DAMON and BABY (デイモン&ベイビー)

DAMON and BABY (デイモン&ベイビー)

DAMON and BABY

開発: Arc System Works発売: Arc System Works¥2,300

PlayNext レビュー

「魔王なのに子どもの世話をしながら戦う」というコンセプトだけで、このゲームがただの銃撃アクションではないことが伝わるはずだ。DAMON and BABYは、父性と暴力がぶつかり合う奇妙な温かさを持ったゲームで、Arc System Worksが手掛けたガンアクションと探索が融合した一作だ。赤ちゃんを抱えながら銃を撃ち、敵を蹴散らし、世界を駆け抜けるというその絵面は滑稽に見えて、プレイしていると不思議なほど感情が揺さぶられる。 ゲームプレイの核心は、片手で戦いながら片手で赤ちゃんを守るという制約から生まれる独特の緊張感にある。銃撃と近接攻撃を組み合わせたアクションは歯切れよく、射撃の手触りはキビキビとしている。アーク・システム・ワークスの本領ともいえるコンボの気持ちよさは健在で、敵を連続してキルしていく際の爽快感はしっかり担保されている。しかし、それだけでは終わらない。ベイビーの機嫌や安全を維持しなければならないという要素が、戦闘に独自のリスクとリワードの構造を生み出している。無茶な突っ込み方をすれば赤ちゃんに影響が出る。じっくり攻略を考えるか、それとも勢いで押し切るか。プレイヤーの判断が常に問われる。 探索要素は適度な広さで用意されており、マップの隅を丹念に調べると隠しアイテムや会話イベントが見つかる。フィールドは一本道ではなく、寄り道の動機づけが随所に仕込まれている。やり込み要素としては、武器やアクセサリのカスタマイズ、ステージごとのスコアアタック要素、そしてベイビーとの関係性を深める要素などが絡み合っており、クリア後も遊び続ける動機になる。テンポは全体を通じて軽快で、ステージ間の読み込みや待ち時間のストレスが少ないのも好印象だ。 ビジュアル面では、Arc System Worksらしい鮮やかなアニメ調のキャラクターデザインが目を引く。主人公のデイモンは「魔王」というワードが似合うワイルドな外見でありながら、赤ちゃんを抱いた瞬間に漂う不器用な優しさが絶妙に表現されている。背景やエフェクトも丁寧に作られており、戦闘中の爆発や魔法的な演出がポップに弾ける。サウンドは激しいアクションシーンを支えるバトルBGMと、ほっこりした場面でのほのぼのした楽曲の落差が大きく、感情のジェットコースターを演出している。銃声や打撃音の気持ちよさも水準以上で、ヘッドホンで遊ぶと戦闘の没入度がぐっと上がる。 ストーリーは、魔王と呼ばれる男が訳あって赤ちゃんを連れながら旅をするという骨格を持つ。子どもを守りながら戦うというシチュエーションに必然的に感情移入が生まれ、シナリオ自体はシンプルながらキャラクター同士の関係性が丁寧に描かれている。笑いと感動のバランスが取れており、特に予想外のシーンで胸に来る瞬間がある。世界観はダークファンタジーをベースにしつつも全体的に明るいトーンが保たれており、重苦しさで疲れることなく最後まで楽しめる構成だ。 同系統のゲームと比較すると、『Devil May Cry』シリーズに似たスタイリッシュ路線の銃剣アクションを想像する人もいるかもしれないが、難易度設計やゲームの目指す方向はかなり異なる。DMCほどの反射神経を要求するシビアさはなく、むしろ初心者にも入りやすいアクセスのよさがある。一方で、協力プレイとして2人で遊んだ場合の体験は独自の魅力があり、ローカルでも遊べる点は家族や友人と楽しむ文脈でも強みになる。Remote Play Togetherにも対応しているため、離れた場所の友人と一緒に進めることも可能だ。赤ちゃんを守りながら戦うという発想の近さでいえば『バイオハザード4』のアシュリー要素を思い出す人もいるだろうが、あちらのような重圧はなく、むしろコミカルな「チームプレイ」として機能している。 プレイ時間の目安はメインクリアで8〜12時間程度、寄り道や収集要素まで追うと15時間以上になるボリュームだ。難易度変更やスコアアタックによる周回プレイも想定されており、1周クリアしてすぐ終わりという薄さではない。やり込みプレイヤーにとっても週末を複数回使える程度のコンテンツ量は確保されている。 注意点として、完全に銃撃一辺倒の硬派なシューターを求めているプレイヤーには物足りないかもしれない。赤ちゃん要素が独自の制約と感情的な引っ掛かりを生む一方、純粋な戦闘の深度という点では同価格帯の専業アクションゲームに一歩譲る場面もある。また、ストーリーはコミカルよりな雰囲気が強いため、重厚なナラティブを期待すると肩透かしを食う可能性がある。 「子育て中の親が主人公のアクション」というコンセプトにピンときた人、家族や友人と気軽に協力プレイを楽しみたい人、Arc System Worksの作品が好きな人には強くおすすめできる。一方、とことんシビアな戦闘難易度を求める人や、コミカルな雰囲気が苦手な人には合わないかもしれない。¥2,300という価格帯で手軽に楽しめる良質なアクションアドベンチャーとして、「次に何か新しいものを試したい」というプレイヤーの選択肢に十分に入ってくる一本だ。

スクリーンショット

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