都市伝説解体センター

都市伝説解体センター

Urban Myth Dissolution Center

開発: Hakababunko発売: SHUEISHA GAMES¥1,980

PlayNext レビュー

「呪われた箱を開けるのは、呪いを恐れる人間ではなく、呪いの正体を知りたいと思う人間だ」——そんな逆説的な好奇心を、このゲームは静かに肯定してくれる。『都市伝説解体センター』は、心霊スポットや事故物件、呪物といった「怪異」を題材にしながら、ホラーゲームとは一線を画す体験を提供するビジュアルノベル型アドベンチャーだ。主人公が所属する「都市伝説解体センター」は、怪異を祓うのではなく、調査し、回収し、その正体を解体する組織。怖がらせるのではなく、「なぜ怖いのか」を問いかけてくる。¥1,980という価格帯にあって、その密度はゲーム一本分のものがある。 ## 物語の引力——都市伝説の「向こう側」へ 怪異譚を扱うゲームは多いが、本作の特異点は「解体」という姿勢にある。霊を消滅させるのでも、呪いから逃げ延びるのでもなく、都市伝説というものが何者によって、何の目的で生まれたのかを追う。 主人公のパートナーである廻屋渉は「能力者」という設定だが、彼の能力が物語に与える役割は想像以上に繊細だ。超常現象を単純に肯定するのでなく、むしろ「見えてしまうもの」と「見えない人間の恐怖」の間にある溝を、渉との会話を通じて浮き彫りにしていく。二人の掛け合いは軽妙で、重たいテーマの中に息継ぎのような瞬間を作ることが巧みだ。 一本一本の依頼は短編集のような構造を持ちながら、全体を貫く伏線が徐々に姿を現す。「呪いの箱」「事故物件」といった各エピソードは独立しているようで、読み進めるほどに点が線になっていく快感がある。ゲームとしての芯に、ちゃんとミステリーの骨格がある。 ## 選択肢が生む分岐——行動の重さが違う 本作の選択肢は、ただ分岐を生むためにあるのではない。場面によっては、選んだ言葉が依頼人の信頼に直結し、得られる情報量が変わる。調査官として振る舞うか、人として寄り添うか——その匙加減が問われる場面では、正解のない選択に少し手が止まる。 特に依頼人たちの描き方が丁寧で、怪異に巻き込まれた人間の「なぜこうなったのか」という背景が、選択肢を通して少しずつ見えてくる構造になっている。同ジャンルの『AI: ソムニウムファイル』や『BUSTAFELLOWS』に近いムードを持ちながら、本作はより小さなスケールで人間の感情の機微を掘り下げることを選んでいる。派手さより深さを優先した設計だ。 周回プレイで読み落とした会話を回収する楽しさもある。ただし、分岐の幅はそこまで広くないため、「選択でゲームが大きく変わる」タイプの体験を求めると物足りないかもしれない。 ## 謎解きとパズルの設計——読む推理 純粋なパズルゲームではないが、各エピソードには調査パートが存在する。集めた情報を整理し、怪異の「正体」を推理して結論を出す場面では、プレイヤー自身が思考することを求められる。ここが本作を単なる読み物と区別する部分だ。 謎の難易度は全体的に親切で、詰まって何十分も考える必要はない。むしろ「情報を正しく読めているか」を問う設計で、見落としがあれば再調査に戻れる構造になっている。ゲームの難所は論理ではなく「感情の読み取り」にあることが多く、依頼人が何を隠しているか、何を恐れているかを見抜く力が試される。 美術面では、和風ホラーの意匠を使いながら過剰に怖がらせようとしない。演出は抑制的で、そのぶん「静けさの中の不気味さ」がじわじわと効いてくる。BGMも同様で、煽るのではなく寄り添うような音楽設計になっている。 ## こういう人におすすめ 怪談や都市伝説が好きで、「その怪異は本当に存在したのか」という問いを好む人に強く響く作品だ。ホラーとしての恐怖より、謎の構造を解きほぐすことに快感を覚えるタイプ——ミステリー読者がゲームに入門するルートとしても機能する。 逆に、アクション要素や戦闘システムを求めている人、選択肢で大きく物語が分岐するタイプのゲームを期待している人には向かない。プレイ時間はボリューム次第だが、じっくり読めば十分な読み応えがある。 ¥1,980という価格は、このジャンルへの入門として躊躇のない金額だ。怖いものの「向こう側」を一緒に覗きに行きたい人へ、静かに手を差し伸べてくれる一本。

プレイヤーの声

👍プレイ時間: 11時間

ホラー系は苦手で基本的にプレイしないため、本作もプレイするかすごく悩んだがやってよかった。 ビクッとする箇所が時々あるが、ある程度予測できる箇所で来るので最後までプレイすることができた。 キャラクターが魅力的で総合的にはストーリも面白かった。 グラフィックに惹かれた人は、買って損はないと思う。

👍プレイ時間: 32時間

面白かった。え、ドット絵?なんでドット?キレイな絵で遊びたいなーと思いながら始めたけど・・・。うん、いっすねドット。ドットにしたことで、よくある絵がキレイなアドベンチャーゲームのくくりから脱して、オンリーワンな世界観を作り上げていると思います。続編を希望したいけどキレイに終わったから無理かなぁ。

👍プレイ時間: 9時間

面白かったものの、期待値が高すぎたかな?という印象。 タイトル名から奇天烈相談ダイヤルのフレーバーを感じますが、全然違いました。 オカルト、怪異要素はメチャメチャ薄く、推理系ADVゲームという印象です キャラも良いし驚き要素もあってシナリオは面白いですよ。ただ他の作品と比べて、特別優れているかと聞かれると「うーん…」という感想ですね ただADV、ノベルの供給が少なくなっている昨今、集英社という新しい開発会社が新作ADVを作ってくれたという事だけで高評価を付けたい もっと作ってくれ

出典: Steam ユーザーレビュー

スクリーンショット

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