
FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE
開発: Square Enix発売: Square Enix¥5,478
PlayNext レビュー
1997年にリリースされたオリジナル版から四半世紀以上を経て、『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』は単なるリメイクではなく、「この物語をもう一度語り直す」という大胆な宣言のもとに作られた作品だ。元ソルジャーのクラウドが傭兵として反政府組織「アバランチ」に加担し、魔晄炉爆破作戦に巻き込まれるところから物語は始まる。原作を知っている人間なら次の展開が読めるはずなのに、それでも手が止まらない——この作品の恐ろしさは、「知っているのに驚かされる」という矛盾した体験にある。
## 剣戟と魔法が溶け合う戦闘の手触り
バトルシステムは一見するとアクションゲームだが、その実態はリアルタイムとストラテジーの二層構造になっている。クラウドでザコ敵を切り崩しながら、ATBゲージが溜まったタイミングでコマンドメニューを開き、魔法やアビリティを選択する。この「一時停止して考える」瞬間が、アクション一辺倒では生まれない深さを与えている。
特に顕著なのが「よろめき」システムだ。敵に特定の弱点攻撃を重ねてバーストゲージを溜め、よろめき状態に持ち込むと与えるダメージが跳ね上がる。ただ攻撃を連打するだけでは効率が悪く、敵の属性弱点と自分のパーティ編成を考えた立ち回りが求められる。ティファで素早く殴ってゲージを削り、バーストに入ったところでクラウドの強力なアビリティを叩き込む——この流れが決まったときの爽快感は、ただのアクションゲームでは味わえない。
難易度「ノーマル」でも終盤のボスは手加減してくれない。詰まったときにキャラクターを切り替えながら立ち回りを試行錯誤する時間が、純粋に楽しい。
## 原作という「知識」が武器にも枷にもなる
この作品を語る上で避けられないのが、原作との関係性だ。1997年版をプレイした世代にとって、ミッドガルは「知っている場所」であり、登場人物たちも「知っている顔」だ。しかしリメイク版はその「知っている」という感覚を巧みに利用しながら、終盤に向けて物語を原作の軌道から意図的に外していく。
この構造が評価を二分する。「知っているのに裏切られる」体験を新鮮に楽しめる人にとっては唯一無二の体験になるが、忠実な再現を期待していたプレイヤーには戸惑いを与える。物語がある方向に向かっていることに気づいたとき、原作知識はむしろノイズになりうる。これは人を選ぶポイントであり、同時にこの作品を特別な位置に置く理由でもある。
原作未プレイ者は純粋なアクションRPGとして楽しめるが、登場人物の関係性や固有名詞の背景説明が薄いため、置いてけぼりになる場面もある。
## 似たゲームとの違い——「映像体験としてのRPG」
同じスクウェア・エニックスの『FF XVI』と比較すると、その違いは鮮明だ。FF XVIはほぼ純粋なアクションゲームに振り切っており、RPG的な戦略要素は薄い。一方のリメイクはパーティ管理・マテリア選択・バースト戦術が絡み合い、RPGとしての思考層が厚い。また『ニーア:オートマタ』と比べると、リメイクはカメラワークや演出の作り込みが映画的で、「ゲームをプレイしている」というよりも「映像作品の中を歩いている」感覚が強い。
PS5版から移植されたPC版は、4Kテクスチャと高フレームレートに対応しており、グラフィック設定をフルに活かせる環境なら圧倒的な映像体験を得られる。ただしPC版はコントローラーでのプレイが推奨される。キーボード+マウスでも操作可能だが、アクション部分の直感性がコントローラーと比べて大幅に落ちる。
## ミッドガルという密度の高い箱庭
本作の舞台はミッドガル、それも「スラム街と上層都市」というわずかな範囲に限定されている。原作ではあっという間に駆け抜けるこのエリアを、リメイクは30〜40時間かけて丁寧に描き切る。この選択は英断だ。
スラムの路地裏にはサブクエストがあり、住人たちの生活が見える。上層と下層を隔てる「プレート」の圧迫感は、格差社会のメタファーとして今の時代にも刺さる。バレットやティファ、エアリスといった仲間たちは、原作の「イメージ」から解き放たれ、それぞれの思想と葛藤を持つ人間として再構築されている。特にエアリスは意味深な台詞を随所で口にする。原作を知っていれば、その言葉の重さに気づいてしまう。
ミニゲームや寄り道要素も充実しており、「この街を歩くこと」自体が楽しい。コンテンツ量も豊富で、追加エピソード「INTERmission」では別視点から物語を補完できる。
知っていても驚き、知らなくても楽しめる——そんな稀有な作品だ。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 90時間
FF7 is my favorite game. Thank you for remaking it.
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット










