
OFF
開発: Mortis Ghost発売: Fangamer¥1,700
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
「俺はバッター。聖なる任務を任されている」——この一文から始まる物語は、プレイヤーが想像するどんな「使命」とも異なる場所へ向かう。OFFはフランス人開発者Mortis Ghostが2008年にRPGツクール2003で制作したフリーウェアゲームであり、Steam版はその作品をほぼそのままの形で届ける。プレイ時間はおよそ5〜8時間。短い。しかしその短さの中に、長編RPGが束になってかかっても届かない種類の傷を残す。バットを持った無口な男が、幽霊に取り憑かれた世界を「浄化」する旅。これだけを読めばシンプルなヒーローの物語に聞こえるかもしれない。だが、OFFはプレイヤーが「主人公」を信じる意志そのものを問い直してくる。
## 世界の広さと密度——狭くて深い四つのゾーン
世界は四つの「ゾーン」で構成される。それぞれ金属・肉・煙・プラスチックといった奇妙な素材で構成された場所であり、その名称通り、工場のような機械的な世界、腐肉が壁を構成する空間、幻燈的な霧の中の町などが登場する。マップ自体はそれほど広くない。隠し部屋の探索や複雑なダンジョンを期待すると肩透かしをくう。
しかし密度は別の軸にある。NPCのセリフは短く、しばしば奇妙で、文脈を欠いている。「ここで何が起きているのか」は説明されない。廃墟のような場所に立つ人々が何を守り、何を恐れているのか、プレイヤーは断片を拾い集めながら補完するしかない。この不完全さは欠陥ではなく設計だ。世界の「空白」がそのまま、この世界が抱える不健全さの表れになっている。EarthboundやYume Nikkiと並んで語られることが多いのは、いずれも「正常に見える表面の下に歪みを隠す」という感触を共有しているからだろう。ただOFFの歪みはより直接的で、最終的には倫理的な問いとして露出する。
## 育成と成長の喜び——アドオンと戦闘の手触り
RPGとしての骨格はシンプルだ。バッターはゾーンを進みながら「幽霊(スペクトル)」と戦う。コマンド選択式のターン制バトルで、複雑なシステムはない。特筆すべきは「アドオン」という概念で、バッターはゲームの進行とともにアドオンと呼ばれる存在を仲間に加える。彼らはバッターの能力を補完し、特殊攻撃を担う。アドオンの名前や外見には遊び心と不気味さが混在していて、世界観の一部として機能している。
戦闘のテンポは軽快で、レベルアップによる成長も着実に感じられる。ただし、ゲームの魅力の中心は戦略性や育成の深さではない。戦闘はどちらかと言えば「旅の途中の作業」として機能しており、世界を進む動機を支えるための構造として存在する。UndertalやLISA the Painfulと比べると、戦闘システムの独自性は薄い。OFFを動かすのはメカニクスではなく、バッターが聖なる任務を遂行するたびに積み重なる、ある種の違和感だ。
## こういう人には合わないかも
グラフィックはRPGツクール2003の素材を基調としており、現代の水準で「美しい」とは言えない。音楽はAlias Conrad Coldwoodによる電子音楽で、独特の雰囲気を持っているが、人を選ぶ。操作性は素朴で、フィールドの移動や画面切り替えに現代のゲームと比べると引っかかりを感じる場面がある。
何より、このゲームは「説明しない」。なぜこの世界が存在するのか、登場人物たちは何者なのか、バッターの任務が何を意味するのか——すべては謎のまま進み、答えは明快に与えられない。「謎を解きたい」「伏線を回収したい」という欲求でプレイすると、充足感より消化不良を覚える可能性が高い。また、ゲームとしての難易度は低く、ボス戦でも詰まる場面は少ない。RPGとしての挑戦を求めるプレイヤーには物足りない。
## エンドコンテンツの充実度——5時間の余韻と、それ以後
周回要素ややり込み要素はほぼない。クリア後に解放されるコンテンツも最小限で、プレイ時間の延長を意図したデザインではない。エンドコンテンツという概念がこのゲームに馴染まない理由は、ゲームそのものが「終わること」をテーマに据えているからだ——と言ってしまうと、ネタバレの境界を踏み越えそうになる。
だから言い方を変える。OFFはクリアした直後に最も「動く」ゲームだ。エンディングを見た後で、序盤のセリフを思い返したとき、プレイ中に無意識に受け入れていた前提が崩れていく感覚を覚える。再プレイより、クリア後に誰かと話したくなるゲームだ。プレイ時間5〜8時間で¥1,700という価格を「割高」と感じるかどうかは、この余韻をどう評価するかによる。
## こういう人におすすめ
UndertalやDODGER系の「メタフィクション的RPG」が好きな人には強く薦めたい。Undertaleがプレイヤーの選択に倫理を問いかけるとすれば、OFFはプレイヤーが無批判に「主人公に従う」という行為そのものに問いかける。このゲームの恐ろしさは、プレイヤーが途中まで何も疑わずに進んでしまうことにある。
また、短くて密度の高い体験を求める人にも向いている。長大なRPGに時間を割けないが、物語の核心に触れる体験をしたい——そういうニーズにOFFは応える。グラフィックや操作性の古さを許容できるなら、それはほとんど障害にならない。この作品が「過去20年間で最もインパクトのあるRPGの1つ」を自称するのは誇張ではない。ただし、そのインパクトは爽快感でも感動でもなく、静かな不快感と問いのかたちをしている。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 25時間
我々の思い出のゲームがリメイクされ、遊びやすくなって帰ってきた!背景画像など追加グラフィックがあったり、世界観を壊さないような[spoiler]手強い隠しボスたち[/spoiler]が新しく加わっていたり、より原語版のニュアンスに近くなったという日本語訳も、新しくなった曲も落ち着きや迫力があってちゃんと没頭できたので良かったです……でもシフトキーを示すアイコンが上矢印キーと紛らわしいのと、背景画像「ダイナミック」が最終面のあるタイミングからエンディングになっても切り替わらないままなのはちょっと不満点……
👍プレイ時間: 8時間
ゴーストをしばき倒していくゲーム。エンカウント率が多少億劫なこと以外は良作。 BGMもハマること間違いなしだがこれは”リメイク版”になる。 オリジナルのBGMが聞きたいなら”コショーステーキ”で検索!
👍プレイ時間: 21時間
ユニークで魅力的、辛いけど時に楽しくて、でもやっぱり苦しい…。 唯一無二の輝きを放つ作品だと思います。 素晴らしい日本語訳のもとでプレイすることができ、本当に良かったです。
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











