
Marvel's Spider-Man 2
開発: Insomniac Games発売: PlayStation Publishing LLC¥7,590
PlayNext レビュー
マンハッタンの高層ビル群をウェブで駆け抜ける感覚は、多くのゲームが「スピード感」と呼ぶものとは質が違う。Marvel's Spider-Man 2 において、スウィングは移動手段ではなく、それ自体が快楽の核心だ。ピーター・パーカーとマイルズ・モラレスという二人のスパイダーマンを操り、ニューヨークの空を割って進むとき、プレイヤーはコントローラーを通じてスパイダーマンの「身体」に入り込む感覚を覚える。シンビオートとの死闘という重厚なストーリーは、そのスウィングの快楽と不思議なほど噛み合いながら、20時間超の体験を一本の緊張の糸で結び続ける。
## 空を泳ぐ感覚——ゲームプレイの手触り
前作からの最大の進化は「ウェブウィング」の追加だ。ウェブを射出せずとも、腕から広がるグライダーで長距離を滑空できる。これが加わったことで、移動のリズムが根本から変わった。スウィング→ウェブウィング→スウィングというコンビネーションは、慣れてくると身体が勝手に動くようになり、気づけばマップの端から端まで地面を踏まずに移動している自分がいる。
戦闘も進化している。ピーターはシンビオートスーツによる重厚でアグレッシブな攻撃を、マイルズはバイオエレクトリックを活かした電撃コンボを使う。二人は途中で切り替えられるが、操作感が明確に異なるため、プレイヤーごとに「どちらのスパイダーマンが好きか」という好みが生まれる。単なるキャラクター変更ではなく、異なる武術の流派を体得するような感覚だ。
バトルアリーナ系のコンボゲーム、たとえば『Batman: Arkham Knight』と比べると、Spider-Man 2 はカウンターよりも攻撃の継続性と派手さに重きを置いている。敵を空中に浮かせてフィニッシュまで叩き続ける爽快感は、アーカムシリーズの緻密なリズムゲームとは異なる魅力だ。どちらが優れているかではなく、Spider-Man 2 は「気持ちよさ」の設計に全力を傾けている。
## こういう人は合わないかも
オープンワールドの「密度」に期待して手を出すと、肩透かしを食らう可能性がある。マップは広く美しいが、サイドミッションの構造は繰り返しが多い。犯罪阻止、基地制圧、コレクタブル収集——これらは本編の緊張感と比べると質的な落差がある。『Cyberpunk 2077』や『Ghost of Tsushima』のようにサブコンテンツにも物語的な厚みを求めるプレイヤーには、物足りなさを感じる場面があるだろう。
また、PC版という文脈での注意点もある。PS5からの移植作であり、ローンチ時にはパフォーマンスに不安定さを抱えたという経緯がある。現在はパッチで改善が進んでいるが、グラフィック設定の最適化には一定の手間がかかる場合がある。ハイエンドGPUがあれば光線追跡込みで圧倒的な映像美を体験できるが、中級構成では設定の調整が必要だ。
ストーリーに関しても、前作『Marvel's Spider-Man』と『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』を未プレイの状態で始めると、人間関係の背景が掴みにくい。シリーズとして連続した物語であるため、できれば順番にプレイしてほしいタイトルだ。単体で楽しめないわけではないが、ピーターとMJの関係、マイルズの成長といった感情的な積み上げは、前作を知っていてこそ胸に刺さる。
## Steam評価の裏にあるもの
本作のSteam評価は「非常に好評」に達しているが、その内訳を見ると、絶賛の声と「良移植だが完璧ではない」という声が混在している。絶賛している層の多くは、PS5を持たずにシリーズを追っていたPCゲーマーだ。「ようやく自分のプラットフォームで体験できた」という感慨が評価を押し上げている面は否定できない。
一方で冷静に評価すると、本作の真価はやはり「スウィングとシンビオートの物語」の組み合わせにある。シンビオートスーツを纏ったピーターが、徐々に人格を侵食されていく描写は、スーパーヒーロー映画的なエンタメの文法を守りながら、プレイヤーに「自分がピーターを壊している」という罪悪感を植え付ける。この感覚は、操作という行為とストーリーが一体化した瞬間にしか生まれないもので、映像作品では再現できないゲーム固有の体験だ。
ベノムの造形と演技も特筆に値する。本作のベノムはコミック的な怪物として描かれるのではなく、歪んだ「善意」を持つ存在として立ち現れる。その複雑さが、単純な悪役対決に収まらない重みをクライマックスに与えている。Steam評価の高さは「面白かった」という感情の総量であるが、その感情が最も強く揺さぶられるのは、スウィングの快楽でも派手な戦闘でもなく、このラストに向かう物語の積み上げにあると私は思う。
スパイダーマンというキャラクターに思い入れのある人間が、PC環境でシリーズを初体験するなら、これ以上の選択肢はない。そして前作を愛していた人間なら、迷わず飛び込んでいい。空は、前作よりずっと広くなっている。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 26時間
面白かった ネタバレ感想 [spoiler] 無害化したシンビオートをハリーに渡せば良かったんじゃ? MJが使うスタンガンみたいなの強すぎない?スパイダーマンの2人より強くて笑った [/spoiler]
👍プレイ時間: 27時間
最適化がちょっと残念でめっちゃカクツキが気になります... ...が、ゲームはめっちゃ面白かったです
👍プレイ時間: 35時間
グラフィック、演出やカメラワーク、ゲーム体験、パフォーマンスなど全てのクオリティが高すぎる。 まさに『体験できる映画』 SONYスタジオのゲーム会社としてのレベルの違いを改めて実感した。 映画やゲームハードなど幅広い分野を手掛けているからこそできる、SONYの粋を集めた素晴らしい作品。
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット











