154万件を超えるレビューの97.4%が好評、評価ラベルは最上位の「圧倒的に好評」。2011年5月16日に Re-Logic が出した2Dサンドボックスは、発売から15年近く経った現在も同時接続24,986人を抱えている。この数字だけを見れば議論の余地はない。ところが日本語のレビューを実際に読み下すと、絶賛と酷評は「面白いかどうか」では割れていない。割れているのは、このゲームが何も説明してくれないという一点と、周回のたびに素材を集め直させる構造をどう感じるかの二点だけだ。しかも否定側には、64時間・333時間・402時間と、かなり遊び込んだ人が並んでいる。
掘る・戦う・建てるが一つのループに畳まれている
ストアの紹介文は「掘って、戦って、探検して、作ろう!」で始まり、ランダム生成の世界と無料アップデートの継続を売りにしている。この「アップデートの継続」がまず尋常でない。212時間プレイのレビュアーは「テラリアはマインクラフトとほぼ同時期の2011年にリリースされ、10年以上経った今でもアップデートをし続けているゲームです。」と書き、末尾を「何回最終アップデートするんだよ…(歓喜)」で締めている。最終アップデートを名乗ってから何度も追加が来ている、という前提が日本語コミュニティでは共有の笑い話になっている。
遊びの手触りとしてよく挙がるのは、2Dであることの利点だ。同じ212時間のレビュアーは「建築に関しては2Dながらも無限の可能性があるなと感じました。」と述べ、38時間のレビュアーは「2Dでよくここまで自由度の高いゲームを作れたなとプレイしながら感動しました」と書く。156時間のレビュアーの「3D酔いをしない唯一のゲームなので長時間没頭できて、オススメです。」は、3D酔い体質の人にとっては決定的な情報になる。よく比較対象にされるあの立体サンドボックスと違い、本作は横スクロールの画面で地下深くまで潜っていく。93時間のレビュアーが「ジャンルというか業界での立ち位置が似ているマインクラフトに比べて探索要素が強いのが個人的には好き」と書くとおり、建築より先にまず「潜って強くなる」が来るゲームだと思ったほうが実態に近い。
分量も相応にある。771時間のレビュアーは「本当に無限に遊べる」と一行で片付け、234時間のレビュアーは「新規からプレイして相性良ければ軽く100時間は楽しめるゲームなのではないかな。」と見積もっている。レビュー投稿者がこの作品を遊んだ時間の中央値は約168時間で、この「軽く100時間」という見積もりが誇張でないことは数字の側からも裏づく。
「説明しない」は仕様であって、脱落者はそこで落ちる
否定側で最も多いのは、難易度ではなく導線の不在への不満だ。プレイ時間0時間で非推奨に投じたレビュアーは「名作だと聞き、初めてプレイしてみたが、まったく操作方法の説明もなく、初めて知る楽しさよりも、何もわからないイライラの方が勝ってしまうゲーム。」と書き、「本当に何の説明もなかったので、開始30分で意味も分からずアンスコした。」と続けている。48時間プレイのレビュアーも「説明と序盤の進め方が分かりずらく、最初のボスを倒すのに3時間以上かかった。忍耐力がない人は買うべきではない。」と結論している。
この不満は不具合ではなく設計に起因している。本作は作れるものも行ける場所もほとんど提示せず、プレイヤーが自分で試すか外部の情報を引くことを前提に組まれている。333時間遊んだレビュアーが「ゲーム内容は最高です。癖がかなりありサイトを見ないと分からないことが多いですが。」と、肯定と留保を同じ文に押し込んでいるのが象徴的だ。つまり、攻略サイトやWikiを開きながら遊ぶことに抵抗がない人、あるいは詳しい人と一緒に始められる人にとっては、この欠点はほぼ存在しない。逆に、ゲーム内で完結する手ほどきを期待する人は開始30分で降りることになる。ここは好みの問題ではなく、遊び方の前提が合うか合わないかの問題として先に判定しておいたほうがいい。
