
iRacing
開発: iRacing.com Motorsport Simulations発売: iRacing.com Motorsport Simulations¥1,200
Steam レビュー
好評
PlayNext レビュー
ハンドルを握った瞬間、これが「ゲーム」だという感覚は薄れる。iRacingは、モータースポーツのシミュレーションを標榜する作品の中でも、一線を画した存在だ。ラップタイムを削る快感よりも先に、「自分が今、本物のレーシングカーを操っている」という重みが指先から伝わってくる。世界中のドライバーと同じコースを走り、同じルールで競い、同じ失敗をする。その体験は、F1 2024やグランツーリスモシリーズのような「レーシングゲーム」とは根本的に異なるものだ。
## タイヤとアスファルトが語るリアリティ
iRacingが他のレーシングタイトルと決定的に異なる点は、物理演算の設計思想にある。グランツーリスモやAssetto Corsaでも優れた物理モデルは体験できるが、iRacingのそれはもう一段、現実の挙動に執拗に寄せている。タイヤの温度管理、燃料の重量変化、サスペンションのジオメトリーが走行ごとにリアルタイムで計算される。コーナーへの進入速度が5km/hオーバーなだけで、リアが流れる前に手がフィードバックを拾う。ステアリングコントローラーのforce feedbackを通じて伝わってくる情報量は、他のタイトルを遊んだ後ではっきりと「薄い」と感じるほどだ。
コースもまた同様だ。ニュルブルクリンク、デイトナ、スパ・フランコルシャン——有名サーキットはレーザースキャンで実測データから再現されており、バンピングセクションのわずかな突き上げや路面のグリップ変化が再現されている。Assetto Corsa Competizioneのレーザースキャンコースも精度は高いが、iRacingはそこに天候変化や路面のラバーアップ(走行重ねによるグリップ向上)まで加えてくる。コースを走るたびに路面が変化するという体験は、一周ごとに「今日の路面は今日だけのもの」という感覚を与える。
## オンラインの集合体——iRatingとサーフェスとしての競技
iRacingの核心はオンライン競技体験にある。プレイヤーには「iRating」と「セーフティレーティング」の二軸が付与され、強さとクリーンな走りの両方が数値化される。マッチングはこのレーティングをもとに組まれるため、初心者がいきなりトップドライバーと混走することはない。同程度の腕前の相手と、互いにコースを傷つけながら競り合うレースが展開される。
ただし、この仕組みの裏返しとして、待ち時間の問題がある。レースは「セッション」単位で定期的に開催されており、自分が参加したいレースに必要な人数が集まらないと成立しない。日本時間の深夜帯は参加者が少なく、希望のカテゴリで走れるまで30分以上待つケースもある。Forza Motorsportのようにいつでも数分でマルチプレイに入れるタイトルと比較すると、この待機コストは無視できない。それでも、ようやく始まるレースは「本物に近い緊張感」を持っており、待った時間を帳消しにする密度がある。
## 課金構造と覚悟が必要な入口
iRacingはサブスクリプション型で、ゲーム本体の購入後も月額・年額の会費が発生する。さらにコースや車両の多くは個別購入が必要で、本格的に楽しもうとすると年間コストは相応の額になる。Steam価格の¥1,200はあくまでエントリー費用に過ぎず、ここに気づかずに購入すると面食らう。
加えて、ステアリングコントローラーなしではこのゲームの真価を体験することはほぼ不可能だ。キーボードやゲームパッドでも走れるが、物理演算の精緻さが逆に操作の難しさとして跳ね返ってくる。Logicool G923クラス以上のステアリングを揃えてから初めて、iRacingは「楽しいもの」になる。
こうした条件を踏まえてなお、本格的なモータースポーツ体験を求めるなら、iRacingは現時点で到達できる最高到達点の一つだ。グランツーリスモでチャンピオンになり、Assetto Corsaで物理演算の面白さを知り、それでもまだ「もっと本物に近いものが欲しい」と感じている人間にとって、この沼の深さは相応しい。週末の1レース、世界のどこかにいる相手と同じコースを走る——その体験は、ゲームの定義を少し書き換える。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 73時間
レース楽しすぎ! やっとまともにレース出来るゲームに出会えました! ルーキーの間は全員””自分は悪くない””と思ってる為、ハチャメチャバトルだけど、ランクが1つ上がるだけで結構まともなレースが出来ます。 全部英語だけど解説サイトや動画があるのでどうにかなります! 自分で調べる努力は必要かも。 特定のカテゴリで遊びたい!って方は、事前に調べた方が良いと思います。 過疎カテゴリもある様なので。 セールの時に買えば「3000円 / 12ヶ月」くらいで出来ます。試すにはもってこいです。 コースや車にお金がかかるイメージですが、無料のMX-5で走るだけでも面白いです。 レース楽しすぎ!
👍プレイ時間: 118時間
本格的な挙動を好む方、嘘っぽくない本気のレースをお望みの方におススメです。 忖度の無い、現実的な結果を突き付けられる日が続くかもしれません。焦らずにプレイすることが求められます。 気を付けるべき点は、車やコース、友達同士の貸し切りのレースは有料であることです。 グランツーリスモのように「ソフトだけ購入して後は無料!」とはいきません。 決して安くはありませんが、それでも尚おススメできるシミュレータです。
出典: Steam ユーザーレビュー
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