114万件を超えるレビューのうち93.1%が好評で、評価ラベルは「Very Positive(非常に好評)」。2022年2月24日に FromSoftware が出したアクションRPGは、発売から年月が経った今も同時接続27,440人を数える。ここまでの規模になると「面白いかどうか」を問う意味はほとんどなく、読むべきは賛否がどこで割れているかのほうだ。そして本作の場合、割れ目は驚くほどはっきりしている。高評価側は難易度の話をし、低評価側は多くが移動と操作の話をしている。ボスが強すぎるから低評価、という単純な構図ではない。
高難易度なのに設計はシンプル、という褒められ方
賞賛の中身で目を引くのは、難しさそのものより難しさの組み立て方に向いた評価だ。813時間プレイのレビュアーは「ゲームは高難易度で難しく、しかし、そのシステムはシンプルで理解しやすく、しかし奥が深い。」と書き、別の箇所で「高難易度ゲームでありながら、必要な親切な設計もなされている稀有なゲームだ。」と結論している。同じレビューはチェックポイント(祝福)の密度と、死んでも失うのがルーンだけで回収可能である点を、挑戦意欲を削がない仕掛けとして具体的に挙げていた。つまり褒められているのは根性ではなく、失敗のコストを低く保つ設計である。
その設計が実際に効いた例も残っている。335時間のレビュアーは「初フロムゲーで、アクションも得意じゃないしボスの謎ディレイにも最後まで適応できなかったしで何度も何度も何度も死んだ。」と自分の不出来を認めたうえで、「1回心が折れて半年後くらいに最初からやり直した。」と書き、それでも DLC 含め最後まで到達したと述べる。33時間のレビュアーは経験者側の視点から「今作はレベリングと探索である程度プレイヤースキルを補ってくれる形になっている。」と要約する。反射神経が足りなければレベルと装備で殴れる、という逃げ道が公式に用意されているのが従来作との差らしい。194時間のレビュアーが「ワクワクドキドキの楽しい冒険で、地下はホラゲー気分でした」と書くように、そもそも戦闘だけのゲームとして遊ばれてもいない。
低評価が刺しているのは戦闘ではなく移動
一方、否定側を並べると論点が一つに収束する。41時間のレビュアーは「左スティック前に倒しながらダッシュボタン押してる虚無時間が体感8割」と書き、「世界観どうでもいい人間としては面白さに一切寄与しないオープンワールド」と切り捨てる。332時間プレイした別のレビュアーも「なぜフィールドを実装したのか、意味不明である。」と述べ、「お使いクエスト、サブクエストをこなすために無駄な移動を強いられる。」と続ける。37時間のレビュアーが挙げた不満リストにも「・マップの広さと移動速度が合っていない」がある。
この不満は好みの問題ではなく、遊び方の前提のズレから来ている。本作のフィールドは「移動そのものが探索であり報酬である」ことを前提に組まれていて、目的地に用があるだけの人にとっては空白の時間に化ける。だから、寄り道で見つけた洞窟や敵を毎回楽しめる人には問題として存在せず、攻略サイトで必要な装備の場所だけ確認して直行したい人には毎回きっちり刺さる。物語の断片を拾い集める作りが合うかどうかも同じ線上にある。548時間の非推奨レビュアーは DLC 目当てで再購入しながら「中盤まで進めたところで面倒すぎて辞めてる。」と書き、「未プレイならやってみてもいいかもしれないが、人を選ぶゲームなので自分はオススメしない。」と締めた。500時間以上遊んだ人の口から出る「人を選ぶ」は、たぶん一番正確な評だ。
序盤で降りた人の言葉も、同じ前提のズレを別の角度から言い当てている。39時間の非推奨レビュアーは「始めたばかりだからかもしれないがおもんないローリングばっかりでくそダサいし動きもプレイヤーが遅すぎて被弾しやすかったり攻撃しにくい有名だから買ったけど思ってたより面白くない。」と書いた。本作の戦闘は、素早く動いて避けるのではなく、重い挙動のまま相手の動作を読んで隙に差し込む作りになっている。だから最初の数十時間は「思い通りに動かない」としか感じられず、読み合いが噛み合い始めるまで報酬が来ない。ここを我慢する気がないなら、この作品はずっと不快なままで終わる。逆に言えば、否定側の指摘はどれも事実として正しく、それを面白さと感じるか苦痛と感じるかだけが分かれている。
腕前と無関係に脱落する経路がある
もう一つ、購入前に知る価値があるのが体調面の地雷である。8時間で離脱したレビュアーは「3D酔いしました。」と書き、原因の見立てとして「たぶん 起伏のある広大な箱庭+そこらにポップするクラフト素材 のせいで3D画面を注視し続ける事になるためだと思います。」と残している。同じ人はダークソウル3では平気だったとも書いており、フロム作品全般ではなく、起伏のある広い地形を常時注視する本作特有の負荷を疑っている。過去に酔いやすかった自覚があるなら、返金可能な時間内に丘陵地帯を走り回って確かめておくのが安い保険になる。6時間で非推奨に投じたレビュアーは「バグ、マップデザイン、直感的じゃないデフォルト操作、そしてシングルプレイ/協力プレイ主体のゲームにまで導入された意味不明なアンチチート。」を理由に挙げており、初期設定のまま触った第一印象で降りる人が一定数いることも示している。
100時間単位の時間を差し出せるかで決まる
レビュー投稿者がこの作品を遊んだ時間の中央値は約136時間ある。2,311時間のレビュアーが「ボリュームありすぎて一周クリアするのも大変!」と書くのは誇張ではない。向くのは、目的地までの道のりを目的にできる人、死ぬこと自体を進捗として数えられる人、そして週末を丸ごと1本に預けられる人だ。シングルプレイ、オンライン協力、PvP のいずれにも対応し、いつでもセーブ可能でクラウドにも対応するので、遊ぶ時間が細切れであること自体は障害にならない。
向かないのは三種類。移動が作業に見える人、決められた道順を効率よく進みたい人、そして3D酔いの経験がある人。特に最初の二つは腕前や難易度とは無関係で、上達しても解決しない。低評価レビューの多くが数十時間から数百時間遊んだ人から出ている事実がそれを裏づけている。合わない人は、下手だから脱落するのではなく、合わないまま遊び続けた末に書いているのだ。












