー王国の物語が、画面を二分しながら同時進行する。 左手でコンベアを動かしながら、右手でRPGのキャラクターを操作するという二重の感覚は、思考が乖離していく人間の内面をそのまま操作体験に変換したものだ。このように本作は「語る」のではなく「させる」ことで感情を作り出す。インタラクションがストーリーと完全に溶け合っている点が、『Gone Home』や『Dear Esther』と一線を画す理由でもある。後者らが「場所を歩いて話を読む」体験に留まるのに対し、本作はプレイヤーの手そのものを物語の一部に組み込んでくる。 ## 探索の喜びと屋敷の造形 屋敷自体がひとつの巨大な謎として機能している。フィンチ家の人間は代々、自分の部屋を拡張したり積み重ねたりしながら生活してきたらしく、建物は異様な形に歪んでいる。壁を抜けた先に小部屋があり、天井裏に子供のねぐらがあり、廊下が突然行き止まりになる。 この構造は「探索ゲーム」としての楽しさを確かに持っている。ただし、本作に隠し要素を探す自由度はほとんどない。ルートは一本道に近く、次にどこへ行けばいいかは常に明示される。それでも息苦しさを感じないのは、屋敷のデザインが視線の誘導として機能しており、歩くこと自体が発見の連続になっているからだ。 ## ビジュアルとサウンドの仕上がり ゲーム内の光の使い方は特筆に値する。夕暮れ時の窓から差し込む橙色の光、海沿いの霧に滲む建物の輪郭——ワシントン州の湿った自然が、ゲームの哀愁漂う雰囲気を底から支えている。テキストが空間に溶け込む演出——語り手の言葉が壁や床に浮かびながら移動する——は単なる字幕表示に留まらず、読むという行為を歩くことと統合させる。 サウンドトラックは過剰に主張しない。静寂と環境音が優先され、音楽が入ってくる瞬間の落差で感情を動かす設計だ。英語音声の朗読品質も高く、プレイ時間の大半を占める語りの聴き心地がよい(日本語字幕対応)。 ## 選択肢なき物語が生む純度 本作に、いわゆる「選択肢」は存在しない。結末は変わらず、誰も死を免れない。これを「ゲームとして物足りない」と感じるプレイヤーは一定数いるだろう。実際、プレイ時間は通しで2〜3時間程度に収まり、『SOMA』や『Firewatch』と比べてもボリュームは少ない。 しかし本作の構造上、選択肢があることは欠点ではなく、意図的な設計だと読むべきだ。この物語は「どうすれば彼らを救えたか」ではなく「彼らはどんな人間だったか」を問う。プレイヤーに与えられた役割は救済者ではなく証人であり、その立場に徹することで浮かび上がる喪失感は、分岐エンディングでは生まれ得ない種類のものだ。 ## 価格に見合う体験か ¥662という価格は、このゲームの内容と照らし合わせれば明らかに安い。問題があるとすれば「2〜3時間で終わる」という事実そのものだ。映画一本分の時間で完結し、二周目に新しい発見はほぼない。コストパフォーマンスを時間単価で測るプレイヤーには合わない。 一方で、ゲームを「何かを積み上げる行為」としてではなく「体験として記憶に残るもの」として捉える人には、この密度は価格を優に超える。「あの缶詰工場のシーン」を体験した後、しばらく頭から離れなくなる感覚は、そうそう得られるものではない。似た価格帯・ジャンルの作品として『Firewatch』と迷うなら、より「短くて鋭い」体験を求めるなら本作を選んでよい。死と記憶と家族というテーマに引っかかるものを感じるなら、なおさらだ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 2時間

考察物の映画が好きな人にはお勧めします!逆にそうゆうものが苦手な人は面白く感じれないと思います。私は好きなのでめっちゃ良いゲームでした!演出やBGMもとても神秘的で悲しい話ですがどこか美しい素晴らしいゲームです!

👍プレイ時間: 2時間

散々、他のレビューでも書かれているけどゲーム性があるわけではない。能動的に物語を体験していく作品。 ゲームとしての操作感に物足りなさはある、面白いかといわれると分からない。そして、クリア後には感傷的な気持ちだけがポツリと残る。たったの、それだけ... それだけなんだけど、不思議とこの短い体験に後悔はない。それを説明できない。でもどうでもいい、この読後感に無理やり意味を考える必要はない。

👍プレイ時間: 3時間

クリア済み。トロコン済み フィンチ家最後の生存者の主人公が、久々に家を訪れ家族の死を追体験するゲーム 死の瞬間や原因となったシーンをいろんなゲーム形式で追体験するわけだけど、暗い印象はなくポップに体感させてくる。その表現が多種多様で面白い ストーリーがいいわけでも、壮大な謎があるとかでもないのに満足感のある不思議なゲーム

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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