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TUNIC

TUNIC
key visual / steam

批評

箱を開けると、そこには言葉がなかった。チュートリアルも、ガイドも、親切な説明UIもない。小さなキツネが剣を拾い、見知らぬ廃墟に立つ。どこへ行けばいいのか、何を倒せばいいのか、この世界のルールは何なのか——TUNICはすべての答えを、プレイヤー自身の手に委ねる。これは「謎を解くゲーム」ではなく、「謎の中で生きるゲーム」だ。失われた文明の残滓を読み解きながら、少しずつ世界の輪郭をつかんでいくその過程こそが、このゲームの核心にある。 ## 世界の秘密と密度 マップには意味のわからない通路があり、鍵のかかった扉があり、触れただけでは何も起きない祭壇がある。最初の数時間は途方に暮れる。ところが、散らばったアイテムを集めていくと「ゲーム内マニュアル」のページが揃い始める。そのマニュアルは架空の言語で書かれているが、図解やアイコンが巧みに配置されており、「たぶんこういうことかな」という推測でゲームプレイが変わっていく。 この設計が天才的なのは、マニュアルのページを見つけることで「知らなかった自分の状態」に気づかされる点だ。スタミナゲージの存在、パリィの仕様、ファストトラベルの方法——すべては最初から実装されていたのに、プレイヤーが知らなかっただけ。Hollow Knightが「地図を自分で描く」体験を与えたとすれば、TUNICは「説明書を自分で読み解く」体験を与える。世界の密度は変わらないのに、情報が増えるたびに景色が変わって見える。 ## 剣戟の手触りと死の重さ 戦闘はDark Soulsの影響を色濃く受けている。スタミナ管理、盾でのパリィ、ローリング回避——キツネのフォルムに似合わぬ、骨太な手応えがある。ただしDark Soulsとの決定的な違いは、「詠唱」の概念だ。魔法のアイテムを組み合わせることでオリジナルのビルドが生まれ、慣れてきた頃に「実はこんな戦い方もできた」という発見が訪れる。 雑魚敵でも油断すると死ぬ。死ぬとその場にゴールド(通貨)を落とし、少し弱体化した状態で復活する。Soulsライクの文法を知っている人にはお馴染みのシステムだが、TUNICはそこに「アクセシビリティオプション」を備えている。無敵モードや攻撃力倍率の設定が可能で、探索と謎解きを優先したいプレイヤーは戦闘の難度を下げることができる。「難しくて諦めた」にならない設計は誠実だ。 ## 物語の引力 ストーリーは饒舌ではない。台詞らしい台詞はほぼなく、世界の歴史は環境と断片的なテキストで語られる。それでいて、ゲームが進むにつれて「何かがある」という予感が強まっていく。 終盤、ある種の「真実」に気づいたとき、過去の景色がすべて別の色に染まる。これはThe Witness系の「伏線回収」ゲームでも、Portal系の「設定が反転する」ゲームでもない。もっと静かで、個人的な衝撃だ。エンディングは複数あり、そのうちのひとつはゲームシステムそのものへの問いかけとして機能する。クリア後にネタバレを読み漁りたくなる種類の作品——久しぶりにそういう体験をした。 ## ボス戦の醍醐味 ボスは数こそ多くないが、一体一体がきちんと「壁」として機能する。最初の大型ボスで詰まり、試行錯誤しているうちに自然とパリィのタイミングが身体に入る。そのデザインは教科書的に正しく、かつ「倒せた」ときの達成感が大きい。 特筆すべきは、ボスの攻撃パターンが把握しやすい点だ。死にゲーの文法に慣れていない人が感じる「理不尽さ」が少ない。攻撃の予備動作が明確で、「見てから動ける」設計になっている。Soulsライクの入門として薦められる理由のひとつはここにある。ただし、一部のボスはギミック理解が前提になるため、マニュアルページをしっかり集めておくことが攻略のカギになる。 ## キツネの存在感 主人公のキツネはひとことも喋らない。感情を示す台詞もなく、リアクションも最小限だ。それなのに、このキャラクターには確かな存在感がある。 チビキャラのデフォルメに反して、動きのひとつひとつが丁寧に作られている。走り方、剣を振るときの重心移動、やられたときによろめく仕草——プレイヤーが操作しているという感覚と、キャラクターが「そこにいる」という感覚が同時に成立している。名前も背景も語られないキツネに、いつの間にか感情移入している自分に気づく。それはゲームデザインの巧みさというより、画面の向こうの誠実さから来るものだと思う。 --- ## こういう人におすすめ - Zelda的な探索体験が好きで、もう少し歯応えが欲しい人 - Hollow KnightやDark Soulsを楽しんだが、ソウルライクが「難しすぎて無理」という人には少しハードルが高い(ただしアクセシビリティ設定で調整可能) - 説明されずに発見する体験が好きな人 - クリア後も「あの意味は何だったんだろう」と考え続けたい人 逆に、明確なストーリーとキャラクター描写を求める人、戦闘の理不尽さに強いストレスを感じる人には向かないかもしれない。TUNICは「自分で考えること」を楽しめるかどうかが、最初の分岐点になる。

プレイヤーの声

謎解きが難しいけどわかったときめちゃきもちいい 難易度バランスがとてもよくて遊びやすい ゲームの中でゲームをしてるみたい
▲ recommended·played 25h
【全実績解除済】 ★★★★★★★ 可愛らしいキツネさんとは裏腹に、高難易度アクションと骨太な謎解きゲー 自分は謎解きゲーと割り切り、早々と無敵モードでプレイ。 先人たちのレビューで散々書かれているが、作者天才過ぎる。 ゲームの説明書を完成させていくとそれが攻略本になるという新しい手法。 決して不条理ではなく、説明書を見たらきちんと答えが導き出せるようになっている。 説明書1万回は見たよ。 とにかく自力で解くのが楽しいので、攻略サイトを見るにしても触りだけ見て、なるべく自力で解法を出すのがおすすめです。
▲ recommended·played 29h

source: steam user reviews

スクリーンショット

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