The Medium

The Medium

開発: Bloober Team発売: Bloober Team SA¥1,914

PlayNext レビュー

二つの世界が同時に存在する——そんな体験をゲームでできると知ったとき、どれほど興奮するだろうか。『The Medium』は、現実世界と霊界を文字通り「同時に」表示するデュアルリアリティという仕組みを核に据えたサイコホラーゲームだ。Bloober Teamが手掛けたこの作品は、単なるホラー演出の積み重ねではなく、トラウマと喪失、そして「見てしまった者の代償」を問いかける物語を、唯一無二のビジュアル体験として包み込んでいる。廃れたリゾート地ニワを舞台に、霊能者マリアンヌが引き寄せられるようにして足を踏み入れ、かつてそこで何が起きたのかを少しずつ暴いていく——その過程で感じる静かな恐怖と深い哀愁が、このゲームの本質だ。 ## プレイ環境の目安 グラフィック面でのシステム要求はやや高め。デュアルリアリティシーンでは画面を二分割して両世界を同時描画するため、GPU負荷が倍近くになる局面がある。推奨スペックはRTX 2080相当以上とされており、フレームレートを安定させるためにはある程度の環境が必要だ。ただし価格は¥1,914と手頃なため、グラフィック品質を少し落としてでもプレイする価値は十分にある。 プレイ時間は一周8〜10時間程度。過度に長くもなく、物語を一息で楽しみきれるボリュームだ。フルコントローラサポートが完備されており、三人称視点の移動感覚も含めてコントローラでのプレイを強く推奨する。キーボードマウスでも操作できるが、雰囲気を壊さず没入したいならコントローラが断然合っている。 ## こういう人におすすめ ストーリー重視で、プレイヤーが語り手として物語の核心へ近づいていく体験を求める人にとって、このゲームは非常に刺さる。アクション要素をほとんど持たず、探索・考察・パズルが柱になっているため、「怖い思いをしながらも自分のペースで世界を読み解きたい」という層に向いている。 また、サウンドデザインへの感度が高い人にも強く薦めたい。作曲はAkira YamaokaとArkadiusz Reikowskiの共同制作であり、とりわけYamaokaのアンビエントかつ情動的な楽曲は、霊界の不気味さと哀愁を同時に演出する。Silent Hillシリーズのファンであれば、音楽を聴くだけで感慨深いものがあるはずだ。 廃墟探索や環境ストーリーテリングが好きな人、つまりゲームの世界に漂う「かつてここに人がいた」という余韻を好む人にも向いている。ニワのリゾート施設は細部まで作り込まれており、モノローグや散らかった手紙を通じて過去の惨劇が浮かび上がってくる。 ## 霊界とデュアルリアリティの手触り このゲームの最大の特徴であるデュアルリアリティは、画面を左右に分割して現実と霊界を同時表示するシーケンスで実現される。マリアンヌは両世界を行き来しながら、片方の世界で得た情報やアイテムをもう片方に活かしてパズルを解く。 実際に操作していると、視線がどちらの画面を追うべきか迷う瞬間がある。これは欠点ではなく、むしろ設計の妙だ。「二つの世界に同時に存在するとはどういうことか」を、プレイヤーの認知レベルで体験させようとしている。現実側では薄暗い廃墟を歩き、霊界側では腐食した有機物のような異形の景色が広がる——この対比が視覚的に鮮烈で、長時間プレイしても飽きが来ない。 霊界への完全没入(スピリット・シールド)という能力もあり、霊界の生命エネルギーを消費しながら短時間だけ霊界に完全に存在できる。このリソース管理がゲームプレイに軽い緊張感を与えており、「ただ歩くだけ」になりすぎないよう調整されている。 ## 謎解きとパズルの設計 パズルの難易度は全体的に控えめで、詰まって投げ出すような理不尽さはない。ほとんどの謎は「現実と霊界の情報を照合する」という構造に沿っており、一方の世界で見たものを手がかりに、もう一方の世界でアクションを起こす流れが基本だ。 特に印象的なのは、霊界のオブジェクトを操作することで現実世界の物理的な障害を取り除くシーン群だ。見えない糸で二つの世界が繋がっていることを、プレイヤーは操作を通して自然と理解していく。チュートリアルのようなセクションを経て徐々に複雑になっていくため、理解が追いつかないまま進む感覚は少ない。 一方で、後半に登場する追跡シーンは緊張感があり、霊界の怪物「ニック」から逃げながら環境を利用して身を隠す局面がある。アクションゲームではないが、このシーンだけは反射的な判断を求めてくる。難易度設定はないため苦手な人はやや苦労するかもしれないが、繰り返しプレイで十分に乗り越えられる範囲だ。 ## 似たゲームとの違い 同じBloober Teamの『Layers of Fear』や『Observer』と比較すると、『The Medium』は明らかにスケールアップしている。前者二作が一本道の恐怖体験に近いのに対し、本作は広めの空間を自由に探索できる時間が長く、世界観の深みが増している。 Silent Hillシリーズとの比較は避けられないが、プレイアブルな体験としては異なる。Silent Hillが「得体の知れない恐怖に飲み込まれる感覚」を中心に置くのに対し、『The Medium』は「真実を知ってしまう恐怖」が主軸だ。敵との直接対峙は極めて少なく、心理的なプレッシャーが恐怖の源泉になっている。Alan Wakeのように、世界観の謎を解き明かすことに快感を覚える人には特に合う。 ## こういう人は合わないかも アクションや戦闘を求めるプレイヤーには明確に向いていない。本作は探索と物語消費がほぼすべてであり、敵を倒す爽快感や反応速度を競う要素はほとんど存在しない。「怖いゲームをプレイしたい」という動機だけで手に取ると、拍子抜けするかもしれない。 また、デュアルリアリティの演出は非常に重く、処理落ちが発生すると雰囲気が大きく損なわれる。スペックが推奨ラインを大きく下回る環境では、没入感が保てない可能性がある。 物語の語り口はやや説明過多な面もある。マリアンヌのモノローグは頻繁に挿入され、プレイヤーが自分で解釈する余地を少し奪ってしまうことがある。行間から物語を読み取る体験を重視する人には、手取り足取りに感じられるかもしれない。 それでも、二つの世界を同時に見ながら一人の霊能者として廃墟を歩き、埋もれた真実に触れる体験は、他では得られないものだ。¥1,914という価格と8〜10時間というボリュームを考えれば、物語重視のゲームが好きなら手に取って損はない一作といえる。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 11時間

ストーリーは把握しづらいですが、終盤に輪郭が見えた気がしました。 ゲームのシステムが特徴的で、興味深い操作でした。 ただ、面白いとか、怖いとか、そのようなはっきりとした楽しみはあまりないゲームでした。

👍プレイ時間: 8時間

美しいグラフィックと迫力ある効果音が際立つ作品。特に、二重世界を行き来する表現は幻想的で、没入感を高めています。しかし、固定視点による操作性が難点で、キャラクターの動かしづらさがストレスに感じる場面も多いです。

👍プレイ時間: 8時間

操作性は若干悪いが、 なかなか良い物語体験だった ただ、 トマス(霊)の「ごめんなさい」は「すまない」のほうが良い。

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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