
RimWorld
開発: Ludeon Studios発売: Ludeon Studios¥3,120
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
RimWorldは「コロニーシミュレーション」というジャンルに分類されるが、その実態はもっと奇妙で、もっと豊かだ。このゲームの核心にあるのは、AIストーリーテラーによって生成される「予測不能な物語」であり、プレイヤーはその物語の設計者でも主人公でもなく、むしろ観客に近い。入植者たちが飢え、病気になり、精神を病み、それでも生き延びようとする姿を見守りながら、気づけば8時間が消えている——そういう種類のゲームだ。
ゲームの始まりは3人の生存者が惑星の辺境に不時着するところから。最初はベッドを作り、畑を耕し、壁を建てる。だが数時間後には、ペストが集落を席巻し、入植者のひとりが精神的ブレイクダウンで他のメンバーを襲い始め、そこに外部からの略奪者が攻めてくる——という事態が重なってカオスを呈する。これがRimWorldの「手触り」であり、プレイヤーは常に複数の危機を同時並行で処理し続ける感覚を味わう。ゲームは親切ではないが、理不尽でもない。AIストーリーテラー(難易度キャラクターと呼ぶ)が裏側で調整しており、完全に詰まることはほぼないよう設計されている。
## AIが紡ぐ物語の密度
RimWorldの最大の特徴は、公式が「AIストーリーテラー」と呼ぶシステムにある。キャシー(標準難易度)、フィービー(穏やか)、ランディ(カオス)という3人のキャラクターがそれぞれ異なるアルゴリズムでイベントを発生させる。ランディを選ぶと、文字通り何が起きるか予測できない——快適に過ごしていたら突然巨大なゾウの群れが集落に突入してきたり、気候が急変して農作物がすべて枯れたりする。キャシーはプレイヤーの状態を見て「今きつい時期には小さなイベントを、余裕があるときには大きな脅威を」と調整する。
この仕組みのせいで、RimWorldには「自分がプレイした固有の物語」が生まれる。「あのとき医師が死んで、残った2人で冬を乗り越えた」「入植者が狂気に陥って犬を全部殺してしまった」——そういうエピソードをプレイヤー同士が語り合うのは、このゲームがまぎれもなく物語生成機であるからだ。数値目標やクリア条件は一応あるが、多くのプレイヤーはそこに辿り着くことよりも、途中の混沌を楽しみにしている。
## MODと拡張性——もう一つのゲームとして
Steam Workshopに登録されているMOD数は膨大で、現時点で数万規模に達する。公式のDLC(Ideology、Biotech、Anomaly等)も内容が濃く、バニラ状態から大きくゲームプレイを拡張するが、MODコミュニティはさらにその上を行く。
代表的なものとして、Combat Extendedは銃撃・弾薬システムをリアル寄りに全面改修し、戦闘の緊張感を別次元に引き上げる。Rimedi奴隷MODや様々なファクション追加MODは、外交・関係性の複雑さを何倍にも膨らませる。グラフィック強化系、UI改善系、音楽追加系まで揃っており、「バニラで飽きたらMODを入れる」という遊び方が事実上の公式スタイルになっている。
ただし注意点として、MODの組み合わせによっては競合が発生し、ゲームが不安定になることがある。RimWorldのModdingはある程度の試行錯誤を前提としており、MOD管理ツール(RimPyなど)の使い方を覚える必要がある。入門者はまずバニラで50〜100時間遊んでから手を出すのが無難だ。
## 似たゲームとの違い——「管理」ではなく「観察」
Dwarf Fortressと比較されることが多い。実際、RimWorldはDwarf Fortressから強い影響を受けており、入植者ひとりひとりに固有のパーソナリティ・スキル・好き嫌いがある点や、生成される物語の豊かさは明らかに系譜を共有する。ただしDwarf Fortressがより複雑なシステムと学習コストを要求するのに対し、RimWorldはUIが整理されており、2Dトップダウンの見やすいグラフィックのおかげで取っつきやすい。
Fallout Shelterや一般的な街づくりゲームとは根本的に異なる。あちらは「効率的な管理と成長」を中心に据えているが、RimWorldは「なぜこうなった」「次にどうする」という問いの連続で成立している。プレイヤーが立案した計画が崩れ、その瓦礫の上に新しい物語が生まれる——その循環そのものが面白さの源泉だ。
Project Zomboidと比べると、世界の残酷さという点では共通しているが、RimWorldはより高い視点(集団の経営)から物語を眺め、Zomboidはキャラクター単体の生存に没入させる。どちらも「失敗のゲームデザイン」と呼ぶべき哲学を持っているが、楽しみ方の方向性は異なる。
## 向き不向き
RimWorldは万人向けではない。ゲームの性質上、入植者が死に、動物が死に、場合によってはカニバリズムや奴隷制を選択肢として突きつけてくる場面がある。倫理的に不快なシチュエーションを避けたいプレイヤーにはストレスになるだろう(難易度・ストーリーテラー設定でかなり緩和はできる)。
また、UIはわかりやすく改善されてきてはいるものの、最初の数時間は情報量の多さに圧倒される。「チュートリアルが長い」というよりも「体験しながら覚えていく」タイプのゲームなので、序盤に挫折しやすいという声は今も多い。YouTubeやコミュニティのwikiを参照しながら学ぶ姿勢が求められる。
逆に、物語を語り合えるゲームが好きな人、管理と緊急対応の両立に快感を覚える人、MODで何百時間も遊び続けたい人には、これほど向いているゲームはほとんどない。¥3,120というパッケージ価格は、ゲームへの投資時間を考えれば破格と言っていい。
スクリーンショット






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