残秽的我们第二章 Playtest

残秽的我们第二章 Playtest

PlayNext レビュー

「汚染」とは、目に見えないところから始まる。体に染み込む前に、まず記憶を侵す——そういう恐怖の作り方をする作品が、中国インディーシーンから静かに現れた。『残秽的我们第二章 Playtest』は、プレイテスト版でありながら、その導入部だけで「続きが見たい」という渇望を植え付けることに成功している。ホラーとしての演出はもちろん、物語の語り口に独特の粘度があり、まるで他者の悪夢を覗き込んでいるような奇妙な居心地の悪さが全編を貫いている。ジャンルはサイコロジカルホラー+アドベンチャーの混成で、プレイヤーに「逃げる」ではなく「読み解く」ことを求める。 --- ## 語りのリズムと息継ぎ 本作の体験を決定づけているのは、情報の出し方の巧みさだ。第一章からの継続を前提としながらも、第二章の冒頭は意図的に「何が起きているのかわからない」状態から始まる。主人公の視点は断片化していて、過去のフラッシュバックと現在の状況が入り混じって提示される。これはプレイヤーを混乱させるための雑な演出ではなく、語り手自身の記憶が「汚染」されていることを体験として示す設計だ。 テキストの量は多くないが、一行一行が重い。中国語原文の翻訳精度は場所によってムラがあるものの、核となるセリフの選択眼は鋭い。選択肢は時折現れるが、分岐ゲームというより「どの視点でこの状況を受け取るか」を問う問いに近く、選んだ後も正解が提示されない。その宙ぶらりん感が、プレイ後に尾を引く。 ペース配分は緩急の落差が大きい。静かな探索が続いたかと思えば、突然、視覚的に攻撃的な演出が入る。その間に音がほぼ消える瞬間を意図的に挟んでいて、静寂の使い方がうまい。音響設計が本作の緊張を半分以上作っていると言っても過言ではない。 --- ## 恐怖の核——環境と人間 ボス戦に相当する「クライマックスの圧」は、本作では怪物との戦闘ではなく、人物との対峙として現れる。第二章のある場面では、過去に「何かをした」らしい人物と向き合う構造になっており、その人物が何をしたのかはすぐには明かされない。プレイヤーは部屋の中のオブジェクトを調べ、ログを読み、会話の断片をつなぎ合わせることで、ゆっくりと輪郭をつかんでいく。 恐怖の演出として特筆すべきは、怪異の「存在の仕方」だ。直接見せるのではなく、映り込み、音、他者の反応を通じて存在を示す。『Layers of Fear』や『Detention』に近い手法だが、本作が異なるのは「社会的な汚染」というテーマを軸に据えている点だ。個人の心理ホラーではなく、集団の中で生まれた何かが人を蝕む構造になっていて、登場人物たちの関係性そのものが恐怖の媒体として機能している。 プレイテスト版ゆえに未完成の箇所もある。一部の演出はタイミングが若干ズレており、恐怖の着地が甘くなる瞬間もある。だがそれを差し引いても、この章が見せようとしているものの輪郭は十分に伝わる。 --- ## 没入感の正体 なぜこのゲームに引き込まれるのかを言語化すると、「理解できないことへの欲求を刺激する設計」だと思う。説明されない記号、回収されない伏線、意味深な固有名詞——これらは謎解きの素材として機能するだけでなく、プレイヤーに「自分なりの解釈を作る余地」を与えている。 『Omori』が感情の内側を物語化したように、本作も「語られないこと」の重さを扱っている。ただし『Omori』が最終的にカタルシスに向かうのに対して、本作はむしろ解消されない曖昧さを手元に残そうとしている印象だ。後味の悪さは計算された不快さで、プレイ後に誰かと話したくなる類の読後感がある。 操作は非常にシンプルで、クリック中心の探索が基本だ。アクション要素はほぼなく、謎解きも難易度は高くない。体験の障壁が低いことは、物語への集中を助けている。逆に言えば、「ゲームとしての歯応え」を求めると物足りないかもしれない。 --- ## こういう人におすすめ 中国インディーのホラーゲームに興味がある人には迷わず勧めたい。東アジア的な怪異の質感——家族、共同体、記憶の汚染——は西洋ホラーとは異なる肌触りを持っていて、『Devotion』や『還願』が好きならこの作品のトーンは合うはずだ。 一方で、プレイテスト版であることは念頭に置く必要がある。未翻訳テキストや未完成の演出が混在しており、製品版と同等の完成度を期待するのは早い。また、物語の前提として第一章の内容を把握していることが望ましく、ここから始めると文脈が掴みにくい部分がある。 「ストーリーを読む」ことよりも「状況を感じ取る」ことに快感を見出せるプレイヤー、そして不快感を咀嚼するのが好きな人には、現時点でも十分な体験を提供している。完成版でどこまで深まるかを期待しながら待つ——そのための試食として、この章は十分な爪痕を残す。

似ているゲーム