都市伝説解体センター

都市伝説解体センター

Urban Myth Dissolution Center

開発: Hakababunko発売: SHUEISHA GAMES¥1,980

PlayNext レビュー

都市伝説、怪異、呪物——こういったキーワードに引き寄せられるプレイヤーなら、このゲームの冒頭数十分で「これは自分のために作られた作品だ」と確信するだろう。『都市伝説解体センター』の核心は、「怪異の正体を暴く」という行為そのものにある。単なるホラー体験ではなく、都市伝説や怪談の裏側にある人間的な真実を掘り起こしていく過程が、このゲームの最大の醍醐味だ。 プレイヤーが操作するのは、「都市伝説解体センター」に勤める調査員。呪いの箱、事故物件、異界に迷い込んだ人々など、奇妙な依頼が次々と舞い込んでくる。相棒として行動を共にするのが、特殊な能力を持つ廻屋渉だ。彼の能力と主人公の調査スキルを組み合わせることで、依頼の核心へと迫っていく構造になっている。ゲームプレイは、テキストを読み進めながら場面ごとに選択肢を選ぶオーソドックスなアドベンチャー形式。コントローラーのフルサポートもあり、ソファに寝転びながらゆったり読み進めることができる。テンポは全体的に落ち着いており、ページをめくるように物語に没頭できる。謎解きやアクション要素は薄く、純粋に「語られる物語を体験する」ことに集中できる作りだ。 ビジュアル面では、和風のイラストタッチが全体の雰囲気を支配している。キャラクターデザインは繊細でありながらも、怪異や呪物を描く際の不穏さを的確に表現している。特筆すべきは背景や演出の作り込みで、事故物件の薄暗い室内、異界を思わせる歪んだ空間など、シーンごとに異なる「怖さの質感」が丁寧に描き分けられている。ホラーゲームでありがちな過剰な演出や驚かせ系のジャンプスケアはなく、じわじわと積み重なる不安感と不気味さが持ち味だ。サウンド面も同様で、BGMは主張しすぎず、場面の空気を補強する役割に徹している。静寂の使い方が巧みで、音が途切れる瞬間に読み手の緊張感が高まる構成になっている。 世界観については、いわゆる「都市伝説」を単なる怖い話として消費するのではなく、その背景にある社会的な事情や人間の感情、そして時に救いのある真実を描く姿勢が一貫している。怪異の裏には必ず「人の営み」がある——という視点が物語全体を貫いており、単純な恐怖ものとは一線を画した読後感を与えてくれる。廻屋渉というキャラクターの存在も大きく、飄々とした態度の奥にある深みが物語を進めるほどに明らかになっていく。ネタバレは避けるが、依頼ごとに完結するオムニバス形式でありながら、通底する大きな物語の気配を常に感じさせる構成は見事だ。 類似作品として挙げるなら、同じく和製ホラーアドベンチャーの『呪巣』シリーズや、怪異調査を題材にした『廃神ノ社』が近いが、本作はそれらよりも「謎解き」より「物語の読み解き」に比重が置かれている。また、ノベルゲームとして比較するなら『春ゆきてレトロチカ』のような謎解き型ノベルよりもずっと読み物寄りで、『ルーンファクトリー』のような温度感とは真逆の静謐な緊張感がある。近年の和ホラーインディーゲームの中では、過度な残酷描写に頼らない「語りで魅せる」スタイルという点で際立った存在感を持っている。 プレイ時間の目安は、一周あたり5〜10時間程度。分岐やマルチエンディングの構造がどの程度あるかはプレイスタイルによるが、選択肢の積み重ねで結末が変化する要素があるため、気に入った人は複数周回して語られなかった側面を拾いに行く楽しみ方もできる。Steam実績の存在も、コンプリートを目指すプレイヤーにとって周回の動機になるだろう。ボリューム感は価格相応か、むしろ割安に感じるレベルだ。 注意点として挙げておきたいのは、アクションや謎解きのインタラクティブ性を求めるプレイヤーには物足りなさを感じる可能性があること。基本的にはテキストを読んで選択肢を選ぶ体験が中心であり、「ゲームを操作して攻略する」感覚より「小説を読む」感覚に近い。また、ホラーとはいえ直接的なグロテスク表現や激しい恐怖演出はほぼないため、強烈な刺激を求める人にはおとなしく映るかもしれない。逆に言えば、ホラーが苦手でも雰囲気ものが好きなら十分に楽しめる懐の広さがある。 こういう人には強くおすすめしたい——和風の怪異・都市伝説の雰囲気が好き、「怖さ」よりも「不思議さ」や「切なさ」に惹かれる、テキストアドベンチャーやサウンドノベルに慣れ親しんでいる、人間の深い部分を描いた物語を好む、静かに没頭できる体験を探している——そんなプレイヤーだ。逆に、アクション性の高いホラーゲームや、謎解きパズルでガシガシ遊びたいタイプ、あるいは長大なテキストを読むことに苦手意識があるプレイヤーには合わないかもしれない。 ¥1,980という価格で手に入る、丁寧に作られた和製ホラーノベル。都市伝説という題材を通して、怖さの向こう側にある人間の温度を感じたい夜に、ぜひ手に取ってほしい一作だ。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 15時間

推理物としては推理要素がほぼないから期待しないように ゲームの内容自体は物とか人に話しかけるのが大半なんだけど これがただ聞くだけ見るだけで進めちゃうから、全然理解せず進めちゃうせいで 途中で来る問題に詰まると思う。 正直だれるけど、ちゃんとやったほうがいい 終盤は面白いからそこまで耐えたほうがいい ラストはだいたい予想できて 展開みてまぁそうだよなと思ったら 全然違った

👍プレイ時間: 9時間

絶対にネタバレを踏まずにプレイすることをお勧めします。推理も何度間違えようがやり直せる親切設計なので、できれば攻略情報等も見ないのが好ましいです(ネタバレ踏みかねないため)。

👍プレイ時間: 10時間

最後までやってわかるストーリーと伏線の凄さ 記憶消してもう一度やりたいレベル いままでいろんなゲームやってこのストーリー展開に一番驚きました ぜひやって欲しいゲームです

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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