
OFF
開発: Mortis Ghost発売: Fangamer¥1,700
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
「俺はバッター。聖なる任務を任されている」——その一文から始まるこのゲームは、プレイヤーに何かが根本的にずれていると感じさせるまで、そう時間がかからない。OFFは、フランスのクリエイターMortis Ghostが2008年にRPGツクールで個人制作した作品で、インターネットの口コミだけで世界中のプレイヤーに届き、インディーRPGの歴史に名を刻んだ一本だ。Steamへの正式移植を経て、今なお新たな発見者が絶えない。
このゲームの核心を一言で表すなら「問いかけてくるRPG」だ。ドラゴンを倒すためではなく、世界を浄化するために戦う。プレイヤーはバッターを操り、幽霊が徘徊する奇妙なゾーンを次々に清めていく。だが、進めるほどに「浄化とは何か」「この世界に住む者はどうなるのか」という疑念がじわじわと積み上がってくる。ゲームが終わったあと、最初の一文を思い出してほしい。意味が変わって見えるはずだ。
ゲームプレイ自体はコマンドバトル式のシンプルなターン制RPGで、攻撃・スキル・アイテム・防御を組み合わせていく。難易度はそれほど高くなく、敵の攻撃パターンを覚えれば詰まることは少ない。特徴的なのは「コンピテンスバッジ」システムで、バッジを装備することで戦闘スタイルを柔軟に変えられる。特定の属性ダメージを強化したり、補助役に特化したりと、パーティ構成に応じた調整が可能だ。戦闘テンポは小気味よく、エンカウント率もほどよい塩梅で調整されており、世界観探索の邪魔になりにくい。
ビジュアルは白と黒を基調としたドット絵で、ゾーンごとにガラリと雰囲気が変わる。金属的な工場地帯、肉感的な異空間、過剰なまでに陽気な砂糖の国——それぞれが意図的に「普通ではない」デザインをしており、見ているだけで不安が募る。人間のキャラクターはほとんど登場せず、代わりに幾何学的な形のキャラクターたちが世界を動かしている。この意図的な人間不在が、物語の根底にある違和感を静かに強化し続ける。
サウンドは本作の大きな功績のひとつだ。Alias Conrad Coldwoodが手がけたサウンドトラックは、ゾーンの雰囲気に合わせて緊張感のある電子音楽から不気味なアンビエント、マーチングバンド風の奇妙な行進曲まで、ジャンルを横断する。戦闘曲は中毒性があり、特定のBGMを聞くだけで場面がよみがえってくるほど印象的だ。
物語は意図的に謎を残す構造をとっている。世界はどこからきたのか、バッターの任務とは本当に何なのか、随所に挿入される独特の会話劇が少しずつ核心に近づいていく。親切なチュートリアルもなく、説明のない固有名詞や概念がぽんぽん登場するが、その不透明さこそがこのゲームの語り口だ。不完全な情報から解釈を組み立てていく楽しさを理解できるプレイヤーにとっては、それが最大の魅力になる。
同じく「問いかけるRPG」としてUndertaleとよく比較されるが、方向性はかなり異なる。UndertaleがプレイヤーとNPCの関係を正面から扱うのに対し、OFFはより抽象的で不気味な切り口からプレイヤーの立場そのものを問う。また、同時期のフリーゲームRPG群(Yumenikki、Elona等)と並べると、OFF特有の「作者の声が透けて見える奇妙さ」がひときわ際立つ。コマンドバトルが得意なプレイヤーには、IB(いわゆるホラー系フリーゲーム)よりも戦闘面で満足感があるだろう。
プレイ時間は一周5〜8時間程度。周回要素は一応存在するが、このゲームの真価はシステム的なやり込みより一度きりの物語体験にある。エンドコンテンツとしてはコンプリート要素がいくつかあるが、初見のプレイ体験を補完する目的が強く、何度もクリアして楽しむタイプではない。
注意点としては、ゲームの性質上「世界を浄化する行為」の意味が問い直される場面があり、人によってはかなり重く感じる内容だ。また、テキストはほぼ全編英語(原作フランス語からの英訳)であり、日本語訳は現時点では公式対応していない。英語読解が苦手なプレイヤーには物語の核心が伝わりにくい部分がある点は留意してほしい。
こういう人に強くすすめたい:不思議な世界観と問いかけ型の物語が好きで、Undertaleやホラーフリーゲームに何かを感じた経験がある人。短時間でも密度のある体験を求めている人。絵の不完全さや英語テキストを気にせず世界観に潜れる人。
逆に合わないかもしれないのは、ドラマチックな演出や日本語字幕つきの没入感を求めるプレイヤー、爽快感のある戦闘や明確な強化の達成感を重視する人だ。バッターが「俺の任務は正しい」と言い続ける声に、最後まで疑問を感じなかったとしたら、このゲームはあなたに何も仕掛けていないことになる。それはそれで、ひとつの答えかもしれない。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 7時間
難解な言い回しがこの世界観を作るスパイスになって面白かった いろいろと分かりづらい部分も多かったが大昔に話題になっていた作品を公式日本語で遊べただけ満足した フリゲ時代のBGMは作曲者の許可が得られず、新しいBGMになると聞いてドキドキしていたが元の雰囲気にできるだけ寄せるような努力を感じた だがしかし、元のBGMを知ってしまっているとどうしても物足りなく感じた それでもキャラクターは変わらず魅力的だったので、未プレイの人は気になったらプレイしてほしい作品
👍プレイ時間: 11時間
新要素!?おいおい、今までたくさんあった謎が解き明かされるのか!? [spoiler] と思って買ったけど、更に謎が増えました [/spoiler] 絵が好きです
👍プレイ時間: 15時間
フリゲ版もプレイ済みだが、こちらも良かった。 新規BGMも個人的にはそんなに悪くないと思う。 追加ボスについてはよく分からなかったが、[spoiler] スクレ(フリゲ版ではシュガー)に関する新たな言及がないのが残念だった。 [/spoiler]
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











