
Lies of P
開発: NEOWIZ発売: NEOWIZ¥4,180
PlayNext レビュー
ピノキオが「嘘をつく」。その一点だけで、この作品の核心はほぼ語り尽くせる。童話の木の人形を主人公に据えながら、NEOWIZが選んだのはハッピーエンドの物語ではなく、ベル・エポック時代の退廃的なヨーロッパを舞台にした、薄暗いソウルライクだった。『Lies of P』を手に取った最初の数時間で感じるのは「よくできた模倣」への疑念——そしてそれをすぐに裏切られる驚きだ。FromSoftwareのゲームに数えきれないほど死んできたプレイヤーにとっても、この作品は確かな独自性を持って迫ってくる。
## ビジュアルとサウンドの仕上がり
街クラットに一歩踏み出した瞬間、まず圧倒されるのはその美術だ。壊れかけたガス灯が石畳を照らし、錆びた機械人形が血だまりに横たわる。アール・ヌーヴォーの曲線を持つファサード、ステンドグラスの残骸、劇場の廃墟——ゴシックともスチームパンクとも一線を画した退廃美が、画面の隅々まで作り込まれている。
音楽もこの世界観に深く溶け込んでいる。エリアごとに異なる弦楽四重奏やジャズ調の旋律が流れ、武器の衝突音と混ざり合う。特に宿泊所「ホテル・クラット」のフォノグラフで再生できる楽曲コレクション——ゲームを進めるほど増えていくレコードたち——は、かつてこの街に生が満ちていた時代を想起させる仕掛けとして秀逸だ。世界の「死後」を歩いている感覚が、音楽によってより深く刺さる。
## 探索のモチベーション
ソウルライクの定石として探索には死が伴うが、『Lies of P』の探索を駆動するのは単なるアイテム収集欲ではない。武器の「組み換えシステム」がある。ブレードとハンドル(フレームワーク)を自由に組み合わせることで、攻撃モーションと特殊能力を変えられる。カーブ系の長い刃を敏捷重視のハンドルに付けるか、重い打撃フレームに付けるかで、まったく別の立ち回りが生まれる。このシステムのおかげで、ボスに詰まるたびに「別の組み合わせを試したい」というモチベーションが自然と湧く。
加えて、物語の随所に「嘘をつくか、正直に答えるか」の選択が現れる。人形であるPがなぜ嘘をつけるのか——それ自体が物語のテーマであり、選択の積み重ねがエンディングを分岐させる。答えを探してNPCの言葉を集め、アイテムの説明文を読み込む引力が常にある。
## 剣戟の手触りと死の快楽
戦闘の基軸は「完璧ガード(パリィ)」だ。タイミングよくガードボタンを押すと敵の攻撃を弾き、スタミナをほぼ消費せずにカウンターへ転じられる。『Sekiro: Shadows Die Twice』のパリィに近い感覚だが、シビアさはやや緩め——ウィンドウが広めで、失敗しても通常ガードで耐えられる場面も多い。その分、ボス戦では連続攻撃のリズムを読む楽しさが前面に出る。
もう一つの柱が「フェーブル」システム。溜まったゲージを消費して発動する武器固有のスペシャルアクションで、ガードを崩したり体勢を崩したりと戦略的な使い道が広い。難易度は相応に高く、特定のボスには十数回の挑戦が当然になる。ただし理不尽さよりも「パターンを覚えれば必ず突破できる」という設計の誠実さが勝っており、死ぬたびに学びがある。
## 似たゲームとの違い
比較対象として真っ先に浮かぶのは『Bloodborne』だろう。素材はクトゥルフ神話ではなく童話という違いはあるが、薄暗いヨーロッパ風の街並み、怪物化した人形たち、攻撃的な立ち回りを求められる戦闘テンポは明らかに近い。ただし『Bloodborne』がロールを軸に回避を重視したのに対し、『Lies of P』はガードとパリィを中心に据えており、より『Elden Ring』的な選択肢の広さがある。
韓国産ソウルライクという文脈では『The Surge』や『Mortal Shell』と並べられることもあったが、完成度の差は歴然だ。UIの洗練度、ボス設計のメリハリ、レベルデザインの緻密さ——いずれも「本家への敬意と独自解釈の両立」を高水準で達成している。一方でマルチプレイ要素は存在しないため、ソロで世界観に浸り込むタイプのプレイヤー向けの作品であることは念頭に置きたい。
## キャラクターの存在感
物語を牽引するのは老人ゲッペットだ。Pの「父」として行動を指示する彼の言葉には、常に何かが隠されているような不透明感が漂う。ホテルで出会うソフィアは謎めいた案内役として機能し、道中で関わるNPCたちもそれぞれ事情を抱えて生きている——あるいは死んでいる。
彼らが印象深いのは、その言葉が「嘘か本当かわからない」という構造に支えられているからだ。プレイヤー自身が嘘をつく選択をするゲームで、語りかけてくるキャラクターたちも等しく信頼できない。この非対称な不信感が物語に緊張感を与え、ボスを倒した後に明かされる情報の一つ一つが重く響く。人形が人間になろうとする物語を、プレイヤーは操作しながらも傍観者として見届ける——その独特の距離感こそが、『Lies of P』を単なるソウルライクの模倣以上の作品に押し上げている。
プレイヤーの声
👍プレイ時間: 28時間
ソウルライク系ゲームを始めてプレイしました。 有名なタイトルの難易度はわかりませんが、道中難易度ではなくただ意地悪だなっと思うところはありましたが 何度か繰り返してクリアできました ストーリー・グラフィック・音楽ゲームとしてよかったと思います。 難易度の方向性がずれてた感じがします よくプレイする人たちには物足りない、あまり触らない人たちはゲーム設計にストレスを感じるのではと 個人的にはセールで購入+多少のストレスがあったものの楽しめたので高評価です
出典: Steam ユーザーレビュー
スクリーンショット






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