
七つの大罪:Origin
The Seven Deadly Sins: Origin
開発: Netmarble F&C発売: Netmarble無料
PlayNext レビュー
アニメ原作のゲームというと、どうしても「ファンサービス優先で中身が薄い」という先入観がつきまとう。しかし『七つの大罪:Origin』は、そのイメージを覆す本格的なオープンワールドRPGとして設計されており、原作を知らないプレイヤーでも「このブリタニアという世界に足を踏み入れたい」と思わせるだけの引力を持っている。無料でここまでやるのか、というのが最初に抱いた率直な感想だ。
プレイヤーが操作するのは、原作主人公メリオダスの息子・トリスタン。父親世代の活躍が描かれた原作に対し、本作では「その後の世界」を舞台にしつつも、時空の混乱という設定により原作キャラクターたちとの邂逅が自然な形で組み込まれている。既存ファンには懐かしさと新鮮さが同居した体験を、新規プレイヤーには奥行きのある世界への入り口を用意している構造だ。
操作感はアクションRPGとして非常に洗練されている。通常攻撃・スキル・回避を組み合わせたコンボシステムは直感的で、慣れれば流れるような連携が決まるようになる。特に回避のタイミングによる反撃派生など、アクション的な読み合いの要素もあり、単純な「スキル連打」では終わらない手応えがある。ボス戦では攻撃パターンの把握と立ち回りが問われ、プレイスキルが確かに結果に反映される設計になっている点は、同ジャンルのスマホ原作タイトルと一線を画している。
オープンワールドとしての完成度も見逃せない。ブリタニアの大地は原作の世界観を忠実に再現しており、草原や森、城塞都市といった多様なロケーションが広がっている。探索していると隠しクエストや収集要素が随所に配置されており、「地図の隅まで歩きたい」という衝動を自然に引き出してくれる。移動アクションにも爽快感があり、広大なフィールドを駆け抜けること自体が苦になりにくい。
ビジュアル面では、Netmarble F&Cが技術力を存分に発揮している。アニメ調のセルシェーディングでありながら、光と影の表現が豊かで、静止画に近いクオリティのカットシーンと実際のゲームプレイ画面の差がほとんどない。原作のアニメスタジオA-1 Picturesのタッチを意識したキャラクターデザインは、動かしていても「絵の中を動いている」ような没入感を生む。サウンド面では壮大なオーケストラサウンドが戦闘と探索の両場面で雰囲気を高め、日本語ボイスは原作アニメに近いキャスティングで固められており、ファンには堪らない要素となっている。
同系統のタイトルとして挙げるなら、まず『原神』との比較は避けられない。どちらもアニメ調のオープンワールドアクションRPGという構造を持つが、『七つの大罪:Origin』は既存の人気IPの世界観を生かした没入感と、よりアクション寄りの戦闘テンポが差別化ポイントになっている。『ブループロトコル』のようなMMO的な賑わいと、『テイルズオブシリーズ』的なアクション性を足して割ったような感触と言えば伝わりやすいかもしれない。クロスプラットフォームマルチプレイに対応しているため、フレンドとプラットフォームをまたいで協力プレイができる点も現代的だ。
プレイ時間の目安としては、メインストーリーを追うだけであれば20〜30時間程度。しかしMMO要素を持つタイトルの常で、エンドコンテンツやレイドコンテンツ、季節イベントなどが定期的に追加される運用型ゲームであるため、「やり込めばいくらでも遊べる」設計になっている。協力プレイでの高難易度コンテンツは、ソロとは異なる連携の楽しさを提供しており、フレンドと一緒に腰を据えてプレイするのに向いている。
注意点として正直に挙げておくと、無料プレイ型である以上、アプリ内課金の存在は無視できない。ガチャによるキャラクター・装備獲得システムが採用されており、最高レアリティのコンテンツへのアクセスには課金が有利に働く場面がある。ただし基本的なストーリー体験やコンテンツの大部分は無課金でもアクセスできるよう設計されており、強制感は比較的薄い印象だ。また、MMO要素を持つがゆえにオフライン環境ではプレイできない点も留意が必要。継続的なアップデートを前提としたサービス型タイトルのため、サービス終了リスクが常にゼロではないという性質も、長期的なプレイを考えるなら念頭に置いておきたい。
こういう人に強くすすめたいのは、まず原作『七つの大罪』のファンであることは大前提として、アニメ調オープンワールドに興味はあるが『原神』との差別化を求めている人、そしてフレンドとMMO的な協力コンテンツを楽しみたいPCゲーマーだ。無料というハードルの低さを活かして、まずストーリーの導入部だけでも触れてみる価値は十分にある。逆に、完全オフライン・買い切りのRPGを好むプレイヤーや、ガチャシステムへのアレルギーが強い人には、入口は広くても長続きしにくい可能性がある。IPへの愛着がない状態でのとっつきやすさという点でも、原作未見だとキャラクターの背景説明が不足しがちで、感情的な没入度に差が出るかもしれない。
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