19万6千件を超えるレビューのうち好評は60.7%、Steam の評価ラベルは「Mixed(賛否両論)」。Mega Crit が2026年3月5日に早期アクセスで出したデッキ構築型ローグライクの続編は、数字だけ見れば躓いた作品の顔をしている。ところが目立つ低評価レビューを開くと、様子がおかしい。非推奨に票を投じた人のプレイ時間が、495時間、301時間、224時間、218時間、165時間、148時間といった調子で並ぶ。目に付いた中で最も短い人でも37時間ある。少なくともこの層に「つまらないからすぐやめた」という声は見当たらない。同時接続は5万3千人、レビュー投稿者がこのゲームを遊んだ時間の中央値は約140時間。これは面白くないゲームの数字ではなく、遊び続けている人が怒っているゲームの数字だ。
争点はカードの強弱ではなく、調整の方針そのもの
低評価の中身を読むと、批判はゲームの骨格には向いていない。218時間のレビュアーははっきり「ゲームのベースは面白い。」と前置きしたうえで、調整基準が不明瞭でまとまっていく感覚がないと書く。495時間のレビュアーは「今までは「まぁアーリーアクセスやしな…」と思っていたけど、今回のパッチは意味不明な調整が多かったので低評価」と、評価を変えた瞬間を明示している。165時間のレビュアーに至っては「クソみたいなナーフでゲームを台無しにする」と吐き捨て、具体的な不満は「フロストの効果1下げたら?」という皮肉一行で済ませている。
つまり不満の発生源はゲームデザインではなくアップデート運用にある。強いカードが見つかると弱体化され、環境が定期的に組み替えられる。早期アクセス作品としては当たり前の営みだが、100時間単位で積み上げた攻略の勘所が数週間ごとに無効化される側からすれば、これは進歩ではなく破壊に見える。115時間のレビュアーの「運営はユーザーが強いデッキを作って遊ぶのが気にくわないようで、ユーザーの使うカードを弱くすることに勤しむ一方でゲーム性を著しく悪くしている敵への対応はしません。」という一文は、その怒りの形をよく表している。
面白いのは、高評価側もこの現象自体は否定していないことだ。273時間のレビュアーは推奨を付けたまま「なのに、アプデのたびにどんどん敵の不快度が上がって窮屈になって、とても楽しく遊べなくなってしまった。」と書き、そのうえで後日「8/13 なんか最近急にアッパー続きでだいぶ遊びやすくなった。」と追記している。同じ人物が数か月の間に評価を往復している。今この瞬間のスコアが、そのままこの作品の実力だと思って読むと判断を誤る。
「咎めてくる敵」をどこまで許せるか
もう一つの争点は敵の設計だ。224時間のレビュアーの整理が最も筋が通っている。「特定の戦術をメタって咎めてくるタイプの敵は必須だとは思う。」と認めたうえで、「とはいえ、その手の敵が多すぎると今度は窮屈で仕方ない。」と続け、「そういったバランスの面で前作は優れていた。」と結ぶ。コンボが完成した瞬間に勝負が終わってしまう構造を防ぐには対策役の敵が要る。ただし多すぎると、デッキを組む楽しみが「地雷を踏まない祈り」に変質する。301時間のレビュアーの「通常/エリート問わず相性の悪い敵を踏まないことを祈るゲームだと思います。」はその臨界点を越えた側からの報告だ。
敵が強いのではなく、こちらの伸び方が変わったのだと指摘する声もある。37時間のレビュアーは「エナジーが簡単に増えなくなったことで次の階層に進んでもやれることの最大値に変化が起きにくいため、敵の成長に自分の成長が追い付かない感覚が増えたほか、ストレスに感じることが多い」と書いている。この手のゲームの快感は、階層が進むにつれて自分の1ターンあたりの出力が跳ね上がる感触にある。そこの伸び代が絞られ、敵側だけが順当に育つと、同じ難易度でも体感は「戦っている」から「耐えている」に寄る。218時間のレビュアーが、どのキャラクターでもいかに早く火力を伸ばすかに寄ってしまうと書いているのも同じ構造を別の角度から見た話だろう。
この不満が誰に効くかは、遊び方でほぼ決まる。高難度(アセンション上位)を安定して登り切ることを目的にする人ほど、運の介入と対策役の敵は直接ストレスになる。逆に1回ごとの構築を実験として楽しむ人には、同じ要素が変数の多さとして働く。106時間の高評価レビュアーが「特定の軸でしか勝つことができず、デッキ構築の幅が狭まっているのがなんだかなぁという印象。」と書きながら推奨を付けているのは、その温度差の実例だ。592時間のレビュアーの「アセンション10は常勝できる難易度設定にはしないと言及されているので、そこはちゃんと理解しよう。」という忠告も、同じ線引きを別角度から言っている。
遊びとしての強度は疑われていない
肯定側の言葉は短く、そして密度が高い。592時間のレビュアーは本作を「めちゃくちゃ味のするガム。」と呼ぶ。35時間のレビュアーは「頭悪いから勝てない。だからこそ上手くいったときの快感が強烈。」と書く。429時間のレビュアーは「前作に比べ全てがバージョンアップされているように感じる」と評価する。5人のキャラクターから選んで登る構造に加え、今作では最大4人のオンライン協力プレイが入った。これは低評価側からも認められていて、キャラクター性能に厳しい採点をつけた148時間のレビュアーですら「まぁとはいえ友達とわちゃわちゃやるのは面白いよ」と締めている。いつでもセーブでき、時間制限のある入力もない。83時間のレビュアーが「集中してやりこむのもよし。」と書くように、生活の隙間に差し込める形をしている。
今触るか、固まってから触るか
向くのは、変化そのものを娯楽として受け取れる人だ。151時間のレビュアーの「高頻度で環境が変わる早期アクセス特有の面白さもあるので、興味のある人は早めに触れてみることを勧めます。」がその立場を代表する。ただし同じ人が「現状では完成している1の方が面白いですが」と付け加えている点は見落とさないほうがいい。完成度の勝負では、今のところ前作が勝っているという評価だ。
向かないのは二種類。一つは、時間をかけた習熟が保全されることを前提に遊ぶ人。バージョンごとに最適解が動くのを裏切りと感じるなら、開発が落ち着くまで待つほうがいい。218時間のレビュアーの「完成された後に買う方がそういう物として妥協して考えられる分、EA中に買うより精神衛生上マシかもしれない。」は、495時間を費やした人たちの怒りを見た後だと重い。もう一つは、運が絡む敗北を許容できない人。デッキ構築の実力だけで勝敗を説明したい欲求が強いほど、この作品の分岐選択と敵の巡り合わせは不当に感じられる。
判断材料としてはこうなる。前作を遊び尽くして続きを求めているなら、今の荒れた状態も含めて価値がある。前作を知らずに「評判のいいデッキ構築ゲーム」を探しているなら、いま指しているのは完成済みの前作のほうだ。