「手間を人質にする」構造をどう見るか
もう一つの否定は、深く遊んだ人からしか出てこない種類のものだ。402時間プレイのレビュアーは「レビュアーのプレイ時間の70%以上が、この手の「作業時間」です。」としたうえで、「「手間を人質にするゲーム」自体は悪くないんです。」と認め、それでも「ただこのゲームは手間を人質にしすぎです。」と結んでいる。ボスに再挑戦するにも、強化用のポーションを用意するにも、そのたびに素材集めからやり直す設計への苛立ちである。64時間のレビュアーはより具体的で、「一応ハードモードまでは進めましたが、プランテラというボスと再戦するための仕様がクソ過ぎてストレスに勝てずアンインストールしました。」と書き残している。
この不満が刺さるかどうかは、素材集めそのものを遊びとみなせるかで決まる。掘って探す時間が目的なら苦にならず、ボス戦だけを高速に反復したいなら壁になる。似た性質の期待外れとして、96時間のレビュアーは自動化を狙って「画面外では敵が一切湧かずに消えていく仕様だった」とぶつかっている。放置して勝手に資源が貯まるタイプのゲームではない、という線引きは買う前に知っておく価値がある。
日本語レビューで最も語気が強い不満も、この「面倒」の系列にある。93時間のレビュアーは「[h3]浸食がめんどくさい[/h3]」「これに尽きる」で書き出し、探索要素の強さを褒めた直後に「しかし」と折り返して、「[h3]浸食がめんどくさい[/h3]」「[h2]本当にめんどくさい[/h2]」「[h1]マジめんどくさい[/h1]」と文字を段階的に大きくしながら繰り返し、最後もまた「これに尽きる」で締めている。浸食(腐敗・深紅の広がり)が何をどう面倒にするのかは本文に書かれていないが、レビュー全体をほぼこの一点に費やしていること自体が強度を語っている。しかもこれは推奨票を投じた人の文章で、この作品に対して最も強く名指しされた否定材料が、肯定側の口から出ているという構図になっている。
操作環境は買ってすぐ確かめたほうがいい
環境面の地雷も無視できない。333時間のレビュアーは「最近のアップデートで、コントローラーだとバグだらけで、遊ぶのが難しくなったので、改善されるまでお勧めしないにします。」と評価を反転させており、1時間のレビュアーは、最初に買ったときはキーマウの操作性もPADも日本語も駄目で「速攻返品しました。」と書き、そのあとの追記で「PADと日本語化対応とのレビューがあったので再度購入してみたら日本語は対応していましたがPADは不完全、やはりバグり散らかしてる模様...」と、買い直した先でもPADが直っていなかったことを報告している。ストアの対応表記だけでは判断できない領域なので、コントローラー前提で買うなら、購入直後に自分の環境で操作周りを一通り触って確認するのが現実的な自衛策になる。キーボードとマウスで遊ぶつもりなら、この報告群は基本的に無関係だ。
向く人と、向かない人
向くのは、目的を自分で決められる人だ。次に掘る場所も次に倒す相手も自分で選ぶことになり、その選択自体を楽しめるなら100時間単位で遊べる。攻略情報を調べながら進めるのが平気な人、2Dの画面で長時間集中したい人、建築に時間を溶かせる人も同じ側にいる。38時間のレビュアーの「時間が秒で溶けます」は誇張ではなく、その溶け方を歓迎できるかがほぼ全てだ。
向かないのは三種類。ゲーム内のチュートリアルで手順を示してほしい人、ボス戦や戦闘そのものだけを短時間で反復したい人、そして自動化・放置で資源が貯まる系の遊びを期待している人。この三つに当てはまるなら、97.4%という数字は自分には効かないと判断していい。逆にどれにも当てはまらないなら、15年間更新され続けたコンテンツ量に対して、投じる時間のほうが先に足りなくなる種類の一本になる。












