Disco Elysium - The Final Cut

Disco Elysium - The Final Cut

開発: ZA/UM発売: ZA/UM¥1,025

Steam レビュー

圧倒的に好評

PlayNext レビュー

探偵として目覚めると、自分の名前すら思い出せない。部屋には壊れたファンが天井からぶら下がり、床には空のボトルが散乱している。これが『Disco Elysium - The Final Cut』の始まりだ。このゲームを一言で形容するなら「対話で構築されたRPG」になるが、それはあまりにも表面しか捉えていない。正確には、「自分の内面と世界の残骸を同時に掘り起こすゲーム」だ。戦闘はない。装備もない。あるのは言葉と、自分の中に宿る24種類のスキルと、ひとつの未解決の殺人事件だけ。 ## 物語が引き込む瞬間 ゲームが始まってすぐ、プレイヤーは奇妙な感覚に気づく。頭の中で「声」が聞こえるのだ。「電気化学」が血中アルコール濃度の低下を警告し、「痛み閾値」が体の状態を淡々と報告し、「内なる帝国」が往年の栄光を夢想する。これはゲームシステムの説明であると同時に、登壊した一人の人間の内省そのものだ。 ストーリーは表向き殺人捜査だが、本質は「自分とは何者か」という問いへの答えを手繰り寄せる旅だ。序盤に踏み込む岸壁の街マルティネーズは、衰退した工業都市の空気を纏っており、そこに生きる人々の会話ひとつひとつに歴史と痛みが滲んでいる。組合と企業の対立、革命の残滓、信仰の空洞化——それらが殺人事件の背景として織り込まれており、「犯人を突き止める」という行為が、気づけば「この世界がなぜこうなったのか」を理解することと不可分になっている。 ## Steam評価の裏にあるもの 圧倒的好評という評価は珍しくないが、Disco Elysiumのそれは少し異質だ。高評価の理由が「面白かった」ではなく、「これは体験だった」「何年も忘れられない」という種類のものが多い。 その理由は、このゲームが「失敗」をプレイヤーへの罰として扱わないことにある。スキルチェックに失敗しても、ゲームオーバーにはならない。むしろ失敗が新しい会話を生み、別の展開を引き起こす。酔っ払いの探偵が事情聴取でしどろもどろになり、容疑者に哀れまれる——そのシーンは「ミス」ではなく、作品として成立した一幕になる。このデザイン哲学が、プレイヤーに「どうせ失敗するなら、一番おかしな選択肢を選んでみよう」という自由を与える。そしてその自由が、ゲームへの深い愛着に変わっていく。 ## 育成と成長の喜び 24種類のスキルは単なるステータスではなく、それぞれが独立した「人格の断片」として機能する。「修辞学」を高めると詩的な論述が可能になり、「肉体的な道具」を育てると体が独自の判断を下し始める。「内なる帝国」は大失敗した自分を偉大な存在として再解釈し続け、「空想的思考」は現実から逸脱したアイデアを次々と提示する。 面白いのは、これらのスキルが互いに矛盾する声を上げることだ。「論理」が冷静な分析を示す傍らで、「感情移入」が相手の悲しみを訴える。どのスキルに耳を傾けるかは常にプレイヤーの選択であり、それが探偵の「人格」を形成していく。レベルアップによるスキル振り分けは単純な強化ではなく、「どういう探偵になるか」という問いへの継続的な回答だ。 ## サイドクエストの質 メインの殺人捜査から外れた寄り道が、このゲームの真の豊かさを形作っている。廃墟となったアパートに住む老人の話を聞けば、崩壊した革命と個人の挫折が交差する小さな歴史が現れる。港で出会う男の依頼は、最初は些細な頼みごとに見えて、掘り下げると街全体の経済構造と繋がっている。どのキャラクターも「そこに生きていた理由」を持っており、話しかけるたびに世界の解像度が上がっていく感覚がある。 サイドクエストを「消化すべきコンテンツ」として扱うのではなく、「この世界を理解するための対話」として位置づけているため、何十時間経っても「次は誰と話そうか」という前のめりな気持ちが持続する。 ## 似たゲームとの違い テキストベースのRPGという点で『Planescape: Torment』との比較が語られることが多いが、Disco Elysiumはそれよりもずっとアナログなゲームだ。Planescape が壮大な形而上学的問いを扱うのに対し、Disco Elysiumはより地べたに近い——アルコール依存、老い、政治的失望、貧困、自己嫌悪といった、現実の人間が抱える重さを正面から扱う。 同じく対話重視の『Divinity: Original Sin 2』とも根本的に異なる。あちらが戦略性と物語のバランスを保つのに対し、Disco Elysiumは戦闘を完全に除外することで、テキストの密度と演出の深度に全リソースを注いでいる。その結果として生まれた世界の質感は、他のRPGでは到達しえないものになっている。 ひとつ断っておくべき点がある。このゲームは万人向けではない。大量のテキストを読むことを楽しめない人、明確な目的と達成感を求める人には向かないかもしれない。また、政治思想や哲学的な議論が随所に登場するため、そうした話題に嫌悪感がある場合は辛くなることもある。価格は¥1,025と手頃だが、この体験を受け取れるかどうかは、「テキストゲームを読むこと自体に快感を見出せるか」にかかっている。 探偵の名前を思い出したとき、その記憶はゲームとともに長く残る。それがこのゲームの本質だ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 63時間

無に勝る愛を人に投げかける 奇妙だが無害な妄想、 最低限の精力で無理な体裁の生活を維持している。 これはでたらめなパラドックスだ リスクを嫌うあなたは、 自由を渇望する。 あなたはずっとここに座っていて、 関節が腫れて変形する あなたは自分を慰めて、 少なくともまだ 色とりどりで美しい. 水没する。⏰🏡 🏢 🏣 👚 🎉🍾 🍷 🥫 🍱 🍘 🍙 🍚 🍛 🍜

👍プレイ時間: 28時間

・TRPGが好きな人なら絶対におすすめ ・操作感については他の方も言及している通りやや悪いものの気にならない ・とにかくテキスト量は多いのでふんわり理解しながらでOK 世界観がしっかり作り込まれていて、かつ英語だけどフルボイスという豪華な作り。 映画の中に入り込んだような没入感がある。 一方で自分の選択次第で物語のディティールが変わり、2周目もプレイしたくなる。 時間を空けてプレイしてしまうと前に何をしてたのかがわからなくなるので、なるべくまとまった時間を取ってプレイするのがおすすめです。

👍プレイ時間: 24時間

テキストが多くて面白い。ゲームのテキストなんて多ければ多いほどいいぜ!って人におすすめです。あとキム・キツラギがメロい。それだけでもプレイする価値があると思います。

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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