
HumanitZ
開発: Yodubzz Studios発売: indie.io¥2,300
PlayNext レビュー
ゾンビが蔓延した世界で、今日の食料を確保し、夜をやり過ごし、少しずつ安全な拠点を築いていく——HumanitZが提供するのは、そういった「生きることそのものの手応え」だ。クォータービュー視点のオープンワールドサバイバルというスタイルは、同ジャンルの多くのタイトルとは一線を画しており、戦略性と咄嗟の判断力を同時に要求してくる。見下ろし視点だからこそ、周囲の状況が把握しやすく、複数のゾンビに囲まれたときでも冷静に動線を考えられる。これが本作最大の設計的強みであり、独自の緊張感を生み出している。
ゲームプレイの基本軸は「探索・収集・クラフト・建築」の4要素。廃屋に忍び込んで缶詰を漁り、森で薪を拾い集め、安全な拠点に帰還してバリケードを補強する——この繰り返しが序盤の核心だ。物資が乏しい序盤はとにかく緊張感がある。ゾンビ数体に囲まれれば即座に危機的状況になり、弾薬は貴重品、近接武器も耐久度が削れてすぐ壊れる。「この廃病院に踏み込むべきか」という判断が本当に重い。しかし探索して新しいクラフトレシピを解放し、拠点が少しずつ形になっていく過程は純粋に達成感がある。建築システムは壁・床・柵を組み合わせて自由に設計でき、「ゾンビに破壊されにくい陣形」を考え始めると時間を忘れる。
戦闘の手触りはやや武骨だが、それがリアリティに繋がっている。銃撃は小気味よいフィードバックがあり、ゾンビを1体ずつ確実に仕留めていく感覚は悪くない。ただし大群相手にアクションゲーム的な爽快感を期待すると拍子抜けするかもしれない。むしろ本作の戦闘は「できる限り避けるか、確実に仕留めるか」という選択の積み重ねであり、無謀な突撃は即死に直結する。近接・遠距離・罠と選択肢は豊富で、夜間に松明で誘導したり、柵で誘き込んだりといった「場を作る」立ち回りが有効になる。RPG的なスキルツリーも備えており、「体力特化の近接ファイター」「隠密重視の探索者」「建築職人」など、プレイスタイルに応じた成長が楽しめる。
ビジュアルはトップダウン視点の2.5Dスタイルで、インディーゲームとして十分な水準に達している。崩壊した都市、森林、農地といった多様なロケーションが用意されており、廃墟の陰鬱さと静寂の草原の対比が世界の崩壊感を演出している。グラフィックが飛び抜けて美麗なわけではないが、この手のゲームに必要な「荒廃した世界の説得力」はしっかり出ている。サウンドは環境音が特に秀逸で、夜に遠くから聞こえるゾンビの唸り声や、草むらを踏む音への反応が緊張感を底上げする。BGMは控えめで、むしろ無音の静けさが恐怖を煽る設計になっている。
世界観としては「文明崩壊から数ヶ月後」というリアルな時間軸が設定されており、随所に残された痕跡——日記、落書き、遺体の配置——が無言のナラティブを語る。大仰なストーリーカットシーンはなく、世界の「読み解き」をプレイヤーに委ねるタイプだ。生存者コミュニティとの関わりも存在し、NPCとの交流や物資交換を通じて、崩壊した社会の残り火のような人間ドラマが浮かび上がってくる。
同ジャンルのタイトルと比べると、Project Zomboidと最も近い設計思想を持つが、あちらよりも間口は広い。Project Zomboidはシステムの複雑さと高い死亡率で初心者を弾きがちだが、HumanitZは難易度調整の自由度が高く、サバイバル初心者でも段階的に楽しめる。Don't Starveのような独特の世界観はないが、その分リアル路線のゾンビサバイバルとして素直に楽しめる。Undawn(モバイル寄り)やThe Walking Dead: Saints & Sinnersとは異なり、建築と拠点防衛の比重が大きいのが特徴だ。マルチプレイ対応もあり、友人と協力して大規模拠点を築く体験はこのゲームならではの醍醐味といえる。
プレイ時間の目安は、メインコンテンツを一通り体験するだけでも40〜60時間はかかる。序盤の生存基盤確立に10〜15時間、中盤の拠点拡張と探索エリア開放に20〜30時間、そこから先は自分で目標を設定して遊ぶサンドボックス的な楽しみ方になる。マルチプレイで友人と役割分担して大型拠点を建設するプレイスタイルは、沼にはまると100時間超えも珍しくない。現時点でエンドゲームコンテンツは比較的薄く、「最終目標」に向けて突き進むタイプより、過程そのものを楽しめる人向けのゲームだ。
注意点として、本作はアーリーアクセス作品であり、バグや未実装要素が存在する。開発チームの更新は継続的に行われているが、完成度という点では発展途上の部分もある。UIの洗練度や一部チュートリアルの不親切さも指摘されており、序盤は手探りで覚える覚悟が必要だ。また、ゾンビサバイバルのループが合わない人——探索や資源管理よりアクションやストーリーを重視する人——には刺さりにくいかもしれない。
こういう人には強くおすすめしたい。Project ZomboidやRimWorldが好きだが、もう少しとっつきやすいものを探している人、友人と協力して拠点を作り上げる楽しさを求めている人、ゾンビものの「じわじわ追い詰められる恐怖」より「計画的に生き延びる達成感」が好きな人。逆に、派手なアクションゲームや濃密なストーリーを期待する人、完成度の高い洗練された体験を求める人には不向きだろう。¥2,300という価格を考えれば、サバイバル好きには間違いなく費用対効果の高い一本だ。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 58時間
物資を入れておく箱や、拠点の壁に色を塗れると良いんだけど・・・ そういうアップデート来るの待ってます
👍プレイ時間: 227時間
キーバインドと比べて使える機能に差を感じる。必要な機能を自分で割り当てたいので自動認識と自動割り当てをなくして欲しい。コントローラーの設定が不親切な点さえ目をつぶれば、おすすめできる。キーボード勢なら普通に楽しめそうな作品。
👍プレイ時間: 116時間
材料集めて建築したり武器作ったり、車も乗れてサバイバルして満喫できます。もっと罠があれば楽しいかも。
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











