
Battlefield™ REDSEC
開発: Battlefield Studios発売: Electronic Arts無料
PlayNext レビュー
「無料でいいのか」と思わず疑いたくなる瞬間がある。戦場を切り裂く爆発音、崩れ落ちるビルの破片、そして手に汗握る最後の一対一——Battlefield™ REDSECはその瞬間を、一切の課金なしに体験させてくれる。長年積み上げてきたBattlefieldシリーズの資産を丸ごと無料で開放するという、ある種の賭けに出た作品だ。
REDSECの軸となるのは三つのモードだ。バトルロイヤルでは収縮するエリアのなかで生き残りをかけた判断を迫られ、ガントレットでは高強度な目標制圧戦が展開される。そしてPortalは、過去のBattlefieldタイトルのマップや兵器・ルールセットを呼び出せる機能で、古参ファンには懐かしく、新規プレイヤーにはシリーズの歴史を肌で感じられる入り口になっている。この三本柱の組み合わせが、プレイヤーを飽きさせない設計の根幹を担っている。
操作感はBattlefieldらしい「重さ」を残しつつも、無料プレイとして間口を広げるための調整が随所に見られる。銃の反動はリアル寄りで、フルオートの乱射では精度が落ちる。走りながら撃てば当然弾はばらける。このあたりはApex LegendsやFortniteよりも硬派で、CoD: Warzoneに近い感触だ。ただしREDSECはそこに「破壊」の要素を加えることで独自性を主張する。壁を吹き飛ばして新たな射線を作る、床を崩して階下に落として奇襲する——地形そのものが戦略の一部として機能するBattlefield特有の体験は健在で、これが他の無料FPSには出せない醍醐味になっている。
ビジュアルは現行世代の基準で十分に通用するクオリティだ。爆発エフェクトの密度や砂埃・煙の表現はシリーズ伝統の迫力があり、HDRに対応した環境ではコントラストがさらに引き立つ。特に夕暮れ時のマップで光線が建物の影と交差する瞬間は、無料タイトルとは思えない映像美を見せる。サウンドデザインはBattlefieldの代名詞ともいえる「銃声の重量感」を継承しており、ヘッドフォン推奨だ。足音の定位が明確で、耳で敵の位置を把握する戦術的なプレイも成立する。
世界観としては、架空の近未来紛争地帯を舞台にした軍事オペレーションという設定が背景にある。REDSEC(レッドセク)という作戦名が示すように、敵の中枢施設への強行突入という文脈がモード設計に紐づいており、単なる「殺し合いの舞台」以上の雰囲気を生み出している。ただしシリーズ従来作のような重厚なキャンペーンモードは存在しないため、ストーリーへの期待は控えめにしておいたほうがいい。
比較対象を挙げるならば、バトルロイヤル部分はWarzone 2.0に近く、兵器の重厚感と地形破壊でそれを上回る可能性がある。Apex Legendsのようなキャラクタースキルの差別化は薄く、プレイヤースキルと状況判断が勝敗を分けやすい。Fortniteの建築や奇抜な世界観が合わない層にとっては、リアル路線のREDSECが刺さるだろう。Portalモードの存在はBattlefield 1942やVice Cityの時代のルールで遊べる稀有な体験であり、これ単体を目当てに始める価値すらある。
プレイ時間の目安は、バトルロイヤル1マッチが15〜30分程度。ガントレットはより短期決戦型で5〜15分。Portalはモードによって幅広い。入門から基本的な立ち回りを身につけるまで20〜30時間、武器のアタッチメントやオペレーターのアンロックを含むやり込みは100時間以上を見込める構造だ。シーズンパスや戦闘パスによるコンテンツ追加があるため、長期的な目標を設定しやすい。エンドコンテンツとしてはランク戦が用意されており、上位を目指すプレイヤーには相応のモチベーションが続く。
注意点として、無料タイトルゆえのアプリ内購入は当然存在する。スキン・エモート・バトルパスが主な課金対象で、戦闘力への直接影響はない——とされているが、課金プレイヤーとの見た目の差は大きく感じる場面もある。また、クロスプラットフォーム対応の恩恵で対戦相手は集まりやすい一方、PC環境ではコントローラープレイヤーとマウス・キーボードプレイヤーが混在するマッチングが発生する可能性があり、感覚的な有利不利を気にする人は設定を確認しておくべきだ。サーバー品質はリリース直後に集中しやすい問題を抱えることもあるため、安定性は長期的に見極める必要がある。
こういう人に強くすすめたい——過去のBattlefieldシリーズを愛してきたが最近のナンバリングに距離を置いていた人、Warzoneに疲れてリアル路線の無料FPSを探している人、破壊フィジックスと大規模戦闘の迫力をゼロ円で体験したい人。逆に、Apex Legendsのようなキャラクタースキルを活かした個性的な動きが好みの人や、単人プレイに特化したキャンペーンをFPSに求める人には物足りなさが残るかもしれない。
Battlefieldというブランドが積み上げてきた「戦場の空気」を、無料でここまで再現できるのかという驚きがREDSECの最大の武器だ。支払うのは時間だけでいい。
スクリーンショット











