Marvel’s Spider-Man: Miles Morales

Marvel’s Spider-Man: Miles Morales

開発: Insomniac Games発売: PlayStation Publishing LLC¥2,596

PlayNext レビュー

スパイダーマンになるとはどういうことか——このゲームはその問いを、ピーター・パーカーとは異なる角度から問い直す。マイルズ・モラレスは完成されたヒーローではない。引っ越してきたばかりの街、まだ名前すら覚えていない顔、そして自分でも制御しきれないヴェノムパワー。プレイヤーはその不完全さをそのまま引き受けながら、ニューヨークの空を駆ける。前作『Marvel's Spider-Man Remastered』が「完成されたスパイダーマンを操る快感」だとすれば、本作は「なりかけのヒーローが覚醒していく過程」そのものをゲームプレイに落とし込んでいる。プレイ時間は10〜15時間とコンパクトだが、その密度と感情的な重さは決してボリュームに負けていない。 ## 戦闘の手触り——電撃と透明、二つの異能が生む即興性 マイルズの戦闘が前作から根本的に変わったのは、ヴェノムブラストとカモフラージュという二つの固有アビリティが加わった点だ。ヴェノムブラストは敵をしびれさせる生体電撃で、ゲージを溜めて放つ必殺技的な使い方もできるが、真価は小出しにして連続コンボに組み込むときに発揮される。近接攻撃の合間に電撃を差し込み、吹き飛んだ敵をウェブで引き戻してまた殴る——この流れが気持ちよく決まると、戦闘がまるでダンスのような律動を持ち始める。 カモフラージュは透明化して敵の背後を取るステルスアビリティだが、本作ではステルスと真正面からの乱戦を行き来することがそのまま戦術になっている。雑魚を一人ずつ透明で処理して数を減らし、残った重装敵にヴェノムを叩き込む——という流れは『バットマン:アーカム』シリーズのプレデタールームに近い感触があるが、マイルズの場合は空中機動の自由度がはるかに高い。天井から蜘蛛の巣で逆さ吊りにして放置する、壁を伝いながら複数の敵を同時にウェブで絡め取るなど、三次元的な立ち回りが常に選択肢として開かれている。 ただし、敵のバリエーションがやや単調になる中盤以降は、この即興性が薄れる場面も出てくる。特定の敵が出てきたら特定の対処法を取るという「解法の固定化」が起きやすく、後半は新鮮な驚きより習熟した反射で戦う感覚に移行していく。それ自体は悪くないが、前作の終盤で感じたような緊張感の高まりを期待すると少し肩透かしを食う。 ## 街と謎が絡み合う構造——サイドクエストの設計思想 本作の「謎解き」は、パズルルームに閉じ込められて解く類のものではない。街そのものが問いかけてくる構造になっている。マイルズが拠点とするハーレムとその周辺には、未解決のサイドミッションが点在しており、その多くは「誰が何に困っているか」を街の文脈から読み取ることから始まる。落書きを消してほしいという依頼の背後に地元住民のコミュニティがあり、その人たちとの会話がマイルズというキャラクターの輪郭を厚くしていく。 環境パズルとして明示されているのは、廃工場や地下施設に隠されたリサーチステーションの謎解きだ。磁場を操作して電力を通したり、特定の角度からウェブを張って通路を開いたりするシンプルな仕掛けで、難易度は低い。ここで詰まってストレスを感じることはほぼないが、逆に言えば「パズルを解いた」という達成感も控えめだ。このゲームはパズルの難しさでプレイヤーを引き留めるのではなく、マイルズの物語への没入感でプレイをやめさせない設計になっている。 コレクタブルの隠し方も同様で、街の各所に散らばったタイムカプセルやサウンドサンプルは、ただの収集要素に留まらず、マイルズの母親や友人との関係性を掘り下げる小さなストーリーを持っている。「次の目的地に急ごうとしたら、ふと目に入った光るアイコンが気になって寄り道した」という体験が自然に生まれる設計は、オープンワールド的な散漫さを回避しながら探索の動機を維持するうまい工夫だ。 --- このゲームをピーター版と比べると、スケールよりも深みを選んだ作品だという印象が強くなる。前作が「スパイダーマンの世界を広く体験させる」ことを優先したなら、本作は「マイルズ・モラレスというひとりの人間を知る」ことに特化している。プレイ時間の短さを物足りなさと感じるか、凝縮された体験と感じるかは人によって割れるだろう。ただ、エンディングの余韻は本作のほうが長く残った——という感想を持つプレイヤーは多いはずだ。アクションゲームとして純粋に楽しみたいなら前作から始めることを勧めるが、物語の密度を重視するなら本作単体で触れても十分に成立する。¥2,596という価格は、このボリュームと完成度を考えれば迷わず手が伸びる水準だ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 30時間

前作からスイングのモーションが追加されてただの移動もとても楽しいです。バトルもマイルズならではのアクションで楽しいです。

👍プレイ時間: 15時間

映画スパイダーバースが好きな自分にとっては、黒いスパイダーマンを操作できるだけで満足 値段の割にメインストーリーが短すぎるのは難点だが、内容自体はすごく良かった(ただし前作をやってること前提) 前作スパイダーマン1よりもできることが増えているので、前作プレイヤーでも楽しめると思います セールで2000~3000円くらいになるのでその時に買うのが良いですよ

👍プレイ時間: 12時間

自分の初スパイダーマンです。前作をやってなくてもあらすじが最初にあるからとても分かりりやすかったです。

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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