Once Human

Once Human

開発: Starry Studio発売: Starry Studio無料

PlayNext レビュー

文明が崩壊した世界で、人間はもはや人間ではない何かへと変容しつつある——*Once Human*はそんな終末のシナリオを舞台に、サバイバル、クラフト、MMOを融合させたオープンワールドゲームだ。Starry Studioが開発したこの作品の核心にあるのは、「汚染」という概念だ。世界を覆う謎の物質「スターダスト」が生物を異形の怪物へと変え、プレイヤーキャラクターは半人半機のメタヒューマンとして、その狂った世界を生き延びる。*ARK: Survival Evolved*や*Rust*に近い立ち位置でありながら、SFホラーの空気感と大規模なオンライン世界が混ざり合うことで、ジャンルの文法を独特な方向へ引き伸ばしている。 ## 世界への没入——探索のモチベーション マップを歩き始めると、まず視覚的な密度に驚かされる。廃墟化した都市、枯れた森、スターダストに汚染されたクレーター地帯が入り混じり、どの方向に進んでも「ここには何があるのか」という好奇心が途切れない。探索を促す仕掛けとして、各エリアに「偏差」と呼ばれる特殊な汚染ゾーンが点在しており、これが実質的なダンジョンの役割を果たしている。モンスターの密度が上がり、独自のボスが出現し、クリアすると固有の設計図や資材が手に入る。 ただの広大なフィールドではなく、ナラティブの欠片が世界中に散らばっているのも面白い。アイテムの説明文、環境に置かれたメモ、廃棄されたデータ端末——これらをつなぎ合わせることで、崩壊前の文明がいかにして滅びたのかが少しずつ見えてくる。*Fallout 4*のようなロアの深さを期待すると肩透かしを食うが、探索に「読み解く」という層が加わることで、単純な資材集めに終わらない奥行きが生まれている。 ## 学習曲線——序盤の壁と設計の工夫 正直に言えば、序盤の数時間は情報量の多さに圧倒される。クラフトシステム、テリトリー建設、武器改造、スペックシステムと呼ばれるキャラクターカスタマイズ——これらが同時に展開されるため、チュートリアルをこなしながらも「自分が今何をすべきか」が掴みにくい。*Valheim*のような「試行錯誤の中で自然に覚える」設計とは異なり、*Once Human*はシステムの数が多いぶん、序盤の密度が高い。 ただし、ゲームはプレイヤーを完全に放り出すわけではない。メインクエストが適切なペースで次の目標を提示し続けるため、迷子になることは少ない。問題は「提示された目標に向かう途中で、別のシステムの学習が突然必要になる」構造にある。武器改造の概念を理解するために、まずスペックポイントの仕組みを知らなければならない、という連鎖が続く。慣れてしまえばシステム同士の噛み合いが心地よく感じられるのだが、その段階に到達するまでに離れてしまうプレイヤーが出ることは想像に難くない。MMOやサバイバルゲームに慣れているなら序盤の壁は低いが、初心者には少々不親切な入り口だ。 ## 協力プレイの達成感——共同建設と攻略の面白さ *Once Human*が最も輝くのは、複数人で遊んでいるときだ。テリトリー(拠点)の建設は個人でも楽しめるが、チームで役割を分担すると一気に効率と創造性が増す。資材を集める者、設計に集中する者、防衛を担当する者——それぞれのプレイスタイルが自然に分岐し、誰かの貢献が全体の進歩に直結する感覚が生まれる。 「偏差」ボスの討伐は特に協力の醍醐味が出る。単独でも攻略できなくはないが、ボスの攻撃パターンが複数人を想定した設計になっているため、役割分担(タンク、アタッカー、回復サポート)が機能したときの達成感はMMOのレイドに近い。*Palworld*のようなカジュアルな協力とは一線を画し、ボス戦に一定の戦術的な思考が求められる点が、攻略好きなプレイヤーには刺さるはずだ。ただし、フレンドなしでランダムマッチに頼る場合は連携が取りにくく、協力の恩恵を受けにくい側面もある。 ## 演出と雰囲気——崩壊世界の美しい不気味さ ビジュアルの方向性は*Control*や*Alan Wake 2*に通ずる「怪異と日常の混合」に近い。スターダストに汚染されたモンスターは有機物と無機物が融合したような造形で、見た目のインパクトが強い。夜になると汚染エリアの光が禍々しいオーレンジや青白い色に染まり、環境そのものが生きているような印象を与える。 BGMはアンビエントとノイズが混じった質感で、常に「何かがおかしい」という緊張感を底流に漂わせる。戦闘に入った瞬間に曲調がシャープに切り替わる演出も効果的で、探索中の静けさと戦闘の緊張が対比として機能している。グラフィックの水準は高く、無料プレイタイトルとしては明らかに頭ひとつ抜けた品質だ。 注意点として、アイテム課金モデルを採用しているため、コスメティック(見た目アイテム)の購入圧力はある。ゲームプレイ上の有利は購入できない設計になっているが、バトルパスの存在やサーバーシーズン制(一定期間でリセットされる)を好ましく思わないプレイヤーも多い。腰を据えて一つのキャラクターを育てたい人には、このリセット型の進行が壁になる可能性がある。 崩壊した世界を友人と共に再建する体験に興奮できる人、SFホラーの美学が好きな人、サバイバルMMOのジャンルに食い足りなさを感じていた人——そういったプレイヤーには、*Once Human*は期待以上の体験を届けてくれるはずだ。

スクリーンショット

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