ULTRAKILLは今も「早期アクセス」の肩書きを外していない。2020年9月の発売から5年、開発者Arsi "Hakita" Patalaと販売元New Blood Interactiveは無料の大型アップデートで章を積み増し続けているが、完成版がいつ届くかは公式にも明言がない。それでも23万8千件を超えるレビューの97.4%が好評という数字と、発売から5年を経た今も3,604人が同時接続しているという事実は、未完成であることをこの作品の弱点として扱わせていない。1,099時間を投じたというレビュアーは「ただすべての武器を開放してからがこのゲームの始まりと言っていい」と書き残している。終わっていないゲームの中に、終わらない遊び方を見出した人間がいるということだ。
血と采点のキャラクターアクション
公式の説明によれば、本作は「キャラクターアクションゲームのようなスキル重視のスコアシステム」と「90年代の名作シューティングにインスパイアされた、テンポの速い超暴力的なレトロFPS」を掛け合わせた設計だ。敵を撃ち倒すだけでなく、倒し方そのものが得点化される。57時間プレイしたレビュアーは「様々な武器を使って敵を倒したり血まみれになりたいならお勧めできる一品」としたうえで、「自爆特攻、スナイパー、スピード特化、攻撃特化と出来ることが面白い」と評価している。1つの正解ルートに収束させず、プレイヤーごとの戦い方の癖をスコアへ変換する設計は、過剰な流血演出だけでは説明のつかない奥行きを持つ。血の量そのものより、どれだけ効率よく、どれだけ危険な間合いで敵を仕留めたかが問われる点で、暴力は目的ではなく採点基準として機能している。
疾走感が積み上がって中毒になる
レビュアーサンプルの中央値プレイ時間は約41時間で、大半のシューティングが一周8〜10時間程度で終わることを踏まえると、この作品が一度クリアして終わりにされていないことが数字からも読み取れる。1,099時間を記録したレビュアーは「このゲームでしか味わえない疾走感が神がかってます」と述べ、「最短で火力を出すためにこれでもかと指を動かし、パリィったりするだけで凄く脳汁が出ます」と続けている。パリィという本来は防御的な動作が、ここでは攻撃を継続させる起点として語られている点は象徴的だ。この種の没入は数十時間の初期学習を越えた先にあるもので、短時間の試遊だけでは測りきれない性質のリピート性だと言える。
DOOMでもデビルメイクライでもない座標
本作の立ち位置は、他ジャンルの代表作と並べると輪郭がはっきりする。id SoftwareのDOOM Eternalは、体力・弾薬・装甲をグローリーキル・チェーンソー・フレイムベルチといったキルの手段で回収させ、プレイヤーを常に前進させる設計を採る。一方カプコンのDevil May Cryシリーズは、コンボを途切れさせずに繋ぐことでD〜SSSのランクを競わせる、スタイル評価型のアクションだ。ULTRAKILLはこの両者の要求を同時に課してくる座標に立つ。前進し続けなければ体力が尽き、かつコンボの巧拙がスコアとして可視化される。片方の様式に慣れたプレイヤーでも、もう片方の要求には初見で応えきれない。この二重の要求を、一人の開発者を中心にした小規模チームが1本にまとめ上げていること自体が、インディー作品としての本作の座標をさらに際立たせている。
敷居は下げられているが、天井は高いまま
高速移動と近接・遠距離武器のコンボでスコアを稼ぐ設計は、じっくり型のFPSに慣れたプレイヤーほど最初の学習コストを高く感じやすい。ただし92時間プレイのレビュアーは「ゲームスピードの調整やエイムアシストなどが充実しており意外と敷居は低いです」と述べ、「人間を辞めなくても大体のやりこみ要素はできる」と付け加えている。ゲーム速度そのものを緩められる調整幅は、反射神経に自信がない層への間口を実質的に広げている。上級者向けのスコアアタックという天井の高さと、難易度・速度調整による間口の広さは、この作品の中で矛盾せず両立している。ただし間口の広さと、全要素を使いこなす段階まで到達しやすいことは別の話で、後者に届くには前述のような数百時間規模の反復を厭わない姿勢が要る。
向く人、向かない人、そして終わらない開発
過剰な流血表現と悪魔的なビジュアルモチーフを前提とした作品であり、そうした表現そのものを不快に感じる層には向かない。また16時間プレイのレビュアーは「クソほど爽快感あっておもろいけど、後半のステージほぼ狭い部屋にデカい敵と閉じ込められるだけ」と、支持の中に留保を残している。広いマップを移動しながら状況判断を積み重ねる遊び方を好むプレイヤーには、この後半の圧縮された戦闘場が窮屈に映る可能性がある。加えて本作は5年間早期アクセスのまま完成版の時期が示されておらず、完成した一本のゲームを一度きり遊んで満足したい層や、今後の仕様変更を望まない層には現時点では不向きだ。逆に、スコアを詰める過程そのものを目的にでき、暴力表現に抵抗がなく、未完成であることを開発途上の楽しみとして受け止められるプレイヤーには、¥3,050という価格を大きく超える反復価値を提供する設計になっている。












