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Balatro

Balatro
key visual / steam

批評

ストレートよりワンペアの方が高得点になる——ポーカーの経験者ほど眉をひそめるこの一点が、Balatroという作品の急速な広がりを解く鍵になっている。開発はLocalThunk、販売はPlaystackという小規模体制で、2024年2月20日に¥1,360で発売されたこの一本は、Steamレビュー195,827件のうち97.8%を「圧倒的に好評」に導き、発売から2年近くが経過したいまも8,401人が同時接続を続けている。大型スタジオの物量にも派手な宣伝にも頼らず、ポーカーの役の強さという多くの人が骨身に染みて知っている常識をスコアリングの根本から裏切る設計だけで、ここまでの規模に育った例は珍しい。

「ワンペアがストレートに勝つ」がもたらす発想の転換

公式説明が示す通り、Balatroの骨格は違法とすら形容されるポーカー・ハンドの提出と、150枚のユニークなジョーカーによるシナジー構築にある。15種のデッキと8段階の難易度が用意され、同じ役でもジョーカーの組み合わせ次第でスコアが桁違いに跳ね上がる。ここで多くのプレイヤーを立ち止まらせるのが、ポーカーの一般的な強さの序列を平然と裏切る設計だ。84時間プレイしたレビュアーは「ストレートやフルハウスを頑張って出すより、ワンペアやハイカードをバンバン出した方が強いというのが萎えた。運ゲー要素が強い」としながらも、「ポーカー全く知らない自分でも楽しめた良きローグライクゲーム」と結論づけている。役の格上げよりジョーカーのシナジーを優先させる判断を迫られた時点で、プレイヤーは自分の持っていたポーカー観を一度手放す必要がある。

ポーカーを知らなくても迷い込める入口

この設計のおかげで、Balatroはポーカーのルールを知らない層にも開かれている。18時間プレイしたレビュアーは「面白いけど難しすぎる。麻雀やテトリスなどを知的ゲームとして楽しめる人ならオススメ」と評し、役の強さそのものよりも数字とシンボルの組み合わせを最適化するパズルとしての側面を評価している。6時間プレイしたレビュアーも「おもしろすぎて時間が溶ける危険なゲーム。ポーカーが全く分からなくても大丈夫」と証言しており、役の名前や強さを覚えていなくても、目の前に並ぶ手札とジョーカーの相性だけを頼りに遊べる設計になっていることがうかがえる。ポーカーというテーマを借りながら、実質的には数値最適化パズルとして機能している点が、この間口の広さの正体だ。

高難度で牙を剥く「運ゲー」という手触り

一方で、難易度が上がるほどこの作品の印象は変わる。12時間プレイしたレビュアーは「確かに評判通り面白かった。通常のランをクリアするまでは」と切り出し、「その後は難易度が上がっていくのだが、ただただ『窮屈な運ゲー』という印象だった」「『もう一度やろう』という気にはならない」と結んでいる。31時間プレイしたレビュアーも「ジョーカーの入手やデッキの編集にはどれも運が絡み、高難易度になればさらにその要素が大きくなり、ひたすら上振れとリセマラを繰り返すゲームになってしまう」と指摘する。7時間プレイしたレビュアーが挙げる「ボスブラインドのデバフ効果はちょっとやりすぎ」という不満も、慣れた末に見えてくる自由度の低さへの反応だろう。興味深いのは、こうした批判が7時間、12時間、31時間と、決して短時間で見切りをつけた末の言葉ではないことだ。レビュアーサンプルのプレイ時間中央値は約43時間に達しており、不満を抱えながらも手が止まらない中毒性そのものは、批判者自身のプレイ実績が裏付けている。

『Slay the Spire』『Luck be a Landlord』と並べて見えてくる立ち位置

デッキ構築ローグライクというジャンルの基準点は、依然として『Slay the Spire』だ。あちらはカード1枚1枚が生む戦術的判断の積み重ねと、敵の意図を読む一手の重みで勝負するのに対し、Balatroは手札の役をジョーカーで底上げし、規定スコアを突破できるかどうかという一点にゲーム性を絞り込んでいる。判断の複雑さよりも、化学反応的なコンボが決まった瞬間の爆発力で魅せるタイプの設計だ。より近い親戚を挙げるなら、スロットマシンとポーカーを掛け合わせた『Luck be a Landlord』のような、確率とシナジーを基盤にしたインディー系ローグライクになる。1,699時間プレイした長期プレイヤーは当初「使えるジョーカーとそうでないジョーカーが割とはっきりしてる」と戦略の幅の狭さを指摘していたが、2年後に追記した評価では「高難度になってくるとジョーカーに制限が入るので、デッキやハンドレベルの強化がより重要になる」と見方を改めている。『Slay the Spire』ほどの戦術の網を持たない代わりに、Balatroの奥行きは長時間かけてでしか見えてこない性質のものだ。

向いている人・向いていない人、そして価格という線引き

向いているのは、麻雀やテトリスのような数字とパターンの最適化を娯楽として楽しめる人、そして数十時間かけてジョーカーの組み合わせを研究する持久戦を厭わない人だ。¥1,360という価格は、150枚のジョーカーと15種のデッキという分量に対して明確に安い部類に入る。一方で向いていないのは、デッキ構築ローグライクというジャンルに広い戦術の選択肢を求める人だろう。30時間プレイしたレビュアーは「アセンション要素はリプレイ性に欠けるゲームの性質に合っておらず蛇足」「デッキ構築ローグライトが好きな人ほどおすすめしません」と明言しており、7時間プレイしたレビュアーも高難度域での自由度の低さを理由に「フルプライスでの購入はお勧めできません」と釘を刺している。運の振れ幅をゲーム性として受け入れられるかどうかが、このゲームとの相性を分ける最後の一線になる。

プレイヤーの声

ストレートやフルハウスを頑張って出すより、ワンペアやハイカードをバンバン出した方が強いというのが萎えた。あと、運ゲー要素が強い。 けど、ポーカー全く知らない自分でも楽しめた良きローグライクゲーム。
▲ recommended·played 84h
面白い 何億何十億、兆、京、それ以上のスコアが出せて非常に気持ち良くなれる ポーカーをベースに自分のデッキを作りどんどん高いスコアを出していくゲーム かなり遊べるゲームだけど、高いスコアを出す毎に、一部の強いジョーカーが上手く集まるかどうかのゲームになっていく 上手く集められればとんでもなく高いスコアを出せるけど集まらないのでギブアップの繰り返し、自身が高スコアを出す毎にそれを超える条件が厳しくなって、楽しみが限定されていくようになる それでもこのゲームの値段や動作の手軽さや楽しさを考えれば十分満足の体験ができた
▲ recommended·played 117h

source: steam user reviews

スクリーンショット

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